暴力女マリカとの出会い
「いってぇー」鼻を押さえながら待ち合わせ場所に急ぐ。
洋介が見えると俺は手をふる。
「陸ぅ?遅せえぞぉー!ジュースおごりな!ってなんで鼻押さえてんの?」俺は怪我した理由を話す。
「なるほどなぁ…って陸?それて運命的な出会いってやつじゃない?」なわけねぇだろ?何で膝蹴りされて運命なんだ?
てかまず、顔もよく見えて無かったしなぁ…
唯一見えたのは髪が金髪の美少女って事ぐらいだし…
「そんな訳無いだろ?」運命的な出会いと言うのは大抵「学校に遅れちゃうー!」って言うシチュエーションでパンをくわえた美少女が曲がり角で男子とぶつかって恋に落ちるのが定番だろう。
「まぁカラオケ行くか!」洋介が今世紀一番の笑顔で言った。
─それから三日後─
俺はすっかり親父から話があることを忘れてしまっていた…
「皆!急で悪いけど今日は転校生が来ている!入ってマリカさん!」ほんとに急だなぁマリカって事は女の子かな?
「おい?陸ぅ」めっちゃ小さな声で洋介が聞いてきた。
「マリカって事は女子だよな?美少女かな?」お前って奴は…
まぁ男子なら思うことだよな。
教室のドアが開く。ひらりと揺れる金髪の髪の毛。
学校の制服にふとももが少し見えるぐらいの長いニーソ。
これぞ美少女って感じの子が入ってきた。
「なんか見たことあるような無いような…」無いに決まっているのだが何か引っかかる。
「私の名前は一ノ瀬マリカ!アメリカと日本のハーフで最近ここの近くに引っ越して来ました!」綺麗な金髪だなぁって!
「お前はあの時の暴力女!」俺に膝蹴りをしてすぐに走って行ってしまったあいつだ!
クラスの中が少しざわつく。暴力女?
マリカはこちらを見つめる。
「私が暴力女ですって!?何でそんな…って貴方。あの時の…」
恥ずかしそうに顔を真っ赤に染めながら言った。
「走って行ったのは悪かったと思う。けど私にも事情があったの!
ってか暴力女って何よ!あれは…そうね!事故よ事故!」
事故?ふざけるな!事情があったとしても普通はその場で「大丈夫ですか?」とか「怪我してませんか?」って言うだろ!
「ふざけるな事故な訳ないだろ!?まず事情があったとしてもその場で俺の事を心配するだろ!」ちょっと強く言い過ぎた気もしたがこれぐらいがちょうどいい。
「うっさいわね!大事な事情があったのよ!てか心配したに決まってんでしょ?ちゃんと謝ったじゃない!」確かに謝られたが…
これ以上言ったらさすがに面倒な事になりそうだしなぁ…
気まずい空気がクラスを取り巻いてやがる。
「マリカさん。席はそうね。仲が悪いならなおさらよね!陸の後ろの席に座って…!」俺の後ろ?
「分かりました!先生。」俺の横を通ると俺の方を向いて「ふん」と言ってきやがる。俺は顔をそらすとそっと前を向いた。