澄み見つめる
愛している
愛されている
私たちはなぜだか
もう長いあいだ遠くにいるよう
波は今日も穏やかで
満ちている
満ちていては迷子になる自分がいること
探そうと引き潮を待つ
しかし海は渇くことを嫌う
嫌い、遠ざけても良いことはないと知っているはずなのに
波が引いて行く
想像をしていた通りに
渇ききってしまった
引けばもう押し寄せる他ない
ほら、きた
孤独な大地に想いが満ちる
引きずり込まれる
目の前に見える巨大な黒塊
マッコウクジラ
それはまるで彼
歯もつかわずイカたちを飲み込んでしまう
虚偽の穏やかさ
包み込まれる錯覚に陥る
理解していても実感がないのだ
どうして状況がわかるというのか
口に含まれ
暖かな冷たさのなか
私は愛に孤独を知った