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兎森りんこ短編集

ずっと、一緒にいたいね

作者: 兎森りんこ


「ねぇ、りく君。八十八歳になる事を米寿っていうんだって」


「桃のおばあちゃん八十八歳か」


「今度みんなでお祝いするんだよ~」


 桃は僕に軽く頭を寄せながら、おばあちゃんの話を嬉しそうにする。

 おばあちゃんは僕も小さい頃に可愛がってもらった。


 最近はもう入院してしまったけど、それでも桃が来ると喜ぶらしい。

 さすがにそこまで僕は顔を出せはしないけど、懐かしさで嬉しくなる。


「りく君、大好き」


「僕もだよ」


 桃ももう十八歳。大人だよね。

 僕達もうそろそろ結婚してもいいんじゃないかな? なんて思うんだけど……。

 いつも一緒だし、とても仲良しだし。


「りく君も、もうすぐ十八歳だね」


「そうだよ、僕ら同じ歳だからね」


「ずーっと一緒にお祝いしてきたもんね」


「うん、幼馴染だよ」


「兄妹みたいだね」


 それは、ひどいなぁ……。この前だって幼馴染が結婚するドラマを見て桃は感動して泣いてたのにさ。

 何度もその話を僕にしてきたくせに。

 今更、兄妹とか。

 僕は額をコツンとしてやる。


「あん」


「怒るよ」


「ごめんごめん……大好きなりく君」


「僕も大好き」


 早く結婚したいのになぁ……最近少し目も見えにくくなってきちゃったし、あんまり歩けなくなってきちゃったし急がないとさ。


「りく君も、米寿なんだよね。人間にしてみたら」


 何を言ってるのさ、僕も人間。

 桃と一緒だよ。


「まだまだずっと……一緒にいたい」


 あったかい桃。

 どうして泣くのさ。

 僕もまだまだずっと、一緒にいたいよ。

 結婚してもこの家でパパとママと桃と僕とでこのままずっと、一緒にいたい。


 大好きな桃、とてもとても大好きだよ。


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