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メシア戦⑥


 地上から〈大王宮〉の最下層まで昇ったところで、隼人はセーラに聞いた。

「〈大王宮〉に、王族しか知らないような場所はあるか?」


 セーラはしばし考えてから答えた。

「古い地下壕が、大森林の外れにあります」


 ライラが言った。

「だけどハヤト。王族がロクを匿うのならば、大城塞のほうが妥当なのではない?」


「いや、大城塞はない。たしかに大城塞で守りを固めるほうが、ロクの身は安全だろう。だけど、それだとロクを狙いにおれたちが来たとき、王族が巻き込まれる可能性が出てくる」


「けど、ロクが大城塞にいなくても、わたしたちが『いる』と思い込んでいたら同じことではない?」


「どうだろうな」


 もしも、隼人たちが大城塞へ向ったら、ルカが現れるのだろう。ルカは、ロクの真の居場所を教えてくれる。または、隼人たちを撃退しようとする、か。


 ステータスが『∞』である隼人だが、ルカとの戦闘だけは避けたいところだった。ルカは、隼人の知らない魔法を使えるかもしれない。その魔法が、ステータスなど関係なしに相手を殺すことができるものかもしれない。


「セーラ、地下壕への道はわかるか?」


 セーラは申しわけなさそうに言った。

「ごめんなさい。大森林の外れ、ということはわかっているのですが」


「いや、その情報だけで充分だ」


 トムズが言った。

「ひとまず地上に出ましょう」


 地上へ出るためには、長い階段を上っていく。セーラが自力では上りきれないと思われたので、隼人が浮遊魔法で、セーラを運ぶことにする。


 セーラが言った。

「ご迷惑をおかけして申しわけありません」


「気にしなくていいよ」

 それから隼人はライラに言った。

「交戦のときは、セーラを守ってくれ。いちおう、セーラには防御魔法をかけてあるが」


 ビルドが死んだいま、憲兵は王族であるセーラは狙わないと思うが、念のためだ。


 地上に出る直前で、隼人たちは何者かの攻撃を受けた。

 風魔法による、全体への攻撃だ。


 隼人も風魔法を使って、敵からの攻撃と相殺した。隼人はまわりを見回し、感知魔法も使った。だが敵が潜んでいるところが見つからない。


「敵はどこにいる?」


 ライラはセーラを守る位置に立ってから、周囲へと視線をめぐらせる。

「おかしいわね。この近くには、隠れられる場所はないのだけど」


 4人がいるのは長い階段の途中で、まわりには潜めるような場所はない。


 隼人は気づいた。

「そうか。遠隔から風魔法で攻撃してくるのか」


 風魔法の第2射が、どこからともなく飛んでくる。

 隼人はそれを相殺させてから、言った。

「地上を目指せ。ここからでは敵を攻撃できない」


 階段を走って、上る。何度か、遠隔からの攻撃を仕掛けられたが、隼人が対処した。


 ライラが言った。

「敵は、わたしたちが来るのを知っていたのかしら?」


 隼人は一考してから言った。

「こっちが〈メシア〉の幹部を捕虜にしたからな。敵は、おれたちがロクの居所を〈メシア〉幹部から聞き出す、と読んだんだ」


 ライラはうなずいた。

「それで、待ち伏せ攻撃を仕掛けていたわけね」


 隼人、ライラ、セーラ、トムズは地上へと出た。

 地上の出口に、憲兵団が待ち受けているのではないか。隼人はそう考えたが、敵は見当たらなかった。

だが遠隔からの攻撃は続いている。


 ライラがセーラを守りながら言った。

「どうやら、敵は学習したみたいね。下手に姿を見せたら、ハヤトにすぐ殺されてしまう、と。いくらハヤトでも、敵が遠くにいて潜んでいたら、殺しようがないものね」


「それは、どうかな」


 隼人は、敵からの風攻撃を、感知魔法でとらえた。さらに風魔法の出所を読み取る。ついに隼人たちに風攻撃を仕掛けてくる術者、それの居場所を突き止める。

 その術者に向って、隼人も遠隔の攻撃魔法を放った。


 不意の遠隔攻撃を受け、術者は成すすべなく絶命する。


 これによって、隼人たちへの風攻撃が止んだ。


 ライラが言った。

「待ち伏せしていた敵を、倒したのね」


 隼人はうなずいた。

「ああ。かなり高レベルの魔術師だったな。この敵がいたのは、ここから5キロも離れたところだ。そこから、おれたちに向って、ピンポイントで風攻撃を仕掛けてきていた」


 トムズが言った。

「次なる敵が来る前に、先へ進みましょう」


 隼人はうなずいた。

「縦列移動で行く。出発しよう」




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