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理想王子  作者: 田山らら
3/3

友達のキス

遅くなってすいません;頑張って書いていきたいです

心の中でガッツポーズしてみたものの、隣を意識しちゃって授業に集中できない。


一時間目の現文の時間だって…

「あのさ、教科書見せてくれませんか?」

って言われて。


「え゛え゛っ?!見せるの教科書?!」


だって教科書見せるのってガーって机くっつけて、超接近するってことじゃん!


どうしよう!


「え゛?w」


するとあたしの後ろにいる麗奈が、くすっと笑って言った。


「真子、藤田くん教科書まだ持って無いんだよ。見せてあげなよ」


「あ、だよね;ごめん;」


「そんなに拒否られるとはねw」


と修馬が困ったように笑った。


「あの違うの〜!全然見せられるから大丈夫!」


と力を込めて言ったら、修馬がにかっと笑って、

「あそ?じゃあ遠慮無くw」

と言ってがっちり机をくっつけてきた。


あたしは真ん中に教科書を置いて見やすいように見開いた。


でも相手に緊張してるのがバレないように気を付けなきゃならなかった。


別に修馬とあたしがこの先どうなるって訳じゃないかもしれないけど、なぜか修馬だけは男の子として気になってしまう。


こんなベタな展開に結局一番どっぷりはまっているのはこのあたしだ。


久しぶりにドキドキしてる。


なんだか恥ずかしくて笑っちゃうや。


「コンコン」

修馬が突然机を叩いた。


「?」


あたしが口だけ動かして何?と言うと自分のノートにこんな事を書き始めた。


『俺の後ろの席の人、南さんの彼氏ですか?』


あたしは目を丸くして修馬の後ろをみた。見なくても誰かはわかってる。そこに座っているのは恵太だ。


向いた瞬間に恵太と自然に目が合う。


恵太も声を出さずに口だけ動かして『なんだよ』とふくれっ面で言った。


あたしは目を丸くしたまま前に向き直した。


なんで恵太とあたしが?

ありえない。


あたしは自分のノートに返事を書いて見せた。


『なんで?ありえないよ(笑)』


修馬はうーんと唸って返事を書き始めた。


回りは静かで(というか思い思いにみんな携帯いじったり、漫画読んだり、内職してるんだけどw)先生の声だけが響く。


『だって俺が南さんと話すとあの人、すごいにらんでくるよ』


ええっ?何それ…あたしと話すと、恵太が修馬を睨む?無い無い(笑)



元々恵太は血の気が多い性格だから、ただ単にガン飛ばしただけかもしれない。


あいつ…いちいちケンカ売らなくて良いっつの。


『あいつバカだから気にしなくて良いよ』

あたしはノートに書き続けた。


『そんな風には思えないけどなぁ〜』


『え、思えないって何が?』


『自分で考えなよ(笑)』


キーーンコーーンカーーン…


そんな事メモしながら話してたら授業が終わってしまった。(一番良いところで)


休み時間が終わると同時に修馬の回りにどわっと男子が集まり始めた。


ただし恵太は何が気に入らないのか教室を出て行ってしまったけど…


それをよそに修馬は回りの男子に質問攻めになっていた。


「青森って寒い?!」


当たり前だろ(笑)そんな当たり前の質問にもちゃんと修馬は答えてあげてる。


「寒い寒い!下手したら死ぬよ!」


「じゃあさ、どこらへんに引っ越してきたの?」


そ、それはあたしも気になるw


「東望台だよ」


あたしと一緒ぢゃん…またベタな展開だし…


「で、何部入るの?」


軽音かな?見た目ロックだしw


「んー中学からずっとバスケやってるから、バスケ部入りたいな」


「うおぉぉぉっ!!」


バスケ部の男子が大袈裟なリアクションをする。


バスケ部か。意外だなぁ〜バスケ部…げっ!恵太バスケ部じゃん…うわぁ…絶対ヤバイよ…


恵太に話したい事もあったのであたしは教室を出て恵太を探しに行った。


と言っても恵太が行くところくらいすぐにわかるんだけど。


あたしは階段を上がって屋上へ出た。


「おら〜チクるぞ〜」


「うっせー」


そこには案の定煙草を吸っている恵太がいた。


「それでもスポーツマンかい」


恵太は煙を吐きながら笑った。


「いいの俺は。バスケうまいから」


恵太はバスケ部のエースだ。


「またそんな事言って。だったらなおさら吸うなっつの!」


「お前も俺が吸ってる理由知ってんだろ」


「まぁね」


「だったら止めんなし〜」


恵太が煙草を吸ってる理由はあたしも知っていた。


恵太はお母さんとソリが合わずで家で息が詰まってしまうらしく、そのストレスの吐け口に煙草を吸っているのだ。


「あのさ、藤田くんにガン飛ばしてるっしょ」


「あ゛ぁ?」


恵太があたしを睨む。別に怖くないけど。


「恵太、そんな顔してるとジュノンボーイ級の顔が台無しだよ」


「なんで俺があんな田舎っぺにガン飛ばさなきゃならねぇんだよ!」


「別に飛ばしてないって言うなら良いけどさ、藤田くん、バスケ部入るって言うから先が不安でね」



明らかに恵太が嫌な顔をしている。「何、なんか文句あるの?」


「別に〜ねぇけど〜?」


超ありますって顔してんじゃんかよ。


「本当に〜?」

あたしがいぶかしげに聞くと、じっとあたしを見つめて恵太は黙ってしまった。


あたしは見つめ続けられるのって苦手だから、先に話した。


「なにっ!」


「お前はあいつの前だと女の子になる」


マジ顔で恵太は言った。まるで確信しているような自信たっぷりの顔で。


もちろんその通りだったけど、ここは否定するに決まってる。


「は?何言ってるの?あたしが?意味わかんないなぁ〜あたしそういうキャラじゃないじゃん。くだらない事言うんだったらもぅ授業はじまるし、あたし行くからね」


意外にもさらりと言えたと思う。嘘なんて言うの簡単なんだ。


「嘘つくな」


恵太は引かない。


「ついてない!もぅ良い、勝手にしなよ」


あたしは屋上の出口へと早歩きで向かった。


「おい!待てよ」


シカトしてあたしは歩くもうすぐ階段だ。さーっと格好良く降りて、恵太なんて無視してやる。


「待てって!おい!」


恵太の声が強くなる。


あたしは気にせず歩くが、追いかけてきた恵太に腕を取られてしまった。


「離せ!痛い!」


あたしがわめくと壁にあたしを恵太が押し付けた。やっぱり男の子の力には勝てない。あたしは意図も容易く壁に半ばぶつけられた。


「…っいった…」


「言うこと聞かないからだ」


「近い。離れて」

あたしと恵太は近すぎて気持ち悪いくらいだった。まるで恋人同士みたいに。


「真子はあいつが好きなんだ?」


また恵太が確信をつく。


「違うって言ってんじゃん!しつこいんだけど!たとえそうでも恵太に関係ないっ…んっ!」


そう言った瞬間恵太にキスされた。


しかもディープ。はねのけたいのに向こうの力が強くて動けない。


「は…離してっ…」

そうあたしが涙ぐみながら小さい声で訴えると、恵太はキスをやめた。けど顔が近くて向こうの吐息が聞こえるくらいだった。


「関係あんだよ…俺は真子が好きだから…」


「ごめん、どいて」

言った瞬間にあたしは恵太を押しのけて、とにかく走った。


なんで?なんで?

恵太は友達じゃないの?

なんでキスできるの?

恵太があたしの事を好き?意味がわからない。だって恵太には彼女がいるじゃん。


そうなのだ。恵太には彼女がいる。なのになんで?


悲しいのか悲しくないのかわからないけど、涙が出てきて拭いながら教室まで走った。

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