王国との決闘18
隼人は、ゴルを馬の後ろに荷物のように載せた。
まだゴルは意識を失ったままだ。
隼人はライラに言った。
「ゴルの誘拐が気取られる前に、ヤミ金ギルドに戻ろう」
ライラは馬に鞍をつけながら、宿のほうに視線を向けた。
「宿の人には、あたしたちが戻ったことは気づかれてないみたいね」
隼人はうなずいた。
「問題は、大城塞〈ガルダ〉から、王国に知らせが行くことだな。まぁ、〈ガルダ〉はロクシア兵たちを捕まえるので、当分は忙しいだろうが」
ゴルは姿を変えていたので、最後まで誘拐されたのが魔術師ゴルだった、と気づかれなかった可能性もある。そんなことを考えながら、隼人は馬にまたがって、〈ギルド宮〉を目指した。
帰路の途中で、ゴルが目覚めそうになったので、隼人はあらためて睡眠の魔法をかけた。そして、日が暮れ始めたころ、隼人とライラはようやく都に入った。そこからさらに三時間かけて、ギルド宮まで行く。
「憲兵の待ち伏せがないか、確かめてみよう」
そう言って隼人は探索魔法を使ったが、とくに怪しい気配はなかった。
そこで、隼人はゴルを浮遊魔法で浮かせてから、まず馬たちを馬小屋に入れ、それからライラとともにヤミ金ギルドの本拠に戻った。
これから、ゴルの口を割らせるという仕事があるわけだが。そこのところは、自白魔法がリストにあったので、使ってみることにしていた。
ヤミ金ギルドの拠点⑤は、有事のときのみ集まるようになっていて、普段はギルド員はいない。そこを尋問室とすることにした。隼人は、拠点⑤にあった椅子に、ゴルを座らせた。
ライラが、隼人に聞いた。
「それで、どうするの?」
「まず、眠らせているあいだに自白魔法をかけておこう」
隼人は、ゴルに対して詠唱魔法を放った。
「ゴルが、すでに対抗する魔法を使ってなければ、これでなんでも聞かれたことを話すはずだ」
そして、ゴルはそこまでの対策は取ってないだろう。というのも、ゴルの中では捕まる予定はなかったはずだからだ。
ライラがバスタードソードを抜いた。
「念のため、いつでも首を斬り落とせるようにスタンバイしておくわね」
「せっかく連れてきたんだから、殺すのだけはやめてくれないか」
「ところで、ゴルはまだロクシア兵の鎧を装着しているようだけど?」
ライラに指摘されて、隼人は思い出した。ゴルはロクシア兵に化けていた。真実を見る魔法で、いったんはゴルの姿を暴いたが、そちらの魔法はもう解除したのだった。
そこで隼人は、ひとまずゴルが自分にかけていた変身魔法を解いた。
すると、50歳ほどの白髪の男が現れた。服装は、ルカの着ているようなローブだ。基本、これが魔術師の衣装らしい。
「じゃ、起こすぞ」
隼人は、ゴルにかけておいた睡眠の魔法を解除した。




