目覚め
悟
「ん・・・」
寝ぼけながら俺は辺りを見渡した。
どうやら俺はベッドで寝ていたようだ。六畳くらいの小さな部屋だ。
俺から見て右側に小さな窓があり、正面には何も置いていない机。
そして、左側にはドアがある。
¨なんか床が遠いな・・¨
下を見るとこのベッドは二段式の物で、下には田中が寝ていた。
悟
「田中!」
俺は急いでベッドからおりて、田中を起こそうとした。
田中
「・・ん・・・う、うわぁ!」
バスの中でのこともあり、どうやら田中は俺をあの日本人と勘違いしたようだ。
悟
「俺だよ!俺!」
田中
「・・悟君か・・」
呼吸を整えて田中が言った。
田中
「ここはどこなの?」
悟
「さぁ・俺も今起きたばかりでよく状況が掴めないんだ・・」
そして、俺は机の椅子の上で、田中はベッドの上で黙って考えこんだ。
鳥の声が聴こえてくる。木のざわめきも。しかし、人の声は聞こえない。
¨俺達はあのバスで寝かされた。拉致か?それで俺達二人だけをここに閉じ込めているのか?そうだとしたら他の奴等は?解放されたのか?それともまさか・・殺されたのか?¨
しばらくして田中が言った。
田中
「とりあえず部屋を出てみようよ。鍵は開いてるかな?」
悟
「ちょっと待って」
俺はドアを確めた。
悟
「鍵は開いてるみたい」
そして、ドアから顔を覗かせた。
ドアから周りを見ると、同じようなドアが学校のようにたくさん並んでいる。
窓があり、外は明るく、木が生い茂っている。
悟
「宿泊施設か?」
田中
「それなら隣の部屋にも誰かいるんじゃない?」すると、隣のドアが開き、中から聡と亨が出てきた。
田中
「亨君!聡君!」
亨
「田中!悟!」
聡
「どういう事だ?てか、ここは何処なんだ?」
悟
「俺達もよくわからないんだ・・」
――ピッ―そろそろ全員起きろ。起きたら建物前の広場に集合だ。来ない奴はに容赦はしない。――
悟
「今のは・・あの日本人か?・・」
田中
「どうだろうか・・・」
聡
「とりあえず外に出ようや。他の奴等もいるかもしれない」
その時、横に並んでいたドアが次々と開いた。
亨
「他の部屋にもいたんだ」
田中
「今の放送で皆起きたのかな?」
聡
「ちょっと待て、男子ばかりだぞ!千夏はどこなんだ?!」
確かにそれぞれの部屋から出てきたのは男子ばかりだ。
しかも、他のクラスの男子までいる。
亨
「B組だけじゃなかったのか・・」
聡
「そんなことはどうでもいい!千夏はどこなんだ?!」
悟
「落ち着けって!広場に行けば会えるかもしれないだろ!」
正直会えるかどうかは自信がなかった。しかし、そう願うしかない。
聡
「そんじゃ俺は先に行っとくぞ」
そう言うと、聡は急いでこの建造物の前にあるという広場へ向かった。
亨
「俺達も行こう。状況からして集合したほうが良さそうだ。」
田中
「そうだね」
そして、俺達三人も広場へ向かった。