幸福な結婚とは? 21 ジェニファー&ジョージ&アベル
お久しぶりに更新しました。
お待たせして申し訳ありません!
大公宅でキーパーが鳴り響くと
ラウルとカイルは一斉に顔を上げて二人同時に呟いた。
「まずい…」
(アベルだわ)
アベルが助けに来てくれたに違いない。
大きな安心と共に一瞬
(大丈夫かしら?)と心配になった。
いつも冷静なアベルだが、スイッチが入ると途端にびっくりするぐらい
キレてしまう傾向がある。
(…大公宅を鳳凰の炎で焼いたりしないといいけれど…)
と本気で心配になった。
そこへいきなり部屋の入口のドアが開いて、大公閣下が部屋に入って来られた。
「どうやら君のフィアンセは短気な上に礼儀知らずらしいな。
あとでレイモンドへ一言文句を言ってやらねばーー」
キーパーが鳴り響くのも構わず、太閤閣下は悠々としている。
「早くお帰しになった方が、厄災を背負わずに済みますわよ」
とは言ってみたものの、閣下は全く構わないと言った感じで返された。
「まぁ、それも面白い。
生意気な義甥っ子とその息子にお灸を据えるのもな」
と笑顔なのは、もうサディストのそれである。
(ああ!!もう、何がどうなっても知らないわよ!?)
わたしは心から叫びたくなってしまった。
「アベルと帰りたいならくれぐれも、無理にこの部屋を動かない方がいい」
大公閣下は私に言いきかせるように念を押した。
「キーパーが鳴ると自動で色々な仕掛けが動くようになっている。
使用人も退避させているのだ――危険になるからな。
五体満足でいたいなら、この部屋にいるのがお利巧さんだ」
今度はまさに好々爺といった風情でわたしに微笑んだ。
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「…キーパーが五月蠅いな」
ところどころで鳴り響くキーパーを苛立たしげに指をパチンと弾いて燃やしながら、アベルは特徴のないただ広く長い廊下を歩いた。
建物を上から見た図と配置、地図上での
ジェニーの場所から彼女のいる大体の場所は検討が付いている。
しかし歩いて行く内に妙な事にアベルは気づいた。
メイドやその他の使用人の姿が完全に消えている。
――しかも…。
(何だ?…この違和感は。なんだかぐらぐらして気分が悪い)
確実に違和感を感じながらも、アベルはゆっくりと廊下を進んでいった。
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「お前達も行きなさい」
大公閣下は横で控えていたラウルとカイルに伝えた。
「そんな…!」
「御一人では危険です...」
ラウルとカイルが同時に叫んで異議を唱えたけれど、大公閣下は
「お前達が居ても彼は止められない。
それより今後の業務に触ると困るから
下がりなさい。お前達にはまだ魔法管理省に関わって貰わなければならぬからな」
大公閣下が、自ら続き部屋の扉を開け、
二人を隣部屋へ誘導するのと入れ替わりに、最初案内してきてくれた執事さんがやって来た。
彼は丁寧に一礼してから
「――お客様が今、やってきます」
と大公閣下に報告した。
「そうか。では丁寧に歓迎してやらなければな」
そう言って微笑むと大公閣下は窓際まで移動して外を眺めた。
「…出迎えてやってくれ」
振り向かず、窓をトントンと叩きながら執事に頼んだ。
屋敷の外は生い茂る木々で見えない。
しかし確実に――来客は他にもやって来るはずだった。
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アベルは廊下をゆっくりと歩いて行く――が徐々に気分が悪くなっていった。
(何だ?これはおかしいぞ…)
何かに少しずつからめ捕られる感覚が強くなる。
まるで蜘蛛の巣にかかった虫が、少しずつ糸を掛けられているかのような感覚だった。
その時、廊下の端でこの屋敷の執事らしき姿が見えた。
こちらを向き一礼をしている。
この屋敷――正確に言えばキーパーが鳴り響いてからのだがーー初めての使用人らしい姿だった。
アベルは気分の悪さを覚えながらも
『ジェニーがあの部屋で待っている』
妙な確信を抱いて、執事の方へ向かって歩いていった。
お待たせしました。
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