幸福な結婚とは? 5 アベル=バランタイン
R15になります。
ちなみにこの時点でジェニーとアベルは
まだ婚約だけの状態です。
ラウラはわたしを見下ろしたまま
殺気は隠さずに言った。
「ーぺらぺらと良く喋る口だ」
「ええ…本当にそう思いますわ。
自分でも、度々後悔いたしますの」
わたしはじりじりと後ろに下がりながら言った。
(アベル!早く帰って来て!)
「ー待たせたね、あれ?」
ちょうどその時足音がして温室の扉が開き、
アべルが戻ってきたのだ。
「どうした?何かあった?」
わたしの顔が若干ひきつってたり、ラウラが
わたしを見下ろしていた事からアベルは
何かあったのを察したらしい。
「ーアベ…」わたしが言いかけたのに被せるように
「ー申し訳ありません。アベル副長官」
ラウラがアベルに向かい、しなをつくりながら謝罪したのだ。
「私がいけないのですわ…、つい意地悪な
物言いになってしまいました。ごめんなさいね」
そしてわたしにも向かい、謝罪する。
「憧れの副長官の婚約者様と聞いて…
つい…。公私混同してしまいました」
とアベルに哀しそうな顔を見せた。
「え?」
アベルはどんな表情をすればいいか
迷っているようだった。
わたしは思わず(天晴れ!)って
言いたくなったわ。
よくもここまで過剰なぶりっ子を演出せずに、
自分の非を認めながらも相手に悪い印象を与えず、
立ち回れるなーと感心するわよ。
わたしが口を開けたまま彼女を見ている
うちに、ラウラはアベルから資料を受け取り
何事も無かったように、
「…では明日また」
と薔薇色の唇をきゅっと上げ、花のように微笑んで
アベルに挨拶すると、温室の扉から出ていった。
アベルはわたしの顔を見て確認するそうに訊いた。
「ジェニー、何があったんだい?」
「何も無いですわ。アベル、大丈夫ですわ」
わたしはアベルを安心させるように言った。
ーそう、何も無かった。
明らかな敵意をぶつけられた以外は。
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(それにしてもなんであんな格好を…)
先ほどの事がなんだかもやもやとしてしまった為、
わたしはずっと考えていた。
好きであの格好をしているには香水だけが
男性用なのが気になるし、『男』と指摘からの
変わり身のはやさは普段は男性として生活して
いるから…のような気がする。
「-いい?ジェニー」アベルが言った。
「は、…はい?」(聞いていなかったわ)
「わかりましたわ」
と適当に頷くと、アベルはうれしそうに
「やった、嬉しいよ…ジェニー」
とわたしを抱き寄せた。
(ん?なんて言ってたのかしら?)
「今夜はずっと一緒にいようね…」
とアベルはわたしに唇を重ねたー…。
(ーお泊りのお誘いだった)と気づき、
わたしはアベルの背中に手を伸ばした。
はじめのやさしいキスが段々舌を絡めるものに
なると、アベルの綺麗なパパラチアサファイアの
瞳に欲情の灯が燈るのが分かった。
「ーねぇ、ジェニー…」アベルが言うのと同時に
わたしはアベルの魔法管理省の制服のトラウザー
の真ん中を撫であげた。
「…は…もう…」
アベルは荒い息を吐いて少し笑うと
「…僕の部屋で続きをしようーいいね?」
わたしは、アベルの瞳が炎のように燃え上がり
煌めくのをうっとりと見上げた。
そして温室の出口へと彼の手に引かれていった。
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「ジェニー…、ジェニー」
アベルの声がする…。
「んん…」
わたしは目をこすってやっと起きた。
「僕仕事に行くね。ゆっくり寝てていいよ。
それとも-また泊まっていく…?」
魔法管理省の制服を着たアベルが、
わたしを揺り起こして立っていた。
すっかり支度が終わり、もうすぐにでも
出勤できそうな格好だった。
わたしはアベルに手を伸ばした。
「アベル…、ー眠くありませんの?」
(疲れてないの?)
一晩中アベルがずっとわたしを揺らし続けてて、
彼の方が疲れているはずなのにー。
(…なんでこの子はこんなに元気なの?)
「いや…全然平気だよーそれよりも」
アベルはわたしの伸ばした手にキスしながら
「…ジェニーが帰ったらまたいつ会えるか
わからないのが嫌なんだ」
「ジェニー。好きだ…愛してる。
…もっとずっと一緒にいたい」
アベルはわたしに覆いかぶさって
キスをしはじめた。
「帰らないでー…そばにいて」
「…ん…ああ…アベル、お仕事は?」
わたしの質問には答えず、手と唇を
移動させ続けていく。
アベルの熱い唇と手が首筋と鎖骨を伝って、
わたしの胸に手を這わせていった。
また心地よさと快感が身体に広がっていく…。
「ジェニー…ー結婚して」
「…んん…、ああん…」
アベルの身体が移動してベッドの下のほうに
沈んでいくのが見えた。
「ね…結婚してくれる?」
アベルの唇がわたしの敏感なところにたどり着いて
わたしを唇と舌と指で翻弄する。
「ああ…だめ…」
快感がせりあがってきて…。
アベルは途中で止めてしまった。
「ジェニー、ー結婚してくれるね?」
アベルが確かめるように訊いてくる。
わたしは達したくてアベルにお願いをする。
「アベル…お願いー止めないで…」
アベルはうっすら笑って言った。
「結婚するって言ってくれたらイかせてあげるよ。
ジェニー…」
(こんなところでヤンデレアベルが発動する
なんてー!)
「お願い…アベル…ああ」
アベルは、またわたしを快楽の高み近くまで
連れて行き、その途中で行為を止めてしまうー
のを何度も繰り返した。
「ああ!お願い…アベル、結婚してー!」
あまりにも達したい欲求が強すぎて
どうにかして欲しくて。
本来なら『イかせて』と言うべきところを
『結婚して!』と叫んでしまった。
「…ああ、愛してるよ、ジェニー…結婚しようね」
それからアベルは安心したように、
わたしをようやく何度か達するまで導いてからー。
彼は就職して初めて大遅刻して出勤したのだった。
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