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乗っ取り計画


 翌日。ライラは、賭博ギルド〈魑魅〉の構成表を持ってきた。よそのギルドの内部情報はたやすく入手できるものではない。さすがライラといったところか。


「賭博ギルド〈魑魅〉は、やはり、これまでに5コの賭博ギルドを吸収しているわ」


「なら、ヤミ金ギルドがもらいうけるのは、〈魑魅〉の賭博場や、なによりギャンブル中毒の顧客たち。さらに、〈魑魅〉が吸収したところの賭博ギルド員だな」


「つまり、〈魑魅〉のオリジナル・メンバーは切り捨てる、というわけね」


「ああ。〈魑魅〉への忠誠心のあるギルド員は、乗っ取ったあと扱いが面倒だからな」


 現在、話し合いは、拠点②で行われている。拠点②は、会議などに使われるようになった。拠点①は隼人とセーラの居宅、拠点③はギルドへ貸付を行う所、拠点④は一般民へ貸付を行う所。このように区別されている。


 話し合いに参加しているのは、隼人、ライラ、トムズ、そして17人の幹部だった。


 トムズが言った。

「問題は、どうやって〈魑魅〉を乗っ取るのか、ですが」


 ライラが提案する。

「手っ取り早いのは、〈魑魅〉のギルド・マスターを始末することね」


 たとえば、ギルドAのギルド・マスターが事故死などした場合は、そこの副官がギルド・マスターの座を引き継ぐ。だが、ギルドAのギルド・マスターを、ギルドBのギルド員が殺した場合、ギルドBはギルドAを支配する権利を持つ。

 実際、ヤミ金ギルドが勢力を拡大することによって、隼人もこれまでに4度も襲撃を受けている。どれも軽く撃退したわけだが。


 隼人はうなずいた。

「まぁ、それが妥当か。ヤミ金ギルドとしてスマートなのは、〈魑魅〉に膨大な借金をさせることで、最後には吸収してしまうことだが」

 これがヤミ金ギルドの勢力拡大の基本的なやり方となっている。

「けど〈魑魅〉は資金潤沢、ヤミ金ギルドからカネを借りたりはしないわよ」


 トムズが言った。

「以前、やった方法はどうでしょうか? 認可金の納入日の前に、〈魑魅〉の全財産を奪い取るのです」


 ライラが首を横に振った。

「〈魑魅〉は、〈ギルド宮〉のギルドの中では、5本の指に入るわよ。どこの盗賊ギルドが、そんなところから強奪できるのよ」


 隼人もうなずいた。

「かといって、ヤミ金ギルドが動いたのでは、意味がない」

 隼人はさらにリスク/デメリットを考えてから、結論した。

「よし、〈魑魅〉のギルド・マスターを消そう。ライラ、これの障害は?」


「〈魑魅〉のギルド・マスターが、誰だかわからないことね」


「姿を現していないのか」


「というよりハヤトが表に出すぎなのよ。ギルド・マスターを消されればギルドそのものが乗っ取られるのよ。上位ギルドともなれば、マスターの身の安全が最優先となるのよ」


「なら、まずは〈魑魅〉のギルド・マスターを暴く必要があるな。ロスコー、お前のところの隊で探ってみてくれ」


 ロスコーは幹部の1人で、幹部の中ではもっとも優秀でもあった。


〈魑魅〉乗っ取り計画は、『マスターの正体を暴く』が第一段階となった。


 そして。

 ロスコーが〈魑魅〉のギルド・マスターを暴くまでに、47日も要した。ロスコーの責任というよりも、それだけ〈魑魅〉が用心深かった、ということだろう。


 この間にも、ヤミ金ギルドは発展を続けていた。

「〈魑魅〉を乗っ取ることで、ヤミ金ギルドを一気に、上位ギルドへとレベルアップさせるとするか」


 隼人の提案に、ライラが難しい顔をして言った。

「隼人、急成長しているヤミ金ギルドを敵視しているところも多いわ。ヤミ金ギルドが上位ギルドになったら、もしかしたら戦争を仕掛けられるかも」


「戦争、か。たしかに敵を多く作ってきたからな」

 隼人は一考してから言った。

「では、こうしよう。50日後、〈魑魅〉のマスターを殺し、〈魑魅〉を乗っ取る。そして、ヤミ金ギルドは上位ギルドになる。戦争を仕掛けられるとしたら、そのタイミングだろう。だから、50日後までに、戦争の準備をしておこう」



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