表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/84

メシア戦⑨


〈メシア〉ギルド・マスターであるロクを殺すにあたって、ルカとの遭遇は避けたかった。

 隼人は考えを口にした。

「ロクは、どこにいるのか。これを正確に当てられれば、勝機はある」

 

 ライラが言った。

「地下壕にも大城塞にもいないとなると、どこにいるのしら?」


「狩場かもしれない。いちばん考えにくいところだからな」


 一度でも、ロクの姿を視認できれば、追尾魔法で、つねに居場所を探れるのだが。


 隼人は、周辺マップを魔法で出してから、森林地帯を狩場へと進んだ。

 狩場の近くには、衛兵の姿があった。衛兵と憲兵団が同じなのかどうかはわからないが、この衛兵のレベルは83だった。隼人とライラにとって脅威ではないが、ここは下手に接触して、騒ぎを起こさないほうが良い。

 そこで隼人は不可視の魔法を、自分とライラに使った。


 やがて狩場のまわりにある柵のところまで行った。


 先にライラが柵を越えようとするが、隼人が止めた。

「まて。その柵には全体に防御魔法がかかっている。無防備で越えようとしたら、危ない」


「つまり、どういうこと?」


「狩場は、防御魔法で守られているようだ。それも強力な防御魔法だな」


 ライラは首をひねった。

「変ね。前に来たときは、防御魔法なんてかかってなかったわよね。あれから、まだ半日しか経ってないのに」


「では、半日のうちに何者かが、狩場を守るように防御魔法を張ったのだろう」


 ライラが緊張した様子で言った。

「それって?」


 隼人はうなずいた。

「間違いなく、ルカの仕業だろう。ルカは狩場を守るようにして、防御魔法を張った。ルカほどの魔術師でも、これは大がかりな魔法だ。そんなことをしたということは、狩場のなかに、どうしても守護しておきたい『何か』があるということだ」


「ロクがひそんでいる可能性が、格段に高まったというわけね」


 隼人は、柵の一角へと片手を向けた。そして、防御魔法が確実に、狩場を囲う柵全体へと巡っているのか、感知魔法で確かめた。手抜かりがあって、防御魔法の途切れている個所があれば、そこから狩場内へと侵入できる。


 だが、そこはルカの仕事だ。手抜かりなどはなかった。


 ライラが心配そうな様子で言った。

「防御魔法を破れないの?」


「いいや。防御魔法を破ることは可能だ。しかし、破ったとたん、ルカに気づかれるだろう」


「すると、ルカは知るわけね。わたしたちが狩場内にいるロクを仕留めようとしている、と」


「防御魔法を破ってからは、時間との勝負だな。ルカと直接対決して勝てる確率は五分。できればルカとの戦闘は避けたい」


「ルカが駆けつけてくるまえに、ロクを見つけて、殺すわけね」


 隼人はうなずいた。

「そうだ」


 ライラはバスタード・ソードを鞘から抜いて、微笑んだ。


「いいわね。面白そう」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ