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特別な関係

今になって思えば、俺達二人は共通している事がたくさんある。


好きなバンド・色・服・芸能人・食べ物・・・


嫌いな食べ物はピーマン・ニンジン


それに一人っ子。


面白いくらいに共通している。


しかし、その共通点でも特に驚くのは、二人とも両親がいないことだ。



俺は小学生四年のときになってからこれまで自分を育ててくれていたのが親戚のおじさんとおばさんであることを知った。俺の両親は俺が記憶もないときに二人一緒に交通事故で死んだらしい。

なので俺はこれまで自分を育ててくれたのが本当の親でないことを知っても、あまり気にしないでいた。




しかし、聡は違った。


聡の両親が死んだのは俺が真実を知ってから間もない時だった。

しかも、死因は強盗らしい。

その強盗は大麻をしていたという。

薬をしている人にはよくあることらしいが、その強盗は大麻に自分の金を使いはたし、とうとう他人を襲ってまで金を得ようとしたらしい。

そこで襲われたのが聡の両親だった。



俺はもちろん聡の両親のお通夜に行った。

あの時の聡の顔は今でも忘れない。

あのいつも馬鹿らしく明るく振る舞っていた聡の顔には生気などなかった。

その状態のまま目から涙を流していた。

俺はとても聡に近寄れなかった。



数日してから聡は学校に登校するようになった。

その日は少しだけ曇っていた。

俺はいつも聡と一緒に登校していたので、はげますつもりであの日以降も毎朝聡の家に顔を出した。

だから久しぶりに聡が学校に登校するようになったときはとても嬉しかった。



聡は親が死んだにも関わらずクラスで明るく振る舞った。

しかし、馬鹿らしさが無くなっていた。



聡が久しぶりに登校した日の帰り道、俺はほんの少しだけ変わった聡に話した。


「実はな、俺、お母さんとお父さんいないんだ」



聡はとても驚いた様子だった。しかし、


「そんなこと言うなよ!!俺の母ちゃんと父ちゃんは死んじゃいない!今だって俺を見ているに決まってる!!だからお前の母ちゃんと父ちゃんも今お前のことを見ているに違いない!!」


聡は泣きそうであったが堪えていた。



´今だって俺を見ている`



¨だから聡は馬鹿らしさを捨てたんだ¨


少しだけ曇っていた空が明るくなってきたような気がした。


俺は両親を知らない。しかし、その時から俺の両親への関心が大きくなっていった。




その日俺は初めて両親の写真をおじさん達にみせてもらった。

どうやら俺は母の方と似ているようだ。写真を見てすぐにわかった。


おじさん

「悟の親父さんは子供の頃から気が強くてな。色々あったけど私にとってとっても頼もしい兄さんだったよ」


たしか、そんなことをおじさんは言っていた。


次の日は完全に晴れていた。

朝、いつものように聡の家に行き、聡が家から出てきてから俺は言った。


「おはよう!父さん達が見てるから今日も明るく行こうや!」


そして聡は笑顔で


「ああ!今日も乗ってくぜ!」


と返してくれた。




風が吹き、花びらが舞った。

それが俺達二人を包み込み、まるで俺達二人の親のように感じた。

心地よい春の日差しの中、俺達二人はいつも以上に明るく、歌いながら登校した。


こんな感じで俺と聡は特別の仲になっていった。

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