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悪い夢
中華料理の品評会に、卵かけご飯を出すようなことを繰り返していた私が、憎い。卵かけご飯は料理とはなかなか言えない。それを「自信作です!」「誰にも負けない旨さ」とアピールしていたのだ。恥ずかしいを通り越して、何をしているんだ。でも、この世はやり直しがきかない。
野球がしたかった。約二十年、私は壁打ちをしている。でたらめなフォームで、いつかスカウトされると根拠の無い自信を持って。
キャッチボールすら、したことがないのかもしれない。
壁打ちをしつつ、野球が好きな人に声をかけてみて、キャッチボール仲間になる。他の河原でもキャッチボールをしている人達と交流して、草野球をする。試合の回数を重ねて、勝ってゆけばそれなりに観客が集まる。
私は声をかけようとしなかったのだ。今も愚直に壁打ちをしている。野球は夢のまた夢のまた……。
悪い夢を飽きるほど見ているのに、まだしがみついている。私は常識を知らないのだろう。
どなたか暖かい部屋でお茶を飲みながら、話を聞いてくださいますか。私も聞きます。




