prologue
誰も特をしない物語。
世界は下らないもので出来ている。
けれど世界はそれを認めようとはせず、ひた隠しに背を向けてそれを見つめようとはしない。
世界は美しいものだと嘯き、さもそれに価値があるかのように振る舞う。
そしてそれに何も考えることなく便乗する人間が両の手で数え上げることも出来ないほどいる。
あまりにも馬鹿馬鹿しく吐き気を催す話だ。
そんな思考を停止した世界で生きていければなんと幸せなことか。家畜のように日々を貪り、盲目的に今を生きる。
大した生き方だ。
ある種、尊敬せざるを得ない存在でもある。尊敬すれど、決して望む姿ではあり得ないのもまた確かではあるが。
人は幸せになることを望むのだという。
これが幸せなのだろうか?その中に幸せの要素など皆目見当たらない。
その中で見つけられるものと言えばその愚かで滑稽な姿だけだ。
ああ、つまらないつまらないつまらない。
幸福なぞくそ食らえ。
そんなものは偽りだ。飾りだ。騙りだ。
下らない下らない下らない。
それは何の足しにもならない。
無意味だ。浪費だ。塵芥だ。
だからそれだけを望む。
――不幸よ来たれ。
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