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フィクションが視た集結

・•・•・・•・•・




「よし、お前らしりとりしようぜ」

 甲板に寝転がっているイアソンが、朗らかに遊びに誘う。


 ……断っておくが、決してふざけているわけではない。……たぶん。

 つい先ほど新たな命令に辿り着いたのだ。そしてその内容はこう。


ーーーーーー

東に十マス進みなさい

ーーーーーー


 その間の命令が無効になるのはアルジュナが確認済み。現在ビマーナに乗車中。

 よって、暇になったのだ。

 ……そう思い返すと、やはりふざけているのかもしれない。


「いいニャよー、”りんご”」

「ふふ”ゴリラ”」

「では”ラッパ”で♪」

「……”ぱふぇ”」

 と、ガッバースが返してイアソンの番、だがイアソンは黙り込んだ。

 少し口を尖らせ、言葉を漏らす。


「……つまらん。なんだろ……普通すぎる。普通すぎて飽きる」

「しりとりとはこういうものじゃない?」

 アルジュナが吐いた正論に、

 あゝだがしかし、と首を振る。


「ふっ、追加ルールだ。最近あった面白い話で返してもらおう」

「単語ではなく、文ですか?」

「そうだ」


 この追加ルールに困ったのは勇者。

 なにせ語れる過去が無いからだ。

 すわどうしたものか、作り話を即興で語るか降りようかと思案。


「じゃ、言い出しっぺの俺がお手本を見せてやろう」


名無しネームレスの心境を意に介さぬイアソンが語るは。


「───”『エレンガント〜♡ ニャ』とか言って近づいた先には、白猫ではなくビニール袋と判明すると、怒りのままにビニール袋を八つ裂きにしたはいいものの、虚しさが溢れて『ごめんニャビニール袋ぉぉ!!』と街中で叫んだピロークテーテ”、と」


「殺すぞ。どこで知った」


 ピロークテーテは憤怒した。許すまじと。

 疑問と殺意が前後して可笑しな言葉を紡いでは、いつの間にか取り出した銃をイアソンに突きつける。

 なのにイアソンはヘラヘラと笑う。


「いやいやいやお前さー、俺ってばあの時いたんだわ。でも街中で奇声あげる奴が知り合いとか知られたくないってゆーかさ引いたんだよ。

 いや〜〜〜……でも、ほら……地を這う姿は可愛かったぜ?」


「───なんのフォローにもなってねぇのニャァアア!!!」


「ギャァアアアア!!!!」


 かくしてしりとりは杞憂に終わった。

 イアソンの断末魔を背景に、ブリュンヒルデは一言。


「もしかして──イアソンさんてアホなんじゃ……」


 ───黙っていればいいものを……

 そもそも大半はピロークテーテの奇行を今まで知らなかったのに。

 苦笑する。どうして口を滑らせたのか……


「ふん、あいつは生粋のアホだ」


 割って入ったのは、しりとりに加わらなかったアスクレピオス。

 

「──とてつもなく分かりやすい。緊張したらやたら堅い言葉を使うし、高圧的な態度を取る。リーダーとしての威厳を見せたいたいんだろうな。

 だが、警戒を解くと素を見せるんだ。ポンコツなお調子者め」


 本当に好ましくないなら、イアソンの元で医者をしないだろう。

 口では悪く言うも、目は笑っていた。


「こんなのだから、いろいろ面倒ごとが起きたのだ…………まぁ」


 だが、アスクレピオスは急変する。

 心底不快そうに、そして軽蔑するようにブリュンヒルデを睨みつける。


「───貴様よりは、アホではないな」


「……そう」


 唐突な罵倒に、ブリュンヒルデは目を細め、悪態をつく。


「──いきなり罵倒するとは、一体全体どういう了見で?」

「は? そんなもの決まっているだろう、”何故ビマーナ(ここ)生命線(医療室)が無い?” この戦艦は一体何を積んでいる??

「あらあら、その件は作戦会議にお話したでしょう? 覚えてないので??」


「……作戦会議? 何を話したのですか?」

 このギスギスとした空気を変えたいのはもちろんのこと。

 シンプルに気になる勇者は首を突っ込んだ。


「……なんてことないわ。予算や情報をすり合わせて作戦を立てただけよ」

 アルジュナの発言に、被せるようにブリュンヒルデが説明する。


「そう。そこで移動手段について議題が出まして、そこで私はビマーナについて話しました。えぇ、間違いなく確実に」


「それで、何故医務室は無いのでしょう?」

「構造上仕方ない犠牲でした。

 こちらはビマーナには戦闘能力と移動能力を求めていたのです。けれども実際自作してみると、これがどうにもうまくいかず、それ以外削がざるおえなくなってしまい。

 加えて機体が大きいのは、導線や回路を詰め込んだからです。こんなのなので燃費も悪く、実用に向きません。先刻まで運用しなかった理由です」


 要するにカローン・ナウスと同じ原理である。


「ちょっと待ってくださいよブリュンヒルデさぁん!?」

 

 ──唐突に。羽交締めされているイアソンが、高らかに叫んだ。


「──なんか聞く限りビマーナ(乗り物)の燃費うんぽこらしいが!? 底尽いたらどうすんの!?」

「……それはもちろん──歩きですよ。

 あと今まで稼働していたので三十分後には使い果たすかと……」

「あ。終わったわ」


 イアソンは終幕を悟った。

 つぅと、一筋の涙が流れる。

 そんなイアソン(リーダー)を、メディアは見ていられなかった。


「イアソン様イアソン様、この不肖メディアが疲れを感じさせない魔法、おかけましょうか?」

「ははっ、それどうやって作用すんの?」

「脳を破壊して走ったという記憶と感覚を消すんです。幻覚魔法です」

「メディアさん、それはね、洗脳魔法」

「界隈では幻覚魔法です」

 

 ……いた仕方ない判断だった。

 罰が悪そうに、アスクレピオスは目を逸らしつつ謝罪する。


「そ、そうか。すまなかった」

「……まあ、いいですよ。でもお医者様、焦りすぎでは……?」


 その途端、嘔吐するようにアスクレピオスは自嘲した。


「────名無し(ネームレス)の体調を忘れたのか?」


「──あっ」


 ブリュンヒルデは勇者とアスクレピオスを交互に見やる。


「まさか、まだ治療方法が──」

「──してない。してないんだ。この世界には何も無い以上、何もできなかった。仮説は無い……根拠も無い……」


 弱々しくなっていく言葉尻。

 苛まれていく責任感。

 こればかしはアスクレピオスに非は無い。

 殺風景で何か見出せなんて無理な話。


「顔を上げてください、責めている訳ではありません。こちらにできる事があれば何でも……」





「─────その必要は無い」


 



 背筋を震わす冷淡な言葉が響いた。

 一斉に振り向いた。

 声の持ち主はリチャードだった。

 そしてその背後には、時空の亀裂、モヘンジョとサラディン、その他見知らぬ人々が約二十名。


「おお、モヘンジョだな!! よくやってくれた!!」

「……皆、揃ったか」


 Aチームの合流を超えて討伐隊全員集結。

 まさに歓喜的な出来事だ。

 ただ── 名無し(ネームレス)は、笑えない。


「その必要は無い──とはまさか」

「そのまさかだ。お前(ネームレス)とモヘンジョは、今すぐに死ぬといい」


 そして──剣を引き抜いて、




術者(裏切り者)はモヘンジョ

 コソ泥(密告者)名無し(ネームレス)

 そうなんだろう?」

Q.なんで投稿こんなに遅れたの?

A.矛盾を見つけて修正したから。

 前回、描写ミスがありました。

 これを機にプロットを見直すと、何ということでしょう。

 他にもあったわチクショウ。台無しだよ。

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