勘違い
天候が悪くなる中。俺はマリカを探していた。
あいつどこ行ったんだ?
俺は黙々とマリカを探す中、クラスメイトの女子の会話に耳を澄ました。
「ねぇ。雪乃?マリカさんの事どう思ってる?」
声を小さく言っているのでよくは聞こえなかったが…
マリカの事を言っているのは分かった。
「あぁ。マリカさん?普通だけど?だけど少し近づきずらいわね」
何でだ?マリカは普通に女子と話してるイメージだったが。
俺は記憶を遡る。
確か、昨日の体育の時、「二人組を作って…キャッチボールをしてくださいー!」って言われた時、女子は奇数だから一人余る…
マリカが引っ越して来る前は偶数だったためピッタリ作れる……
もしかしてマリカには友達が居ない?
少し前に俺は「信用できる友達になら言っても良いんじゃないかな?」と言った。
もしあいつに友達が居なかったら…その言葉は心に刺さる。
「あぁ。もうなんだよ!?」俺は止めてた足を走り出す。
何処に居る!マリカ!
教室、図書室、グランド、思い当たる所には全て行った。
あと行ってない所と言えば、
「おい!マリカ!居るか?」女子トイレだ。
俺も中学の時は友達が少なく。よくトイレで時間を過ごした物だ。
トイレの奥から「しくっしくっ」と涙を流す音が聞こえる。
あいつ泣いてるのか…
「あんた…ここでなにやってる訳?まさか覗き?変態ー」と後ろから罵られる。ってこの声はマリカ?
後ろを振り向いた瞬間。強大な力を持つマリカの右手で顔を殴られ数メートル先までふき飛ぶ。
マリカはトイレで泣いていたんでは?
「で、結局何やってたのよ?マリカー居るかーとか言っちゃってさ。私に用事でも?」そこから聞いていたのか…
めっちゃ恥ずかしい。
マリカの方を向くと左手に焼きそばパン。ん?どういうこと?
「さっきはゴメンな?お前が友達居ないなんて知らなかったから」
マリカは少し考えこみ。
「何いってんの?あんた。私がいつ友達居ないって言った?」
「だってさっき、俺が信用できる友達になら言っても良いんじゃないか?って聞いたら走って行ったから、てっきり友達が居ないから怒って行ってしまったのかな?と思って」
マリカははぁ?とした顔で
「私はただ、後ろの方で焼きそばパン後三個だよー!って言ってた人が居たから買わなきゃ!と思って走っただけよ?」
俺の勘違いだったか。おれは呆れた顔で…
「その焼きそばパン、俺にも一口くれよ?」
「まぁどうしてもって言うなら食べされてもあげなくも無いけど?」
「お言葉に甘えて」と俺は一口を大きくして
「あんた!?バカじゃないの?これが一口って言うかー!
ほぼ半分食べてるじゃない!?」
こうして夏休み前の学校を終えた。