プレイバック
男の子だって、短大ぐらい出ておかなくちゃ。
高校卒業後、ボクは貞淑男子短大の家政科に入学した。花婿修業にもなると人気の学校だ。サークルはマナー研究会。
可愛いメイド服を着て、スカートの端を掴んで「ご機嫌よう」って上品に挨拶するんだ。
デートに遅れたボクは慌ててスカートの端を掴んで許しを請う。
すると、ボクは彼女に顎をクイっと指で持ち上げられ、優しくキスされた。
嬉しい!
マナー研の経験が役に立った。
壁ドンされて、彼女から突然の告白。
ボクはキュンとした。
だって、憧れのシチュエーションだったんだもん。
クリスマス
ボクは手編みのマフラーを用意した。ひと編みひと編みに思いを込めて、頑張って編んだんだよ。使ってくれるかな?
彼女からは、ハートのペンダントがついたネックレス。
おねだりして、早速つけてもらう。
「カチリ」
首の後ろで、留め金の音。
ボクは感動して、思わず涙が止まらなくなった。
これって、結婚首輪みたいじゃね。
婚約して、ボクは彼女の家で住み込みのメイド見習い。
先輩メイドさんに、彼女好みのお料理を習ったり、お掃除やお洗濯。早く先輩メイドさんみたいに上手になりたいな。
夢だった結婚式。
ボクはウェディングドレスを着て、愛と貞節を誓う。
彼女に結婚首輪をつけてもらって、誓いのキス。
ふわり。
彼女に抱っこされて、ブーケトス。
結婚後も、実はそのままメイド服を着続けてる。だってこの服って可愛いいんだもん。
妻が帰宅したら、三つ指ついてお出迎え。もちろん新婚三択、「お帰りなさいませ、あなた。お食事になさいます?お風呂になさいます?それとも・・・」
ご飯のお代わりをよそって、お酒のお酌をする。
妻の肩にボクは、頭をコツンと寄せる。
婦夫団欒のひととき。
久しぶりのお出かけ。
ボクは、妻の後ろを三歩下がってついていく。
妻と並んで歩くなんてはしたないことはしない。だってボクは貞淑な夫なんだもん。
だって、婦唱夫随って言うでしょう。




