幸福な結婚とは? 14 レイモンド=バランタイン
今回短くてごめんなさい…。
その後はまさに快楽地獄といったものに堕とされた。
今、思い出しても冷や汗が出る。
レイモンドは思った。
(ーーもうあんな思いはごめんだ)
「アベル復活の為、魔力を根こそぎ持っていかれた」
とリリスは容赦なく義父レイモンドから奪っていった。
魔力が切れればエクストラポーションを飲んで魔力回復をし、腰が立たなくなれば、何故か悪魔のリリスが回復魔法を掛けてまで腰の状態を回復させられた。
通しで三日三晩まさに絞り採るというのが正しい表現だろう
ーー最後のほうはレイモンド自身が老人になってしまったのではないかと思う程、身も心も灰状態になっていた。
(リリス閣下には全然足りないぞ!と喝をいれられたが)
これもひとえに全てアベル復活の代償だと耐えたのだ。
そうまでして取り戻した(血は繋がらないが)愛する息子の大切な婚約者を…そうやすやすと奪う事など許さない。
「ーーリリス様のご忠告に従おう」
レイモンドはニヤリと笑った。
アベルは『リリス』という言葉を聞くと
思いっきり嫌な顔をしたが、この際構ってなど
いられない。
鳳凰様を皇帝陛下ルートヴィッヒ1世の元へ遣わし
アベルとジェニファーの結婚の許しを直接頂く。
そのまま鳳凰様と共に書簡を持って大公邸に乗り込み結婚は不動のものと義叔父上に知らしめるのだ。
(さすがに皇帝と鳳凰の二段構えではさすがの
義叔父上も反対できまい)
これがレイモンド自身が自らの立場とコネ、そして
聖なる生物の頂点に君臨する鳳凰様の力をまでを
利用した作戦だった。
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鳳凰は、伝書バト代わりに呼び出された割に、
機嫌よく御遣いを了承してくれた。
先程レイモンドが書いてくれた書簡を脚に挟んでやる。
『ーー暇だからな。
いっそ今すぐ大公宅に乗り込んで
あのネズミ臭い邸宅と地下通路を一気に燃やして
くるってのはどうだ?』
と驚くくらい好戦的な事を言うので、今度はアベルが慌てて止める番になった。
『ジェニーはお前の大切なフィアンセだが、
私の古い友人が執心する娘でもある。
奴が大人しく大公に娘を渡したと聞けば、
これから何世紀にも渡ってネチネチと
嫌味と小言を言うに違いない。
私はその様な陰湿な攻撃を受ける羽目になる
のはごめんだからな』
鳳凰はふっと笑った(気がした)。
(それに大公宅では対価を貰う為に面倒になるだろうしな)
アベル復活の魔力の対価をジェニーに払ってもらう事にしたのは鳳凰自身だったからだ。
古い友人のフレーズにピクリとアベルは反応したが、アベルは快く役目を負ってくれた自分よりも
高位の存在である鳳凰へ感謝の辞を述べた。
「ーーありがとうございます。よろしくお願いします」
『では行ってくるぞ』
鳳凰は窓から飛び立つとオレンジ色の炎の塊になり
皇宮方面に向かって行った。
アベルはその姿を見て
(書簡に強力な耐火魔法をかけといて良かった…)
と遠い眼になって見送ったのだった。
お待たせしました。
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