素人が夢を分析すると、こうなる(たくましきご婦人編)
僕は、見た夢をルーズリーフに書き留めています。現実から逃げたいからではないです。どこまで僕の記憶が確かなのか、試しているのです。ある程度たまってきたので、その中から適当に抜き出して、分析してみようと思います。
その1:僕が寝ている布団の上に、真っ赤なビキニ姿のマダムがあぐらをかいていた。
分析:ビキニだったマダムは、Bさんでした。僕が、人事担当の友人に借りを作って左遷させた、係長のBさんです。Bさんは、ひとりでそれはもう大切にお子さんを育てておりまして、お子さんのことで必死で、心に余裕がないため、若手達を使ってストレス発散をしていました。なぜ部署から追い出そうと考えたかというと、産休前の職員を強引に休日出勤につきあわせ、日が変わるまで仕事をやらせて風邪をひかせたからです。僕は、その職員を、姉のように慕っておりました。なので、Bさんのひどい行為に裁きを下してやろうと、今まで録音・録画してきたBさんの仕事ぶりと、物の証拠をある筋に提供し、なんとか委員会に飛ばしました。作戦名は「Bごろし」です。Bさんの名字とビキニが発音上似ているので、脂肪のかたまりのBさんがビキニを着ていたのは、なんとなくではなかったのでしょう。なんとか委員会で牢名主ポジションに位置しているという噂を聞いたので、あぐらだったのかもしれません。ビキニの色は……虐げてきた人々の血を表わしているのでは。
その2:ハエ叩きで、三頭の豚の臀部をひたすら僕がぶっている。
分析:昔話にありそうな処刑方法だったので、目覚めたら動悸がしておりました。程度は軽そうですけれども、僕が受けているわけではないのに刑罰に痛みを感じるのです。豚の顔は見られませんでした。でも、心当たりがあります。他部署の資格持ちのおばさま三人衆です。あの人達は、常に集団行動で何かと文句を言いにきます。おばさまを敵に回すと、病気の休暇を出さねばならないところまで追い詰められてしまうので、細心の注意を払って、良い対応を頑張ってきたはずなのですが、内線でかわるがわる嫌味をたっぷり盛られて、疲れていたのです。ハエ叩きのスパン! てすっきりした音が、耳に残っています。臀部を腫れさせるより、舌を抜いておきたかったです。しゃべれなくなったら、もう悪口言えないでしょう。
その3:焼却炉の前で、見知った人をモデルにした着せ替え人形を捨てようか悩んでいる。
分析:高校の国語科教員だった。本を読むことが他人と関わるよりも好きだった僕に、なにかと優しく接してくださった。脚のきれいな女性だった。毎日の服装を自由帳にスケッチした。関心があったのだと思う。卒業後も、連絡をとっていた。今は、僕が返事を止めたので、途絶えている。僕の気に入らない答えを、あの人があっさりと書いてきたのだ。仏教がらみのお話が得意なくせに、あの人は、世を去った後の世界なんか無いと、断言した。燃えて骨と灰になるだけ、何も感じない、だから私が歴史に名前が残っているかどうかは知ったこっちゃない、と。僕は、あの人の手紙を全部破り捨てた。でも、あの人との思い出は、まだ僕のごみ箱に入ったままだった。三十歳を超えていると思われるため、あの人を「おばさま」とみなした。恋は、枯れていたのだ。
気が向いたら、また分析します。ラーメンができたので、一旦、お別れです。