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カタチなきセカイへ  作者: ツカサマコト
後章
17/36


 彼は漆黒の闇と同化するような、

 そんな感覚を受け入れようとしていたその時だ。


 「ダメだよ!」


 どこからか女の子の声が聞こえた。


 その声を意識した時、再び彼の中に光が差し込んだ。


 「あっ。ほら目を覚ました!」


 幼い女の子の声だった。その声を聴いて今度は幼い男の子の声だろうか。


 「にげろ~」


 男の子の声が足早に立ち去っていく音が聞こえ、

 そして、その後を追うように


 「ちょっと、待ってよ~」


 女の子も男の子を追うように立ち去る音がした。


 「あっ。コラッ!病院では走っちゃダメよ!」


 どうやら年上の女性だろうか子供たちが見つかったのだろう注意されている声もした。



 そんな音を聞きながら彼は目を覚ました。

 ここはどこだろう……。

 そう不思議そうにあたりを彼は見わたした。


 そして、部屋に入ってきた看護師さんだろうか目が合うと、


 「あっ、ちょっと担当医を呼んできますね」


 そういうとすぐに出て行って担当医がやってきた。

 いくつか診査や質問をされた。


 「なんで、ここにいるか分かりますか?」


 担当医が彼に質問すると彼は、


 「いえ、分かりません」

 そう答えた。


 そんなやりとりをしていると義父という人がやってきたが、

 彼は、はっきりとは誰か分かっていない様子だった。


 どうやら数か月ほど意識不明で眠ったままだったそうで、

 彼は精神的ショックで記憶も失ってしまったのだろうという話だ。


 ただ、言葉などは分かるようなので、

 意識不明になるきっかけになったことに関することを中心に


 無意識に精神的な自己防衛のロックがかかっているのが原因とのことだ。


 記憶はすぐ思い出すこともあるが、

 ずっと思い出さないままになることもあるし、

 突然、過去の記憶が現実のように感じることも起こるかもしれないとのことだった。



 きっかけになった出来事がなんだったのか、

 聞いても今は様子を見ようとのことで教えてもらえなかった。



 4月末。

 病院での生活もなれてきたが、

 意識もはっきりしているとのことで病院を退院することになった。


 大型連休ということもあり、義父(おじ)さんも休みで、

 新しい環境でゆっくり、記憶をなじませていけばいいという事で、


 義父(おじ)さんの知り合いの山形で農家をしているというおじさんの家の隣の空き家で、

 農家の手伝いをさせてもらいながら居候させてもらうことになった。



【次話】 7月・七夕の願い


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