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第十四話「若さ故にエネルギッシュ!」

「ふーん。オマエ、アイリの前だと気持ち悪い顔をしてるからさ」

「き、気持ち悪い?」

「気色悪いっての?」


 コイツ~、マジ口が減らねーな! 失礼にも程があるわぃ! 私はカァーと頭に血が上る。


「そりゃ、あんな素敵な人を前にすれば、誰だって顔が緩むっての!」


 私はフンッとした態度で言ってやった。実際にアイリッシュさんって神的な美形じゃん! 私は自分の言葉に自信もって正当化した。が、キールはまた思わぬ言葉を投げてきた。


「じゃぁ、オマエはアイリに気がないんだな?」

「ま、まあね」


 私は疑わしい答え方をした。いきなり確信に迫られ、動揺をしてしまい、自分でも目が泳いでいるのがわかった。


「なら、さっきオマエとキスした事、アイリに話そう」

「は? 何故そうなる?」


 またなにを言い出すんだコヤツは? なにか良からぬ事を考えているに違いない!


「アイリとはそういう話しをする仲だから。アイリの事なんとも思ってないなら、いいだろ?」

「良くないよ!」

「なんで?」

「恥ずかしいじゃん、そんなの!」

「オレとキスしたの恥ずかしい事だと思ってくれてるんだ?」


 コ、コイツ! なに勝ち誇った顔してニヤついてんだよ! 恥ずかしいって照れるって意味じゃなくて、不埒を曝け出すのが嫌だって事だっての! 今すぐ、その無駄に良い顔を潰してやりたい気分になる!


「アイリのタイプの女って清純だからな。オマエみたいな好きでもない男とキスするような女は好きにならないだろうな」

「!?」


 な、なんですとぉぉおお――――!? 今、コヤツは決定的な事を言いよったよ! 私は相当慌てふためき、顔色まで真っ青になった。


 ――どうしよう、どうしよう! そしたら私、アイリッシュさんとの恋の成就はオサラバかぁああ!!


 マイハートが完全に崩れ落ちた……。私が顔を伏せていると、私の気持ちを察したキールが希望の兆しを差し延べてきた。


「黙ってやっててもいいけど?」

「え?」

「キスの事」

「それって応援してくれるって事?」

「いや、黙る代わりに条件がある」

「は?」


 ――条件ってなんだ?


 めっちゃめちゃ嫌な予感……しかも、ものすごぉーくだ!


「キスしよう」

「…………………………」


 勿論、私は彼の言葉を受け入れる気にはなれなかった。キールの性欲は異常なのか? 彼のチュー好きはもう病気としか言いようがない!


「さっきいっぱいしたじゃん!?」

「邪魔が入った。オレはもっとするつもりだったんだ」


 なんちゅー猛獣だ! 手の施しようがないわ! キールから愛されたら、エンドレスな行為に廃人化になるわ! 私はもう怒りよりも呆れと彼の性癖が憐れを思えた。


「キール、なにもチューは私じゃなくても出来るでしょ?」


 ヤツの様子からして女性には不自由してなさそうだもんね。そうだ、なにも私とする必要はないんだ。私は世の他の女性にキールを託そうと思った。


「オレはオマエとするって言ってんだけど?」


 おいおい、なに限定指名してんだよ?


「はいはい、もういいから、早く私を王様の所に連れて行ってよ」


 私はキールに付き合うのが面倒くさく感じてきて、彼の言葉を軽く流してしまった。キールは私をジーッと黙視している。んー、なにか言いたそうな顔をしているけど、全く読めん。それから彼はなにも言わず、私に背を向けて扉へと向かい始めた。


 ――ヤバイ、また怒らせたかな?


 キールを怒らせると、(たち)が悪いんだよなぁー。またさっきみたいな衛兵事件を起こされたら(たま)らん。かといって子供の我が儘に、ずっと付き合っているわけにもいかないしさ。私は心底に深い溜め息をついた。


 扉を開いたキールから先に通れと合図をされる。遠慮なく扉から出ようとした時だ。いきなり腕を後ろに引っ張られて、バタンと扉が閉められた! さらに躯を翻され、扉に背を当てられる!


「いたっ、なにすんだ!」


 私が文句を言おうとした時にはキールから唇を近づけられていた。


 ――お――い! またモード入ったのかよ!!


 一瞬の出来事で逃げる事も出来ず、目の前が翳りを帯びた。その時、後ろの扉からトントントンとノックの音が響いた。


『キール様、いらっしゃいますか?』


 それからすぐに声が聞こえてきた。私は神の助けだと思って咄嗟に扉を開けると、血相の悪い色白のヒョロリとした使用人らしき男性が立っていた。


『キール様、アイリッシュ様がお呼びでございます』


 彼はキールに敬意を払って丁寧に伝えているように見えた。言葉がわからないから雰囲気でね。


『あぁ、わかった。すぐに行く』


 キールが応えると、使用人さんはその場から去って行った……。


「残念。王がお呼びだ」


 キールはそう言うと、部屋から出ようとした。いやいやいや、残念と思っているのは君だけだから! 突っ込み後、私は急いでキールの後を追った。


 …………………………。


 回廊を通って歩くこと数十分は経過したが、一向に王の居る()には着きそうもない。どんだけ広いんだ、この城は! 私はヒョコッとキールの隣に並び、周りには聞こえない小さな声で問いかける。


「ねえ、この宮殿の部屋数っていくつあるの?」

「二千七百以上」

「…………………………」


 迷宮(ラビリンス)だっちゅーの!


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