もう一方では
ここでは川添早織からの視点にかえます
¨え・・・?¨
私はその言葉がうまく聞き取れなかった。
私のクラス(H)の委員長の工藤晴彦君が驚きの顔で言った。
晴彦
「よく意味が分かりません。もう少し分かりやすくお願いします」
日本人E
「わかった。しっかりと聞いてくれ。今からお前達に向こうで待機しているA〜D組と戦ってもらう。全滅させたら勝ちだ。期限はない。だが、食糧には限度があるからさっさとしないと腹が減るぞ。そうだった。食糧と武器はこの施設の裏の大きな倉庫にある。他に何か質問は?」
これを聞いたとき、ふと私の目から涙が溢れた。
薫
「・・・早織・・・大丈夫?・・・」
涙を流している私に薫が同情するように慰めてくれた。
薫
「きっと、何かの間違いだから・・きっとすぐに助けが来てくれるわ・・今はしっかり意識を保とうよ」
早織
「・・本当に薫は強いね・・・」
薫は涙を流している。それでも私はとても元気付いたような気がした。
その時、
トゥルルルル・トゥルルルル・
日本人の携帯がなった。
日本人は何か話している。
そして、ため息をつくとまた話だした。
日本人E
「よく聞いてくれ。向こうの方で一人違反した奴が出てしまってな・・そいつが処刑された」
皆が固まった。
このときはなぜか暖かい季節のはずなのに、背筋がゾクッとくるような風が吹いた。私は不安でたまらなかった。そして薫に救いを求めるように聞いた。
早織
「・・・きっと嘘よね?」
薫
「うん・・きっと嘘よ・・・」
日本人Eはさらに言った。
日本人E
「悪いが、人数調整のためにお前達から一人死んでもらう」
誰も反抗しようとしなかった。
もし自分が選ばれたら・・と思うととても言葉が出ない。
日本人E
「先に死にたい奴はいるか?・・っているわけないか。そんじゃ俺が選ばせてもらうぞ」
そういうと、日本人Eは名簿らしき物を持ち、目を通した。
日本人E
「・・・春山慎二出てこい」
皆の注目が一気に春山君に集まった。
慎二
「あぁ・・・嫌だ・・・嫌だ・・イヤダーー!!」
そういうと、春山君は逃げ出そうとした。けど、私達を取り囲んでいる日本人にあっけなく捕まってしまった。
薫
「春山って人、去年早織がいじめからかばってあげた人じゃない?」
春山君は去年私と同じクラスだった。
臆病者でオタクであることから、一部の男子にいじめられていた。
けど、性格はとても親切でいい人だった。
そんは春山君をいじめる男子が許せないで私はその男子にビンタしたことがあった。
¨助けてあげたい・・・けど、声が出ない・・・¨
私は再び涙が出てきた。
¨何で私はこんなに臆病者なの?目の前で人が殺すと脅されているのに何で声が出ないの?¨
私は心の中では春山君を助けたくてたまらなかった。けど怖くて声が出ない。
そして、春山君が日本人Eのいる高台に上がらされた。
春山君はまるで生まれたばかりの赤ちゃんがたくさんのシワを作って泣いているかのような顔で泣いている。
慎二
「うぅ・・やめて・・・やめて・・・えっぐ・・お願い・・」
日本人Eはそんな春山君を気にも止めずに生徒達に向かって
日本人E
「まだこの状況を信じていない人はこれで理解してくれ」
そういうと日本人Eは押さえられている春山君の頭に拳銃をつけた。
春山君の叫び声が消え、その場の時間が一瞬止まったかのように思えた。
パーン!
血が吹き飛んだ。
春山君はすごい形相のままで頭を伏せた。さらにその頭からは大量の血が流れ始めている。
生徒達は化け物でも見たかのように叫び、泣き、気絶する人までいた。
早織
「こんなのイヤ・・・」