番外編:03 孤独なる神の日常
またまた短めですが番外編です。
まず最初に見たのはトール家の神が作った世界だ。
とは言ったところで、そもそも彼等は凝り固まった選民意識とクソみてぇなプライドを身体中に塗りたくった連中なので、半分は「そんな娯楽に手を出すものか」と言うし、三分の一は「喩え娯楽だとしても俺より上に居るやつをこれ以上成長させてたまるか」と言うし、十分の一は話しかけようものなら「ぶっ殺すぞてめえ!!」と喧嘩ふっかけて来る。
十分の一はぶん殴りつつ、ナナシは残りの十五分の一の少数派に世界を見せてもらう。
トール・エルドは「自信作だ」と言って、人々が機械を作り戦う世界を見せてくれた。
人の体躯に対してあまりにも大きいそれは、然し人の指先の千分の一になろうかという極小の部品を幾億幾兆もの数組み合わせて作られて居た。
それを目の当たりにした時、ナナシは感嘆の声をあげずには居られなかった。
緻密に作られたその機械を、時に激しく時に繊細に操って、彼等は戦っていた。
そこに秘められたドラマ。青春、熱きバトル。感動のフィナーレ。
ナナシの求めていたドラマとは正しくこういうものである。
トール・ペスは「腰抜かすなよ?」と言って、多くの知性体が存在する世界を見せてくれた。
数多くのエピソードの内、ナナシが最も気に入ったのはある惑星の人間と、彼にとって外星人にあたる存在との友情物語であった。
種族が違えど、共に信頼し合う関係。
ナナシは、最早同族は一人残さず死に絶えたナナシにとっては、それはまさに希望の物語に思えた。
ナナシは今まで感じたことのない、何か胸の奥に残るものを感じた。
トール・ジャットは何も言わずにすっと彼の世界を見せた。
それは、実に美しく均整の取れた世界であった。
我々の頭の中の常識が「有り得ない」と叫ぶような光景ではあったが、
宇宙の全ての星が、連星を為しているのだ。
余りの驚愕に、ナナシは暫くの間声を出すことすら出来なくなった。
奇跡的、と言う他に無いその光景にただただ見惚れて立ち尽くすばかりであった。
トール・イェは「僕のじゃあ無い……というか、誰のものでも無いんだけど」と言いながら、"地球"を見せてくれた。
そこに居る知性体は、最初は別段特別な物に感じなかった。しかし彼等は、想像力がえげつなかった。
彼等の描く物語は、ナナシを引き込んだ。
語り継がれる伝承に耳を傾けた。
それ以来、ナナシはちょくちょく地球を見に来る様になった。
「地球、かー。」
ナナシは独り言ちた。
「面白いものがあるもんだ。」
ナナシが最も影響を受けた概念と言えば、"龍"であろう。
自らを"龍神"と名乗るまでに、彼の存在に憧憬した。
……言ってしまえば中二病である。
地球から、最悪の病気を拾ってきてしまった。




