Q
彼女の話を聞いて、
何かに反応して思わず彼女を抱きしめようとした彼だったが、
抱きしめようとした彼女の体を透過してしまう。
それは、実体のない幽霊のように……。
その感覚が彼の何かをさらに刺激して、
忘れていた彼女の記憶を薄っすらと思い出して彼の瞳から一粒の涙が流れた。
彼は彼女の事を全て思い出したわけではないが、
彼は彼女の事を知っている。
彼女が話していた内容も本当の事だと実感をするほどに……。
我に返った彼は、幽霊のように透過した彼女の方に彼が不思議そうに振り返ると、
彼女の姿が本当に幽霊のように、
いや……蛍の灯のように光りながら姿を消した……。
しばらくすると、部屋全体が明るくなり、
扉の入口から数人の人が入ってきた……。
そして、入ってきた数人の人達は彼に驚かせたことを謝罪しながら、
彼に説明をした。
その話によると、
この部屋は、『謎を体験できるキューブ上の不思議な部屋』
というのがコンセプトで作られた
通称「Q部」と呼ばれている最新の特殊技術を使ったアトラクション空間のようなもので、
粒子ホログラム空間マッピングという特殊技術がつかわれていて、
目に見えない小さな体には害のない粒子が部屋には充満されていて、
四方八方からその粒子に特殊な光のようなものを交差や反射させて、
どこからどう見えるかを瞬時にスーパーコンピューターで計算処理を行い、
空間にマッピングする技術がつかわれているそうだ。
その為、実体がないものや映像などを
現実にあるかのように立体的にリアルタイムで映し出せる。
また、映し出したものに合わせるように実体をおけば、
本当にその映し出したものがその場にあるように感じることさえ体験できる。
まさに疑問を感じるような不思議な体験ができる場所になるそうだ。
その技術開発は『プロジェクトQ計画』と呼び、
彼女もそのプロジェクトに関わっていたのだそうで、
彼女はこの空間の案内人役として色々なデータを取っていたので、
そのデータと彼女の残していたプライベート用のネットワーク内にある仮想空間に残されいた
色々なデジタルデータを元に特殊に作り出したもので、
彼が見ていた彼女はどんなに本物に近いものに感じても、
あくまで人とデジタルデータの力によって作り出した似て非なるもので、
彼女は……。
彼は彼女の事を少し思い出したとはいえ、
すべて思い出した訳ではないのでどこか他人事にも感じる所がまだあるからか、
その話を不屈雑だが全て受け入れることができていた。
そして、彼女の話していた最後の言葉を思い出し、
疑問が彼の頭に浮かんだ。
『私をこのまま、あなたのお嫁さんにしてください』
彼女は最後にそう言っていたからだ。
『このまま?。お嫁にさん?』
彼はそのプロポーズのような言葉に疑問を感じていた。
彼女と結婚していたという事なのだろうかでも、
お願いという事は結婚していないという事なのだろうか。
でも、もう彼女は……。
彼がそう疑問に感じて頭の中が複雑になってきていた時だ、
彼の前に招待状を渡してくれた義父さんが現れた。
そして、義父さんは彼のその疑問の答えを教えてくれた……。




