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第六十話「デインジャラス・ナイト!」

 私は予感的中にならないか、酷く躯が硬直としていた。マキマキ王の顔が近づき、そして私の唇に触れ…………ずに左頬へと行き、さらに左耳へと進んで行く。


「残念だが貴女を帰さない。私のものにすると決めたのだ」


 低く甘い声は耳の奥にまで浸透し、躯全体が震え上がる。こんな美形に甘々な言葉を言われたもんなら、胸キュンして即死しちゃうんだろうけど、勝手に私のものと言われてもな。彼が王である限り、全く望んでいない妃にされるのはゴメンだ。


「せっかくのお言葉ですが、私にも選ぶ権利がありますから」


 そうだ、そうだ! 私にはその権利があるんだぞ。


「私が王でなければ、貴女の意見を尊重しただろうが、先ほども伝えた通り、この国は絶対君主の為、貴女に拒否権はないのだよ」

「そんな勝手に! ……ひゃあぁ」


 私は半ば切れかかって言い返そうとしたら、いきなり王は私の耳裏をペロリと舐め上げた。な、なんてヤツだ、勝手に手を出してきやがって! さっき散々バーントシェンナを勝手な国だと非難していたくせに、自分はOKなのか! さすが独裁者なだけあるな!


「や、やぁ」


 王は今度は耳朶を甘噛みしてきた。ヤ、ヤメておくれ!


「まだ幼き女子(おなご)だと思っていたが、中々良い反応を見せてくれる」


 王はニンマリと口角を上げる。そりゃ、あっしはこう見えてもアナタと同い年くらいの二十代半ばですし、それなりに経験もございますからね!


「あちらの王とは契りを交わさなくても、夜な夜な可愛がってもらっていたようだな」


 ぎょぇえ! それを訊いちゃうってか! つぅかアイリッシュ王はそんな不埒な行為はしてきませんでしたから(一回チューされそうになったけど)! それに王じゃなくてキールから、散々エッチな事をされてたんだっての!


「バーントシェンナの王はお優しい方でしたから、無理強いはなさいませんでした!」


 アナタとは違ってアピールをぶつける!


「そうか」


 王は淡々と答えた。良かった、わかってくれたんかい。ところが……。


「ちょ、ちょっと! や、やめっ!」


 私は瞳が零れそうなほど、大きく見開いた。王が私の寝巻きスカートの裾を上げ、手を侵入させて来たからだ! 厭らしい手付きで私のセクシーな太腿に触れてきやがった!


「その割には感度は良さそうだ。まるで開発されているように思われる」


 だからあっしは既に経験済みだっての! しかも最近キールから散々弄られていたから、なんか無駄に感度が良くなってしまっているんだよな。王からとても疑わしい鋭い目を向けられ、私は冷や汗が滴りそうなほど緊張してしまい、鼓動が速まった。


 なんだかこの王、さっきとは打って変わって別人のように見える。初めは優しそうで柔らかな雰囲気だったのに、今のこの表情は奥になにかヒヤッとした冷たさを感じる。そう、とても危険な香りだ。


「答えぬところを見ると、あながち(まと)を得ているようだな」


 王に悟られ、私はドックンと心臓が高鳴った。嫌な予感が横切る。そして私はある重要な事を思い出した。


 ――私、そもそもなんでこの国に来たの?


 いや、連れて来られたんだよね? 助けてって言う声に(いざな)われて、最終的にはその声に誘き出されて気を失った。しかも一緒にいたシャルトに危険を及ばせて。もしその主犯がこの王だったら? そう察した時、躯が完全に硬直し切る。


 今は下手に口にしない方がいい。もしかしたら命に危険がいく。でも……今のこの状況も十分に危険だ。どう見ても無理矢理に契りを交わそうと見える。


 ――ど、どうしよう!


「どうした? 図星を指されて言葉を失ったか?」


 どうやら王は私の本当の心意には気付いていないようだ。このままこの王と契りを交わすなんて冗談じゃないぞ。そもそも私はキールと約束をしているんだ。


「ち、違います! これ以上触らないで、は、離れて下さい!」


 私は恐れ多いと思ったけど、王の胸元をバシバシと叩いて退けようとした。ところが、それが却って……。


「ひゃあぁぁん」


 性急にショーツの上から大事な部分を大きくなぞられ、刺激が躯中へと駆け巡る。


「やはり感度がいいな。これは楽しませてくれる」


 王は艶めかしい表情を浮かべ、私を見下ろしていた。


「や、やめてよ! 私はこんな事をやっていいとは一言も言っていない!」

「その言葉すぐに撤回させてやる。大人しく身を委ねろ」


 ッカー、キールもだけどさ、どうして身分の高い人間ってば、こう高飛車で偉そうなわけさ! 定型的なドSサディスト。なんか無性に虫唾が走っていますから。この王も自分のテクに相当な自信がおありのようで。そりゃこんだけの美顔なら、よりどりみどりに女性達を抱いているんでしょうね!


 ったく、だからといって私も尻軽な女達と一緒の扱いにしないで欲しいっての! 興醒めしている私の思いとはよそに、王はさらに行為を進めようと私のスカートの裾を上げようとしてきた。


 私は王を押して阻止しようとする。だけど、私の手がスカートの方へいっている間に、王は乱暴に私の寝巻の胸元を裂き広げてきて、そして私の美乳が姿を現してしまった!


「や、やだぁ!」


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