葛藤
まだ酷い状況の中、俺もこの空気に溶け込んでいた。
悟
「はぁ・・はぁ・・・」
¨なんて状況だ・・どうしよう俺・・・あっちの組を殺らなきゃ・・殺らなきゃ俺が殺られる。俺はまだ死にたくない¨
聡
「はぁ・・はぁ・・・悟・・・俺はこのふざけたゲームに乗りたくない・・・けど・・けど、千夏を守るために俺は戦う。絶対に俺は千夏を守る。もちろん俺も生き延びたい。だから、悟、一生のお願いだ。親友として、助け合って、一緒に生き延びよう。」
聡の顔はいつもの冗談混じりのとは全く違った。少し欲が混じってはいるが、けっしてそれは人間として悪いものではない。
物事を決心した人間としての立派な顔だった。
しかし、これを聞いた時、俺の頭に、ふと、川添さんの顔が浮かんできた。
¨・・・向こうに川添さんがいるのを忘れてた・・俺は好きな人を殺してまで生きようとしていたんだろうか・・・¨
向こうには川添さんがいる。
俺の好きな人だ。
とても殺せない。
自らの手で殺すことはなくても、結局は川添さんを犠牲にして生き延びることになる。
かと言って、川添さんを殺さないとしたら、俺は川添さんのために何ができる?
見方を裏切って敵に着けばいいのか?
こっちにはこっちで大切な仲間がいる。目の前には聡がいる。
俺がこれから生きていくとしたら一生支え合っていく仲だ。絶対に欠かせない親友だ。
この親友が今俺に本当の意味での´一生のお願い`をしている。
それに俺もまだ死にたくはない。
悟
「・・あぁ。一緒に生きよう」
聡
「・・よかった、それでこそ俺の親友だ」
俺と聡はがっちりと握手した。
この状況を二人は抜け出した。
いつまでは嘆いてはいられなかった。
俺は決心した。
この判断は間違ってはいない。
俺は精一杯生きることにした。
¨早く川添さんの事は忘れよう¨