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カタチなきセカイへ  作者: ツカサマコト
前章
3/36

ユメと日常


 「うわぁぁ~!」


 ドスンッ!大きな声と大きな物音がした。


 「痛っ」


 ベットの下でうつぶせになる男性。


 「んっん~」


 まだ、男性は寝ぼけているようだ。


 ブブブブ……ブブブブ……ブブブブ……。


 何かが振動しているようなバイブレーションの振動音が聞こえると、


 「うぁっ!」


 男性は再び声をあげた。

 その後、おなかのあたりで振動する携帯電話を男性が手に取った。


 「設定していた……アラームか……」


 そう男性がつぶやいて、

 携帯電話のアラームを解除すると気分悪そうに男性は部屋を出た。




―― 早朝のリビング


 「ふわぁ~」


 リビングにきても、まだ眠そうに男性があくびをしていると、


 「おはよう。もう起きたの?」


 キッチンの方から女性の声がした。


 「えっ……あぁ……おはよう……」


 男性はリビングのテーブルにある椅子に座りながらそう返事をかえすと、


 「何かすごい声だったけど、何かあった?」


 キッチンから食事をテーブルに運びながら女性が男性を心配そうに質問をする。


 『うっ……どうやら声を出したのは、

  夢の出来事ではなかったようだ……。


  まさか、ここまで聞こえていたとは……。


  寝ている時の夢でいい大人が、

  大声出して起きるなんて……』


 そんなことを心の中で思い照れくさそうに女性から目をそらしながら、

 男性は言う。


 「あぁ……なんか変な夢を見て……」


 その言葉を聞いた女性は少し微笑みながら、


 「へぇ~。それで驚いて、ベットからも落ちて、

  普段はアラームで起きてもしばらくはベットから出ないのに、

  今日はいつもより早く起きてきたと……。


  そういうわけですか……。


  それで……どんな夢だったの?」


 完全に男性のことを見透かしたような感じで女性はそう答えた。


 『ベットから落ちたのもお見通しですか……』


 男性は心の中でさらに恥じらいが出てあせったのもあり、


 「え~っと、あれっ、何だったけなぁ……。

  何か悪夢だったのは覚えているんだけど……」


 寝ている時の夢は起きればよくわからなくなるのも不思議なことでもないが、

 恥じらいもあり、焦りから夢の内容も頭の中で真っ白にとんでしまい思いだせなかった。


 「えぇ~。あんな物音や声をあげていたのに覚えていないの?」


 食事を運び終わった女性は、

 男性の前の椅子に浅く腰かけながら、

 ニヤニヤと興味津々に男性を見る。


 男性もニヤニヤした女性にそう言われるとすごく照れくさいが、

 どんな夢だったのかも気になるのか思いだそうとする仕草はするが……。


 「そんなに声が出ていたかなぁ……。

  う~ん。でも、ごめん覚えてないや……」


 そう男性が答えると女性は少し不満そうに椅子を深く座りなおした。


 「もぉ~そんな記憶力だと、いつか私のことまで忘れちゃうんじゃないの」


 そう不満そうに女性がいうのに対してすぐに男性は、

 「いや、病気とかにならない限りは忘れないよ」

 と否定すると、


 「えっ!?、病気になったら忘れちゃうの?……」

 そう悲しそうな顔で女性は少し前のめりになって男性を少しうるんだ瞳で見つめた。


 思わず『えっ!』っと男性が言葉を詰まらせると、

 そんな男性の表情をみて女性は、


 「フフッ。本当に忘れないでよ」

 っと笑顔を見せた。


 完全にからかわれていたようだ……。


 「ほら、早く食べよう」


 もうこの話はおしまいという感じで、

 女性は話に区切りを打つようにいう。


 本来は男性は『忘れるわけない』っというだけでよかったのだが、

 忘れる可能性の逃げ道を作ったネガティブ的な思考の言い回しを無意識にしていたが、


 そんな男性の言動もよんでいたかのように

 すぐに明るく返す女性はよく男性のことを理解しているようだ。


 男性は食事を作ってくれた事とは別に、

 そんな女性の愛情を感じたのか少し嬉しそうに、


 「いつも、ありがとう」


 そう小声でかえした……。



【次話】 追憶の記憶

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