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第壱話 フェアリートランス

ご無沙汰しております。

最近いろいろあって投稿できませんでした。

文章力はありませんが読んでいただければ幸いです。

誤字などがありましたらコメントください。

俺は霸瑠に手を引かれいくつものマンションが立ち並ぶ団地へとたどり着いた。

そこは酷く荒れていた。

地面には雑草が生い茂り、マンションの部屋のガラスは割れ、壁にはヒビが入っていたりしてとても人が住める場所ではなかった。

本当におんぼろマンションなんだな。

「本部ってここか?」

「うん、そうだよ」

霸瑠はニコニコしながら答えた。

しかしこんな人っ子一人住んでない場所に本当に本部なんてあるのか?

「早く行こう」

「あ、ああ」

俺たちはいくつかあるマンションの一つに入り階段を上がっていった。

思ったよりも広いマンションらしい。

4階ほど上がりそしてC―404という部屋にたどり着く。

ドアとかは以外と普通のマンションに使われているドアだった。

これは本部ではなく普通の部屋に見えるが。

霸瑠が少し錆びたドアを開けた。

どうやら鍵は壊れているようだ。

「さぁ、入って入って」

霸瑠が俺を部屋へと招き入れた。

「お、お邪魔します」

するとアリスが少し注意をするように。

「淳夜くん、ここは今後君の家みたいになるのですよ」

え、家? んーそれじゃ。

俺は少し照れくさく言葉を変えた。

「た、ただいま」

「お帰りなさいです」

すると何やらテレスがぶつぶつと何を言ってるようだ。

「なんかどこかのロボアニメの臆病な主人公と胸がでかいお姉さんとの会話みたいね」

部屋の中に入ると玄関のある直ぐ先の廊下に台所、その向かいに風呂場になっているようだ。

そのとなりのドアはトイレだろう。

奥には部屋があった。

どうやら1Kの部屋になっているようだ。

この部屋だけガラスは割れてないのか?

部屋の中にはベットが一つに小さいタンスがあり壁に時計がかけられており部屋の真ん中にはテーブルが置いてあるだけだった。

本部って言うからどんな部屋かと思えばまるで人型兵器を操るアニメに出てくる静かなヒロインの部屋だ。

「今日はもう休もうか」

部屋に入って少し気が抜けたのか霸瑠は少し疲れた顔をしながら俺に話しかけてきた。

「ああ、そうだな」

俺も今日はクタクタだった。

いきなりこの世界に飛ばされγDという変な奴らに襲われたのだから。

というかちょっと前の追いかけっこで体力使った気がする。

すると俺のお腹がググッとなった。

そういえば何も食べてないな〜。

「もしかしてお腹すいたの? あ、私何か作ろうか? ちょっと座って待ってて」

「あ、うんってこの部屋というかこの建物廃墟だけど料理できるの?」

「この部屋は特別にガスが通ってるから料理できるよ」

「どうやってガス通してるんだ」

「それは後で分かるよ」

「ん?」

そう言うと霸瑠は台所の方へ向かっていった。

え? 料理?マジで俺女の子の作る料理食べるの初めてだ。

俺は少し嬉しくなりながらテーブルの近くで胡座(あぐら)をかいた。

するとテレスとアリスが何やらこそこそと話している。

「うふふ。また、犠牲者が出ますね」

「そうだね。淳夜くんはどんな絶望的な顔をするのやら?」

「? なんだ、なんか言ったか?」

「あ、いえいえなんでもないです。」

何やら二人は何かを隠すような反応だな。

しばらくすると台所から包丁の音や何かを揚げる音が聞こえてきた。

約40分ちょいは経っただろうか。

霸瑠が台所から一人分の料理を持って出てきた。

「はい、食べてみて!」

霸瑠が持ってきた皿の上にはレタスとこの揚げ物は唐揚げだろう。

すごい見た目もいいし美味しそう。

「それじゃ、いただきます!」

俺は唐揚げの一つを勢いよく口の中に頬張る。

「!?」

ァ……ウッ!

何だこれ? まるで口の中が一気に絶望に染まっていくようだ。

そんなはずは……

俺は他の唐揚げやレタスも口に運んでみたがやはり。

この料理はっきり言って不味い!

唐揚げはぎとぎとしてて油っぽいし……てかこれ本当に唐揚げか? 油の塊でも食べてるみたいだ。

レタスなんて青くささが半端ではない。

口に入れただけで鼻を不快感が駆け抜ける。

これ……腐ってるんじゃないか?

「どう? 美味しい」

「なぁ……この唐揚げなんだけど……」

「あ、それは唐揚げじゃなくて揚げ豆腐だよ」

揚げ豆腐だと? 揚げてある物をまた揚げるとは……

「宍戸さ~ん。大丈夫ですかぁ~?」

テレスがニヤニヤしながら話しかけてくる。

「ハルさんの料理を初めて食べた時は妖精の私達ですら死にかけましたからねー。お花畑が見える。川の向こうでおばあちゃんが手を振ってるってなったもんね。妖精におばあちゃんとかいませんけど」

アリスもニヤニヤしながら共感している。

こいつら……知ってて……わざとか……悪魔め……

「大丈夫? 宍戸くん。私あまり料理が得意じゃないから。でもちゃんと練習してるから大丈夫かなーと思ったけど、まだまだ練習が足りなかったみたいだね」

人を殺す練習か?

「味見は?」

「してない」

料理が下手な奴は味見をしないと言うが……本当だったのか……

俺はしばらくトイレから出られなかった。



※※※



はぁ……死ぬかと思った。

余計にお腹空いたな……

俺はトイレから出てテーブルの近くで寛いでいた。

トイレに篭ってて気づかなかったが外は暗くなり、時計を見るといつの間にか7時半を回っていた。

「さてとそれじゃ今後の事について話をしようか」

霸瑠がテーブルを挟んで俺の向かいに腰掛けた。

「今後って俺は元の世界に戻りたいんだが、戻り方とか知らないのか?」

「それなんですけど、わたし達も知らないのですよ」

アリスが難しい顔つきで答えた。

「知らないか………」

正直俺もそこまで期待していなかったが、そしたらこれからどうするかを決めないといけない。

「でも知らないだけでもしかしたらあるかもしれませんよ、戻る方法が。宍戸さんが来られたということは戻れるということだと思いますし」

テレスは少し希望があるような感じで答えた。

「でも探すってどうやって?」

「それは、γDを倒していけば何か手掛かりがあるかもしれません。奴らの目的も気になりますし」

「そうですよ、淳夜くんもγDをコテンパンのボッコボコに蹴散らすのです。原形を留めないくらいに」

テレスの言ってることはともかくアリスは危険なことを簡単に言うな………こいつらはアリスは特に妖精ではなく小悪魔の間違いじゃないのか?

待てよ?

俺も?

「え? 俺が!?」

思ったことが声に出てしまった。

待て待て! 俺がγDと戦うだと!

さっき殺されかけそうになったのにいきなり戦うだと?

無理無理、絶対に無理

「だから、さっき宍戸さんにもフェアリートランスを会得してもらいますって言っじゃないですか」

テレスは少し困った感じに言った。

すっかり忘れてた。

「マジで、俺もやるのか?」

「マジです!」

テレスが言いきった。

「宍戸くん、確かにいきなりで焦っているかもしれないけど今後またいつγDに襲われるか分からないし私も会得したばかりだから助けられない時があるかもしれない、だからフェアリートランスを会得してほしいの」

霸瑠は真剣な表情で俺を説得してくる。

確かにずっと霸瑠に頼っていては彼女に申し訳ないし、もし奴らと戦うことで元の世界に帰れる手掛かりが見つかるのならやるしかないか。

見つかる保証はないけどな。

どっちにしろ戦うことは避けられなさそうだし。

「………分かったよ。そこまで言うならやるよ」

「え、本当に?」

「ああ、俺もずっと霸瑠に頼っている訳にもいかないしな」

「宍戸くん、ありがとう、いきなりこんなお願いしたから断られるかと思ったけどよかった」

霸瑠は嬉しそうにお礼を言った。

その時の笑顔が可愛くて俺は見蕩れてしまった。

「お、おう」

「じぁ、明日から特訓ですね」

「特訓?」

「当たり前ですよ、フェアリートランスはそう簡単には会得出来ませんよ」

テレスがフェアリートランスの大変さを伝えるかのような感じで言った

「特訓かぁー、霸瑠はどのくらい特訓したんだ?」

「え? 私は約1ヶ月かかった。丁度γDが現れた頃に始めたからね 先週ぐらいに会得したばかり。人によって差はあるけどね」

い、1ヶ月だと!

意外と時間が掛かることに驚いた。

まぁ、別に元の世界に戻れないならやる事もないだろうしいいか。

「まぁ、1ヶ月でフェアリートランスを会得できるのは凄いことなのですよ。淳夜くん、フェアリートランスは会得まで7ヶ月から1年は普通に掛かることは覚悟していてほしいのです」

7ヶ月から1年は普通に掛かるだとマジでー!?

やっぱり小悪魔アリスは恐ろしいことを平気で言いやがる。

「ふぁぁ、フェアリートランスの詳しいことは明日にして今日はもう寝ようか」

霸瑠があくびしながら言った。

時計はとっくに8時を回っていた。

「早くないか?」

「うん……でも今日はいろいろあったから疲れちゃった」

「確かにな、今日は変な奴らに追いかけられて、訳もわからない追いかけっこはするわでクタクタだ」

「ごめんね、宍戸くんは床で毛布だけだけど大丈夫?」

「あ、大丈夫大丈夫 気にしないでくれ」

「ありがとう、それじゃ電気消すよ」

霸瑠が壁のスイッチを押し電気を消した。

部屋は一瞬で暗くなり物音ひとつもしない暗闇に包まれた。

霸瑠はベットで毛布1枚で寝るようだ。

テレスとアリスはテーブルで小さい布を纏って寝ている。

俺も床に横になり1枚の毛布を体にかけ寝る体制に入った。

俺は眠りにつく間色なんことを考えた。

いきなりこの世界にきたこと。

フェアリートランスの得とくのこと。

霸瑠や妖精のこと。

元の世界に帰れる方法のこと。

γDのこと。

元の世界の友達のこと。

そして、10年前に約束を交わした女の子のこと。



※※※



お………き………て………

ん? いつの間にか眠りについた俺の耳に声が聞こえる。

寝ぼけていてよく聞こえない。

誰の声だ?

ってやばい学校に遅刻する

俺は飛び起きた。

その瞬間、霸瑠の頭が俺の頭の真上にあったため飛び起きた勢いで頭同士をぶつけた。

「いって……」

「痛!」

頭に痛みが走り俺は頭を抑えた。

「痛、酷いよ、宍戸くん………ぐず」

霸瑠は頭を抑えながら半泣きで俺に文句を言った。

「あ、ごめん、大丈夫か?」

「うん、大丈夫だけど、でもやっぱり大丈夫じゃない たんこぶできたかも……」

「それは悪かった……俺石頭だからすまない、とにかく冷やさないと、氷はないのか」

俺は冷凍室を覗いたが氷どころか何もなかった。

「ううん、大丈夫、少し痛むけど大したことないよ」

「そうか 本当にごめん」

俺は何度か霸瑠に謝罪した。

後で何かお詫びをしないとな。

そうだった俺はこの世界に飛ばされたんだっけ?

そしておそらく霸瑠は俺を起こそうと俺の頭の真上で呼んでいたのだろう。

そして俺が飛び起きこの状況になったと。

「おはようございます宍戸さん。それじゃ早速フェアリートランスの特訓をしましょう」

テレスが眼をこすりながら言った。

「アリスも早く起きてください」

「むにゃむにゃ、ほえ? ああ、分かったよ」

アリスは眠たそうに起きた。

「特訓はマンションのすぐ近くの空き地でやるから早く来てね。あ、そこのパン食べていいから」

霸瑠はテレスとアリスを連れて外へと行ってしまった。

俺は洗面台へ行き水道の蛇口を捻った。

銀色の蛇口から冷たくて透明な水が出てきた。

この部屋水も使えるのか。

俺はその水で顔を洗い、テーブルの上にあった手のひらサイズのまるパンをかじりながら部屋を出て階段を降り、すぐ近くの空き地へと行った。

空き地には3つの土管が三角形の形に積んであった。

「宍戸くんこっちこっち」

霸瑠が遠くで手を振りながら俺のことを呼んでいた。

「遅いのです、淳夜くん」

アリスは待ちくたびれてしまったようだ。

「特訓ってまず何をするんだ?」

「見ててください、行きますよ霸瑠さん」

「うん」

霸瑠とテレスは横に並び説明を始めた

「まず、フェアリートランスは妖精と融合してアームを纏うことでγDに立ち向かう力を得ます。このように」

「フェアリートランス!」

霸瑠とテレスは声を合わして叫んだ。

すると昨日見たようにテレスがピンクの光となり霸瑠を包み込んだ。

ピンクの光の中からピンクのアームを纏った霸瑠が現れた。

アームと言ってもそこまでゴツい物ではなくどちらかと言うとコスプレの衣装を着てる感じだった。

「これが、フェアリートランス」

「そうよ、これがγDに勝てる唯一の手段フェアリートランス。あなたにもこれを得とくしてほしいの」

正直できるか心配だった。

こんなSFみないなこと俺がやるなんて考えたことないしな。

霸瑠のアームが再び光だし体から離れっていった。

光は一点に集まりテレスの姿にもどっていった。

「ふぅ、あ、宍戸さん、ひとつ注意です」

「ん、なんだ?」

テレスが俺に何かを忠告したいようだ。

「フェアリートランスはとてつもなく体力を消費します。最初のうちは無理しないで休んでくださいね と特訓の間とか疲れたらすぐに言ってください」

「ああ、分かった。あ、俺は誰と融合するんだ?」

「アリスと融合してもらいます」

え、アリスと融合?

「ちょ、ちょっとテレス勝手に決めないでほしいのです!」

アリスがテレスに向かい文句を言い始めた。

正直俺も少し心配があった。

恐ろしいことを軽く口にしてしまう小悪魔アリスと本当に融合できるのか。

「アリス、あなたフェアリートランスのパートナー不在でしょ、宍戸さんが適役だと思うよ」

「なんで、その根拠はどこにあるのです?」

「ふふ、KANよ」

勘ではなくKANってなんだ?

「きましたよ、テレスの勘ではなくKANが」

「一体なんなんだよそれ?」

「テレスはたまに勘ではなくテレス専用のKANを使うのです。そしてそのKANは外れたことがないのです まぁー文字に関しては深い意味はないのですけど」

「そうなのか」

勘ではなくKANか。

特に面白くはなかった。

アリスとフェアリートランスか、やるしかないか。

しかし7ヶ月かかるのは何とかならないのか?

「フェアリートランスで重要なのはパートナーの妖精と想いをシンクロさせること、相手の気持ちを理解し心を通わせる」

霸瑠は俺にフェアリートランスのやり方を説明してくれたが難しくてよくわからん。

想いをシンクロとかどうすればいいんだ?

もっと手とり足とり教えてくれるのかと思ったが。

さらに……小悪魔アリスと心を通わせるなんて……

「じゃ、1回やってみようか 宍戸くん、アリスそこに立って」

「了解だ」

「はーい」

俺とアリスは彼女から少し離れたところに立った。

「じぁ、やってみてアリスと想いをシンクロさせて大きな声でフェアリートランスって叫んで」

「お、おう……」

だから……どうやるんだっての……

「淳夜くん行くよ」

「フェアリートランス!」

俺とアリスは大声で叫んだが声のタイミングが合わずにバラバラになってしまった。

…………………

静かに風の音だけが聞こる。

何も起きない。

えっとー……

「失敗ですね」

んなのみれば分かるよそんなことよりも、なんだこの空気。

まるで友達の前で一発ギャグをやり滑ったかみたいな空気だ。

もう少し光とか出るのかと思ったが

「最初から出来るとは思ってなかったけど、まさかあそこまで声のタイミングまでバラバラだなんて」

霸瑠がびっくりしたように言ってきた。

「淳夜くん言い出し遅いのです、もう少し私に合わせて」

「ああ、悪かった。てかアリスは少し言い出しが早い気がするぞ」

「はい? 私のタイミングはちゃんとしていたのです、淳夜くんの言い訳は聞きたくないです。」

普段は怒らない俺なのだがいきなりこの世界に飛ばされて疲れていたり混乱が残ってたせいがアリスの言葉に俺はカっとなってしまった。

「なんで、お前に合わせるんだよ! 逆にお前が俺に合わせろよ!」

「私は普通に言っただけなのです、淳夜くんが遅いだけなのです」

「はっ、何が普通に言っただ、どうみてもお前が悪いだろこの小悪魔め!」

「な、誰が小悪魔ですか! この変態!」

「誰が変態だ! 俺は正常の人間だ」

「男の人は変態な生き物だって聞きいたのです、だから淳夜くんは変態でロリコンなのです」

「ロリコン? 俺はロリコンじゃねー!」

俺とアリスはしばらく言い合いを続けていた。

「ロリコン変態!」

「小悪魔アリス!」

「その辺にしてください、このままではフェアリートランスの会得はできないですよ」

テレスが話に割り込んできた。

俺とアリスは言い合いを辞めた。

こんな息の合わない小悪魔と融合なんて本当にできるのか?

俺は余計不安になってきた。

「どっちが悪いかで喧嘩なんてしてないで、今は二人の思いを一つにすることです」

「つーか、本当にこの威張りの小悪魔と融合なんてできるのか?」

「だ……ひく……小悪魔じゃないって………ぐず……」

「え?」

アリスの目から涙が溢れてきた。

う、まさか

「ぐず……ふぇぇぇぇん」

アリスは泣きながら何処かへ飛んでいってしまった。

やべ、言い過ぎたかな?

「あーアリスの癖が出てしまったですね」

「宍戸くん言い過ぎだよ」

霸瑠が俺に注意をする

「ああ……」

「宍戸さんアリスは喧嘩とかで悪口を言われまくると泣いて拗ねてしまうという癖があるのですよ」

小学生みたいな癖だな

てか今の君ら何歳だよ?

まぁ、でもさっきのは俺も言い過ぎたかもな

「宍戸くん喧嘩なんてやってる場合じゃないんだよ、今ここでフェアリートランスを会得しなければ宍戸くんが元の世界に戻る方法も見つからないままだし」

確かにそうだ。

ここで喧嘩なんてしてる場合でもないし。

アリスにも少し言い過ぎた。

俺は深く反省した。

「俺アリスにキツイこと言い過ぎた、ごめん……アリスは俺が探して誤ってくるから少し待っててくれ」

俺はアリスが飛んでいった方向へ走った。

アリスどこに飛んで行ったんだよ?

しばらく俺は荒廃した街を走り回りアリスを探した。

「くそー、一体どこにいるだ? おーいアリスー!」

返事がなかった。

その時俺の頭の中に不思議な感覚がおきた。

まるで頭の中で電磁波を走り何かを感じ取れる。

「なんだ、これ?」

その感覚は俺の目の前の建物からきてるような感じだった。

「そういえば建物の中は探してなかったな」

目の前の建物は2階建てでガラスや壁にひびが入っている廃棄だった。

俺はその廃棄へと入っていった。

ガラスの割れた両開きの扉の片方が空いており俺はそこから中へと入った。

中は薄暗くカビの臭がした。

一階は受付のフロントやソファーがあるからここは病院か?

こんなところにいるのか?

俺の頭の変な感覚がどんどんと強くなってきていた。

俺はどんどんと奥の方へと足を伸ばしっていった。

変な感覚が強くなってく中俺はひとつのドアの前で立ち止まる。

ドアを見ると擦れた文字で読みにくかったが診察室と書いてあった。

間違いないここは病院だ

昼間の病院でもこう薄暗くと何か出そうだな。

ドアの奥から何かを感じる。

頭の中の感覚もこの奥からきてるようだ。

俺はドアをゆっくりと開ける。

中に入ると机の上には無数のカルタが散らばっており、窓の方でアリスが一人で泣いていた。

「…………ぐず…………」

アリス………

俺はアリスにそっと声をかけた。

「アリス……大丈夫か?」

アリスは振り向き俺の方を向いた。

「あ……あちゅやきゅん………」

アリスはここでずっと一人で泣いてたみたいだ。

泣きすぎたせいか滑舌がおかしいのが分かる。

「あ、えっとー、ごめん……俺あの時はついあんな事言ってしまったってお前を傷つけてしまい」

俺は頭を深く下げアリスに謝罪した。

「わ……私の方こそ……勝手に変態とか決めつけてわがまま言ってしまい……ごめんなさいです」

アリスはしばらく息を整えてから俺に謝罪した。

ロリコンって言ったことは謝らないんだな。

「なぁーアリス、俺お前と融合できるように頑張るよ。まぁーいつ成功するかは分からないけどそれまで付き合ってくれるか?」

「う……うん、当たり前ですよ」

アリスは涙を拭き笑顔でOKしてくれた。

俺はアリスの隣に行き近くにあった椅子に腰掛けた。

「淳夜くんって元の世界ではどんな生活をしてたのですか?」

「え? んー、俺は普通の高校生だったよ、普通に学校に行き、友達も普通に喋ったりしてたし、まぁー 特に変わった事もしてなかったし」

「へえー、なんか詰まらない人生ですね」

「うるさいよ、俺は満足してたから良いんだよ。でも小学生の時にある約束をしたんだよね」

「約束?」

「ああ、10年前くらいにある女の子とね」

「へえー、どんな約束をしたのですか?」

「いや、それがどうしても思い出せないんだよな、その女の子の名前すら覚えてないし あ、でもなんか霸……」

俺が霸瑠の事を言おうとした時、違う部屋の方から物音が聞こえた。

「ちょ、何今の音?」

「分からないです」

「てか、ここ病院だよな……」

「き、気のせいですよきっと……」

するとまた同じ部屋からさっきより大きな物音が聞こえた。

「ひぃ!?」

びっくりしたアリスは空いてある窓から飛んで逃げようとした。

「ちょ、おま、ずるいぞ! 俺飛べないんだからな」

俺は飛びってしまうアリスを見て一人になってしまう事に焦りを感じた。

それもそのはず病院で物音が聞こえたら誰だって怖くなるはずだ。

「だって、怖いんですもん」

アリスは宙に浮きながら怖がっていた。

そしてそのまま飛んで行ってしまった。

やっぱりお前は小悪魔だ!

すると奥の方から足音が聞こえた。

おい、おい!

まじかよ、やめろよ。

どこのホラー映画の展開だよこれ!

足音は俺のいる診察室に近づいてきた。

怖くなった俺はドアから目線を逸らし窓の方に目線を集中させた。

俺の体から冷や汗が流れる。

近づいてくる……

すると足音は部屋のドアの前で止まった。

あれ? 止まったのか?

俺はドアの方を目線を移したすると、ドアの隙間から人の影のようなものが覗いていた。

「ぎゃぁぁぁぁぁ!」

俺は何も考えずに窓を飛び越え外に出て走って病院から離れた。

「はぁ、はぁ、やべーあれは幽霊だ」

すると向こうの方からアリスが霸瑠とテレスを連れて戻ってきた。

それを見た俺は気が抜けその場に座り込んだ。

「だ、大丈夫? 宍戸くん」

大丈夫な訳ねーだろよ。

俺は今までにのことをみんなに話した。

「んー、アリスの件は良しとして、幽霊に関しては宍戸くん本当に見たの? 幽霊」

「ああ、見たよ」

「気のせいではないですか?」

「気のせいな訳あるか、物音に関してはアリスだって聞いてたし」

「うん、聞こえたのです」

「ほら、アリスも言うし」

「でも、そんなことよりも融合が方が大切なのでは?」

「う……まぁ、一旦幽霊は置いとくか、んでさっき話俺の頭の変な感じは何なんだ?」

「淳夜それは恐らくサーチフェアリーだと思います」

サーチフェアリー?

もう昨日から訳のわからない用語がほいほい出てきやがる。

俺は頭がパンクしそうだった。

「それは一体何なんだ?」

「サーチフェアリーというのはフェアリートランスが出来る人間とそのパートナーの妖精の場所を共有できる能力のことです。例えば宍戸さんが一人でいる時にγDに襲われたとします。遠くにいるアリスが宍戸さんの場所を特定して駆けつける事が可能です。逆もありえます」

「まぁー駆けつける前に死んでしまってはなんの意味もないのですけど」

テレスの説明に対しアリスが冗談を言ったが軽く酷いぞ……

ん? ちょっと待て

「なぁ、サーチフェアリーを使えるのはフェアリートランスを会得した人間と妖精だろ?」

「そうですけど」

「俺とアリスはまだ会得してないないのに何で使えたんだ?」

「ふふ、それは宍戸さんがフェアリートランスのパートナーにアリスが適役という証拠です。こんなケースは滅多に見ないらしいのですが、やっぱり私のKANは当たっていたようね♪」

テレスは自分のKANが当たったことに喜びを感じている。

フェアリートランスのパートナーはアリスが適役か。

よし、やってやる!

俺の心の底からやる気が出てきた。

「よし、アリス! 特訓を再開するか」

「分かりました。ちゃんとついて来るのですよ」

アリスもやる気満々みたいだ、俺もやる気を出すぞ。

1日でも早くフェアリートランスを会得してやる。

「霸瑠、指導頼む」

「うん、任せて」

俺達は特訓を再開した。




※※※




一週間がたった。

俺はこの一週間フェアリートランスを会得するために特訓に特訓を重ねた。

フェアリートランスに必要な体力を付けるため毎日10kmは走った。

そして毎日腕立て伏せ100回、腹筋100回と筋トレもした。

そしてアリスとの想いをシンクロさせるためにアリスといる時間を長くした。

一週間の特訓のお陰で体力や筋肉も付いてきた。

元々運動をやってた俺からすればあまりきつい特訓ではなかったが。

霸瑠の料理の特訓にも付き合わせられたが……

俺はもう間違いなく殺人料理に近い……

まぁ、それは置いておくか ははは……

「フェアリートランス!」

俺とアリスはいつもどおりに特訓をしていた。

っがいつになっても形にならない。

まぁー、フェアリートランスは7ヶ月から1年は普通に掛かるって言ってたからな。

まだ、一週間程度では形にならないか。

「二人ともお疲れ様〜」

霸瑠とテレスがこっちに近づいてきた。

霸瑠は手に何やら持っている。

恐らくは殺人料理の集合体だろ。

さて、どうしよう……

「宍戸くんお弁当作ってきたよ。食べて今度は頑張ったよ」

霸瑠さん、君はこれ以上頑張らなくても充分に人は殺せると思うが……

しかもそんなに ニコニコした顔で言われては食べざる負えない……

俺は心で泣いていた。

「霸瑠さん来ます」

テレスが何を感じで警戒し始めた。

来ますってまさか!?

γD!?

「しかも2体いるのです」

「こんな時に2体はきついわね」

「でもやるしかないです」

アリスも霸瑠もテレスも焦っている。

確かまだ霸瑠もフェアリートランスに慣れてないようだったしな。

あの時は逃げたからいいが今回はそうもいくかな?

すると雲の隙間から2体のγDが勢い良く降下してきた。

やべ、どうしよう、俺はまだフェアリートランスを使えないし……

俺も焦り始めた。

「テレスいくよ!」

「はい!」

「フェアリートランス!」

テレスと霸瑠はフェアリートランスをした。

γDはまっすぐ霸瑠に向かって行った。

そのスピードはまるでレーシングカーみたいだ。

「は、速い」

γDの速さに霸瑠は追いつけないようだった。

γDはレーシングカー並の勢いで霸瑠に突進した。

「きゃ!」

霸瑠は50メートルは飛ばされ建物の壁に激突した。

「霸瑠!」

崩れた壁の土煙の中から矢がγD目掛けて飛んできた。

「ガ?」

γDはそれをすんなりと避けた。

この前のやつはあっさりと当たったのに、同じγDでも強さがそれぞれ違うのか?

そしたらやばいぞ……

霸瑠の攻撃が効かなかったら……

でも今は霸瑠が勝つ事を祈るしかない。

土煙の中から弓を持った霸瑠が姿を表した。

見たところ傷がないことからあまりダメージは受けてないらしい。

「さっきは外したけど今度は当てるよ」

霸瑠が弓を構えると同時にさっきと同じ矢が何もないところから弓に中に出てきた。

「霸瑠さん後ろ!」

アリスがでかい声で叫ぶ。

「へ?」

前のγDに夢中になっていた霸瑠は後ろに回り込んでいたもう1体のγDに気づかなかったみたいだ。

霸瑠が気づいた時には遅かった。

γDは爪を立て霸瑠のことを引っ掻いた。

「きゃゃゃ!」

霸瑠はまた飛ばされ霸瑠が狙ってたγDにそのまま腹部を蹴り降ろしされ地面に叩きつけられた。

叩きつけられた衝撃で地面にひびが入り周りに反動が起きた。

「か、ごぼ……」

霸瑠は苦しそうに地面に倒れ込んだ。

まずい……どうすれば……

この時俺は自分が情けなく見えてしまった。

なんで男の俺がこうやって女の子が一人で戦ってやられているのを見ているんだと……

俺に力があれば霸瑠を助けられるのに……

「アリス、フェアリートランスやるぞ」

「え? でもまだ……」

「いいから! このまま霸瑠とテレスを放って置けるか! まだ会得はしてないけど何もしないよりはましだ!」

「……分かりました。淳夜くん、信じてるですよ」

「ああ、想いをシンクロさせるぞ」

「フェアリートランス!」

俺とアリスは声を揃えて叫んだ。

俺とアリスはただ霸瑠とテレスを助けたい。

ただそれだけを思って想いをシンクロさせた。

俺の周りが青い光で包まれた。

気づくと俺の体は水色のアームというか少しコスプレ衣装的なものをを纏っていた。

「で、出来た?」

成功みたいなのです。

「うわぁ、こ、声? 一体どこから?」

淳夜くんの心の中からです。フェアリートランスをするとパートナーの妖精は心の中から会話することが可能なのです。

「そうなのか?」

それよりもどうですか? フェアリートランスは?

「あ、ああ 凄いとおもう」

フェアリートランスを成功させた俺の体には力が全身を駆け回るような感じがする。

これなら勝てるかも。

いや、絶対に勝たなければ。

「し……宍戸くん?」

霸瑠がかすれ声で俺の名前を呼んだ。

相当ダメージを受けてるようだ。

「来い! γD。俺がお前たちを叩き潰す」

「ガ? ガアアアアアア!」

俺の声に反応したγDは2体同時に俺目掛けて飛んできた。

片方のγDが爪を立て引っ掻いてきた。

俺はそれをしゃがんで交わした。

攻撃を交わされたγDは一旦空へと飛んで旋回してきた。

「か、交わせた……」

なに関心してるのです。早く攻撃してください!

「お、おう」

手を出して、手にエネルギーを集中さしてみてください。

「こうか?」

俺は右手を出しエネルギーを集中さしてみた。

すると何もない右手から光が飛び出し剣になった。

「これが武器?」

そうなのです。それでγDを斬ってください。

再び飛んでくる2体の1体γDに俺は剣を勢い良く横に振った。

「おおおおおお!」

手に何かを斬った感触が走る。

まるで包丁できゅうりを切った感覚。

俺の目の前に黒い血しぶきが飛び散る。

俺が斬ったのは襲ってきたγDの顔だった。

顔を斬られたγDはそのまま消滅していった。

「うっ」

俺は少し気持ち悪くなったが今はそれどころではない。

後1体残ってる。

1体残ったγDがまた突っ込んできた。

「はぁ!」

俺は勢い良くジャンプした。

γDの位置よりも高く飛んだ。

軽く3メートルは飛んだ

比較的にジャンプ力が高いので驚いた。

俺は剣を頭の上まで持っていき下にいるγDに振りおろした。

「であああああ!」

γDを頭から縦にを斬り裂いた。

「ギャァァァ!」

真っ二つに斬られたγDは叫び声をあげながら消滅していった。

「倒せた?」

やりましたね。淳夜くん。

「ああ……はぁはぁ」

さっきの戦闘であの速いγDの攻撃を交わせたこたや3mジャンプできたことからフェアリートランスは通常の身体能力を上回るらしいが、あの短い戦闘だけでこんなに体力を使うなんて。

2〜3分の戦いで10km以上走ったみたいだ。

俺はフェアリートランスを解いた。

フェアリートランスは解きたいと思えばいつでも解けるらしい。

なる時はあんなに苦労したのに……

「あ、そうだ。霸瑠! テレス!」

俺は残っている体力を使い霸瑠の元に走った。

霸瑠のフェアリートランスは解けておりひびのはいった地面には霸瑠とテレスが倒れていた。

「霸瑠、テレス、大丈夫か?」

「わ、私は大丈夫です。それより霸瑠さんを……」

テレスはあまりダメージを受けてないみたいだ。

しかし直接ダメージをくらった霸瑠の方がダメージをくらってる。

恐らくあいつらの攻撃は普通の人がくらったら死ぬレベルだがフェアリートランスのお陰でこのくらいに抑えられているのだろう。

だがこれでも相当ダメージはある。

「し、宍戸くん……ありがとう。そして……ごめんね……」

霸瑠は薄ら涙を見せながら俺にお礼と謝罪をした。

「あ、謝ることでもないし、お礼をされることなんてしてないよ」

やべ、何を緊張しているだ俺は!

しかしこんなに可愛い顔されたらやべ

「やっぱり変態なのですね」

アリスがひそひそと呟いた。

「うるせ。霸瑠立てるか? なんならもう少し休むか?」

「ううん、もう大丈夫」

「そうか、無理すんなよ」

「えへへ。大丈夫」

俺と霸瑠は笑顔で会話をしていた。

「それにしてもまさか一週間でフェアリートランスを会得するなんて前代未聞ですよ……普通ではありえないです」

「今回のテレスのKANは予想をはるかに超えたのですね」

テレスとアリスは同様を隠さずにはいられない。

まぁー確かに1ヶ月でフェアリートランスを会得した霸瑠が凄いのにそれを一週間で会得してしまったみたいだからな

でもこれで奴らと戦えるな。

そして早く元の世界に帰りたい。

「そうだ、今から本部に戻ってご飯食べようよ。助けてくれたお礼にいっぱい作るよ今日は」

「いきなり元気いいな。でもほら霸瑠はさっきの戦いで疲れているだろう、夕飯ぐらい俺が作るよ」

「平気、平気、ご飯くらいなら余裕で作れるよ。寧ろ宍戸くんの方が休んだ方がいいよ?」

うわー、いつも可愛い笑顔がこの時ばかりは悪魔の笑いに見える……

霸瑠さんは自分を助けた本人を殺す気ですか……

「さぁ、行こうよ」

「宍戸さ〜ん、諦めましょう」

「淳夜くん、頑張ってです〜」

「とほほ……」


つづく

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