偽物の恋人
「おい陸ぅお前マリカちゃんと知り合い?」知り合いって言うか…完全俺が被害者だけどな。
「知り合いって言うか…少し前にカラオケ行っただろ?」この話をするのは何回目だろう。
「あぁ。もしかして陸が膝蹴りされたぁ!って言ってた時の運命の人?」今でも鼻にはバンソーコがはってある。
「そうそうって運命の人じゃないって。」洋介は口を大きく開け笑う。お前絶対俺をからかってるな?。
「しかもこの学校に転校してきて席が近いんだぜぇ?運命としか言いようが…」何で俺があんな暴力女と…
「これ以上何も起こんないといいんだが…」完全にフラグを立ててしまったぁぁー。
学校も終わり家に帰ると。
「お帰りなさいませぇ!坊っちゃん!ちょうど今親父様が陸坊っちゃんを探していたところでしてぇ」
すっかり忘れてたぁー!。
「って親父は何処に?」周りを見回しても親父の姿は見当たらない。
「親父様なは客間に居られますぜぇ」客間?何で客間なんだ。
親父が客間に居るところなんて見たことないんだが…
よっぽど重要な話なんだな…急がなきゃ!。
「おう!分かった!」駆け足で客間に向かうと。
少し広い部屋の真ん中にカーテンが掛かっており。親父は椅子に寄りかかっていた。
「陸か…お前に重要な話がある」真剣な眼差しでこちらを見る。
時が止まるように静まりかえった。
「何だ?親父が俺に大事な話」息を飲む。
「わしの先祖が有名な武将な事はお前も知ってるであろう?今でも昔肩を並べた武将達が世界中にいるのだ。その中でもわしらと因縁の敵だった奴らがここの近くに引っ越してきた。このままでは戦争が起きる」
因縁の敵?引っ越して来た?それが俺とどういう関係があるんだ。
「そこでだ。その武将の子供がお前と年が近いことから陸。その子と恋人になってくれ。因縁の敵でも恋人同士なら争えないだろう。」はぁ?恋人だと?冗談じゃねぇ。見た事も話した事もない女と恋人なんて…
だけどこのままだと親父達が危ない目に会う。
「でだ、その女の子に来てもらった。そのカーテンの後ろで待っててもらっている。」マジかよ!そのための客間か…会うだけ会ってみるのもありだが…
「その男の子イケメンらしいですぜぇマリカお嬢様!」カーテンの裏から微かに聞こえた。
「マリカお嬢様?」あのマリカな訳ねぇよな。
「で、そのイケメンの男の名前は何と言うの?」この声まさか…!
「えーと、陸と言ったはずで…」おれは反射的に走ってカーテンを開けた。
「やっぱりお前か…」暴力女だ。
「何であんたがここに!ってかこいつがイケメン?」マリカはこちらに指を指していった。
「親父!こいつが武将の子供の女の子じゃねえよな?」マジかよ!よりによってこいつかよ…
「陸…この子と知り合いだったのか…だったら話は早い。今から恋人になれ。」
こいつと俺は偽物とはいえ恋人になった。