表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/84

憲兵団との闘い

  

 憲兵長は速かった。敏捷性はライラ以上か。

 憲兵長はブロード・ソードを一閃させ、隼人を腰のところで真っ二つにした。ブロード・ソードの刃は魔法で強化されていた。そこに憲兵長自身の攻撃力も加味された。その一撃は、たとえ防御力1000でも防御しきれず、8000近くのHPを削り取っただろう。


 いずれにせよ、HP/防御力ともに『∞』である隼人には、関係のない話だが。


 憲兵長は、ブロード・ソードを鞘に収めた。腰のところで真っ二つにされた隼人の死体を見下ろす。


 憲兵長が言った。

「殺してしまったか。ダイナモ、この死体を回収しろ。そして魔術師ルカを呼べ。まだ脳が腐る前に、記憶を読み取らせる」


 隼人は憲兵長の後ろに立って、言った。

「そうか。殺してしまってどうするのかと思ったが、死体から記憶を読み取ることもできるのか。魔法はなんでもありか」


 憲兵長がギョッとした顔で、隼人のほうを振り返った。さらに憲兵長は、五体満足の隼人を見て、顔を青ざめさせる。

 憲兵長がチラッと、足元に転がっている隼人の死体(真っ二つにされている)を見た。

「ど、どういうことだ?」


「わからないか? 5秒前、おれは2つの魔法を同時に発動した。まず、偽物の『隼人』を作った。お前が真っ二つにして喜んでいたのは、この偽物だ。さらに、本物のおれは、不可視の魔法で姿を消した。で、お前の後ろまで回りこんだ」


 隼人は、憲兵長の腹部を殴った。攻撃力『∞』のパンチを、本気で。憲兵長は防御力も高かったが、隼人の『∞』の攻撃力には勝てるはずもなかった。そして憲兵長の万超えのHPは、一瞬で0になった。

 隼人に殴られた憲兵長は吹き飛び、仰向けに倒れた。腹部が粉砕した。


 隼人は言った。

「もう死んだのか? 憲兵長といっても、骨がないな」


「貴様ぁぁぁ!」

 まわりにいた4名の憲兵が、怒声を上げて攻撃してきた。突然の展開で、いままで固まっていたのだ。


 隼人は叱りつけるように言った。

「憲兵というのだから、どんな事態にも素早く対応できなくてはダメだろ。それなのに、数秒も行動不能になっているとは。まぁ、憲兵長が瞬殺されたので、ショックだったのはわかる。だが、それが命取りだ」


 4名の憲兵のうち、3名が爆死した。


 隼人は、憲兵長を殴ったとき、すでに次の魔法を発動していたのだ。対象を爆発させる魔法攻撃。これを憲兵3名にかけておいた。それによって、いま3名は爆死した。


 残った最後の憲兵が、惚けた顔でまわりを見回した。先ほどまで生きていた仲間が、いまや死体と化している。


 隼人は溜息をついた。憲兵といっても、この程度か。

「おい、なにを惚けているんだ?」


 隼人は、火炎の弾を投擲した。火炎の弾は、憲兵の右足に命中。憲兵の右足を吹き飛ばした。

「うぁぁぁぁ!」


「お前、憲兵長がダイナモと呼びかけていたな。名前は、ダイナモでいいのか?」


 ダイナモは倒れた。砕けた右足を見て叫ぶ。

「た、助けてくれ!」


「聞いてくれ、ダイナモ。『死体から記憶を読み取る』魔法が見つからない」

 隼人は、『死体から記憶を読み取る』という便利な魔法を、検索にかけていた。

 だが、見つからない。手元の魔法リストにはないようだ。

「そこで魔術師ルカとやらから、じかに会って教えてもらいたい」


『死体から記憶を読み取る』魔法は、手元にあれば重宝するだろう。


「ルカには、どこに行けば会えるんだ?」


 ダイナモは泣き叫ぶだけだった。

「し、死にたくない! た、助けて!」


 隼人は顔をしかめた。

「右足が吹き飛んだ程度では、死んだりしない」


「それなら頭部が吹き飛んだら、どうかな?」

 という声が、隼人の後ろからした。とたん、ダイナモの頭部が爆裂した。


 隼人はニヤッと笑った。

「まったく気配を感じなかった」


 後ろを振り返る。すると、10メートルほど先に、人がいた。少女だ。13歳くらい。桜色の髪をショートカットにして、紅い瞳をしていた。

 そんな彼女は黒いローブを着て、杖を持っていた。杖の先端には、拳大の宝石がはめられている。


 隼人は言った。

「お前がルカだな?」


 少女はうなずいた。

「そうだよ、ボクが魔術師ルカさ」 




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ