ガントレットちゃんのドキドキ講座/ステータス説明♡
前回は悪乗りが過ぎて読んでいる方に不快な思いをさせたようで大変申し訳ありません。おわびというわけではありませんが、今回は自重して、説明重視で話を進めさせていただきます。少々長くなりますが、お付き合いのほどよろしくお願いします。
「……お、おやびん……おれらこのゴリラに喰われるんでしょか……」
「―――くっ」
比較的浅い洞窟の奥、手足を縄でふん縛られて、コボルト達は暗闇の中に縮こまっていた。
彼らを捕まえた主は今『狩り』に出かけている。
残ったスクリプト沸きしたコボルト達をこの場にかき集めんと、森をムササビの如く駆けまわる。
ガサガサガサガサッ
―――ギャアアアアアアアアアアアアッ!
暗闇の中、枝葉の軋む音が聞こえ、遅れて野太い悲鳴が聞こえてくる。
闇の奥から感じるのは、悦楽に歪んだ気配。
暗闇に、見開く真っ赤な目。
シュゥウウウウ……
口の端から零れる白い息遣い。
四つん這いで木の枝にとまりながら、闇の中で獣は、獲物を見つけんと笑みを浮かべて目を輝かせる。
そして、高い木の枝を蹴り、再び森の闇へと沈む。
その姿は、まさしく『森の主』―――
「おやびん……」
「……!」
ドォオオオンッ
土煙が洞窟の入り口から立ち上り、爆音の如き地響きが地面を走って、四人のコボルトの身体が僅かに宙に浮く。
ニィイイイ……
土煙の向こう、紅い目を見開いて『獣』が笑う。
バッと勢いよく腕をふるうままに、一瞬で晴れる粉塵。
ヌチャリと泥のついた足を引きずりながら、前のめりに洞窟の中へと、全裸の女が闇へと身体を沈める。
怯える三人を守ろうと、前に出るコボルトを見下ろす。
「……ヒヒッ。ワンコ……」
嗤っている―――
「……俺のことは好きにしてもかまわん。だが子分だけは助けてやってくれ」
「おやびん……」
「貴様にも人の心があるのならわかるはずだ。彼らを助けてやってくれ」
「……助ける?」
暗闇の中で女の笑みが深まる。
ニチャリ
歩み寄るままに、ゆっくりと女は目の前の親分コボルトの前に腰をおろし、そして獣の顔を覗きこむ。
ニッコリと微笑む―――
「ん?んん?ワンちゃん何をそんな力んどるんや?」(その目は優しかった)
そう言って、女は惚けるコボルト達を前に胡坐を掻くと、満足げに大きなため息を漏らした。
「むふぅ。まぁ四匹しか集まらなかったけど上々ね」
「い……一体何を」
ニコニコと女は嗤う。
そして告げる――
「あんたたち、私を襲おうとしたでしょ」
「え……ええ」
「私の身体目当てでしょ」
「あ……いや……それは……多分ない……です」
「目当てでしょ」
「え……」
「ねぇ」
「はい……」
「うん、って言ってごらん」
「……」
「楽になれるわよ?」
「――――うん」
四人は頷いた。
女は更に楽しそうに笑った。
そして、ゆっくりと長い脚を左右に開いて―――
「よかったぁ。これは利害一致したとみていいわね」
惚けるコボルト達を前に、左右に開き切る両足。
股間にぱっくりと割れた二枚貝が暗闇に覗かせた(あ、今回は洞窟は暗いのでモザイクはなしです)
グッとモンロー張りに反らせる背中。
そして、顔を引きつらせる四人を見上げて、女は真剣な表情で目を見開くッ
「今よ!」
「……え……え?」
「お前達、私を犯しなさい!」
「……」
「ほら掛かってきなさい、私はいつでもオールオーケーッ、9800円ぽっきりで受け付けてるわよ。
ほらほらほら、掛かってきなさい、おらぁああああ!」
「いや……その……」
「ほら私を犯しに来たんでしょ。この際何でもいいわ、私をめちゃくちゃに犯してぇええええ!
今なら三人同時攻撃に耐えられる準備オッケーよぉおおお!」
「……ゴリラと交尾とか」
「ほら胸に掛けて胸に!私の胸に白くて暖かいものを全部ぶちまけなさい!遠慮はいらないわ、私に全てを預けてぇえええええ!」
「いや勘弁……俺ら獣姦の趣味とかないんで……」
「なんやて……」
スクッと立ち上がる華奢な体。
ヌゥと深い闇に白い身体が浮かび上がり、女の長い手が四人のコボルトに覆いかぶさっていく。
クワッと見開く紅い目。
ゴゴゴゴゴゴッ
大気を震わせ、背中を撃ち震わせ、怯えてすくみ上がるコボルトを前に全裸の女がにじり寄る。
「お前ら……さてはワンコやあらへんな……偽物やな……」
「いや……偽物というか、俺らこのゲームのモンスターで……」
「偽物……私を騙したんかぁああああああああああああ!」
「ごめんなさぁあああああああああああい!」
「許さん、食いちぎってどぶに捨ててくれらぁああああああ!」
「ひぎゃあああああああああああああああああああ!」
暗闇に、非常に悲痛な鳴き声が響き渡った。
「あの後服ももらったし……ちゃんと逃がして上げたし、いやぁいい事したわぁ」
『う、うん……そんな言う程いい事じゃない……かも』
「お礼にこれもくれたし」
私がそう言って服のポケットから取り出したのは、さっきのワンコの毛がまとめられた小さなブローチ。
何かのアクセサリーだろうか。
私は彼らかもらった大切な思いを胸に、これからも力強くこの世界で生きていこうと思う。
それが私が逃がした彼らから貰った『愛』なのだから。
――いい事したなぁ
『……で、では……ある程度戦闘の流れを掴みましたでしょうか?』
「捕らえて犯すの?」
『――なんでもいいです。好きにしてください……』
「まぁ闘うのは私だし、勝手にするわ」
『はい……ではパラメーターの説明から入らせていただきます』
「ん」
『まずは立ち上がってください』
私は言われるままに立ちあがると自分の身体を見下ろした。
少しボロボロの茶色い服を着こんだ私の身体。
茶色ベストは少しあたたく、同じくズボンは踝までを覆っていたが、生憎靴はなくてはだしのまま。
―――脚装備とか有るのだろうか。
私はそんな事を考えながら、自分の手足を見つめつつ、右手に付けた『B.A.S.E』に話しかける。
「それで何を説明するの?」
『ステータスおよび、装備の全般的な説明を今からさせていただきます。
ここ『アポクリファス戦記』では、ステータスは、身体ステータス、精神ステータス、属性ステータスの三つから成り立っています。
身体ステータスは貴方の身体に眠る力を数値化したもの――初期ステータスは、現存するオリジナルボディを参照して作られています』
「初期パラメーターは?」
『筋力87で瞬発力85スタミナ90体力15集中力50となっています』
「すごいの?」
『典型的なゴリラですね。あなたのオリジナルはよっぽどゴリラな人生を歩んできた二違いありません』
「うーんこのナビゲーター、ガントレットごと壊してやろうかしら」
『あなたも死ぬのでやめてくださいね。
体力が少々少なめですね。HPはこれら身体ステータスの総合を以って産出されます』
「他の人と比べては?」
『一般的な男性でも平均値30が初期パラメーターですので……ちょっと規格外かと』
「そう。精神パラメーターは魔法?」
『正解です。
身体ステータスは三つ、魔力、心力、脳力となっています。
魔力は魔法の力を上げます。心力は魔法の耐性を上げます。脳力はこの世界にある『アビリティ』の習得速度に関係します。
今アビリティの説明をしますか?』
「後。数値は?」
『魔力0心力90脳力85となっていますお客様』
「……脳筋なの私?」
『なんでそこでそれを疑うんでしょうか……』
「うるさいわね……属性ステータスは?」
『属性アビリティはオンラインとなっている前PCで共通の初期パラメーターのゼロです。それぞれこの世界における四属性を使う事によって上がっていきます。
ちなみに、この世界で属性魔法は基本的に魔力依存ではなく、その殆どが属性ステータス依存ですのでご注意を』
「なら魔力は何で使うの?」
『上位魔法――例えば白狼神アトラシアの庇護の下生まれた天輪の魔術、黒き大狼神ゼノアトラより生れし崩天の呪術では、魔力に依存していきます。
あ、言い忘れましたが、初期ステータスはそのままレベルアップ時の成長補正値にも影響を与えますのでご注意を』
「……。つまり私は一生そういう上位魔法には縁がないのね」
『野猿に火を持たさえたらえらいことになるってことですねっ』
「やかましいわぁああ!」
ドスドスと私は地団駄を踏みつつ、怒りを腹の奥に堪え、再びガントレットの説明に耳を傾ける。
「属性は……何個あるの?」
『火、水、雷、風、土。以上の五つとなります。説明をしますか?』
「ん……それほどでも」
『説明書を開かないで試練場に入ってテレポーターその後ロストの流れですねわかります』
「やめて……やめて」
『では説明に入ります。
火属性は火に弱い相手に多大なダメージを与えます。ソレと共にモータルデスが発動します』
「モータルデス?」
『火属性の攻撃を受けた時、確率で発動するステータス異常です。このステータス異常を受けた相手は、一定時間DoTを受け続けます。ソレと共に発動中アーマーの防御力が著しく下がります。
水属性は水属性の弱い敵に多大なダメージを――ソレと共に敵の攻撃力と攻撃速度を半分にする効果を確率で発動させます。
雷属性は、一時的に『MOD』の効果を殆ど消失させます。そしてシールドゲージを全てゼロにします。
MODおよびシールドの説明を受けますか?』
「……また後で」
『溜めると、後で大変ですよ?』
「順序立てて勉強しないと、更に大変よ」
『案外頭いいんですね』
「バカだからね……」
怒りに顔を引きつらせながら、私は腕を組みつつ更に腕のガントレットの説明に耳を傾ける。
『風属性の攻撃は風の属性の弱い以下略―――それと共に敵の防御力を無視した攻撃を確率で別途発生させます。
土属性は以下略―――ソレと共に、アーマーの耐久力を減少させる効果を確率で発生させます。
異常が属性の説明になります。属性ステータスはこれらの確率効果を発動させるたびに経験値を貯め、成長させていきます。
そしてそれら特攻の数値上昇と確率効果の確率上昇へと、属性ステータスは影響は影響を与えていきます』
「つまり……この世界には毒とか麻痺のステータス異常はないの?」
『はい。五つの属性がそのまま五つのステータス異常になっていると思っていただければ幸いです。
それ故にマスターも、属性持ちの敵には十分注意をしてください』
「面倒ね……いや、逆に楽なのかな?」
『それでは先ほどから出ていました各種ワードと、その他先ほど申し上げましたクラスについてご説明させていただきたいなと思います』
「ん」
『その後と支給品として、クラスに応じた初期武器をこちらで生成します』
「あのおっぱい……やっぱり武器とかあるんじゃないの」
『服はありませんよ』
「服がないのが問題じゃないのぉおお!なんで武器用意できて服が用意できないのよちくしょぉおおおおお!
あのおっぱいババァ私が強くなったら絶対にぼこぼこにしたらぁああああ!」
『――――服がなくて、マスター何か困ったこと、さっきまでありましたっけ?』
「次行きましょう次へ」
うん、別に裸武器縛りでも、精神衛生上、何の問題ないなと、私は思った。
ただ、そんな事をして他人の視線が突き刺さることが、今後森を出て容易に想像できるのが、心底哀しかった。
なんで皆裸じゃないのかしら。
お前アダムとイブだって最初裸だったんだし、別にいいよね。だれにも迷惑掛けてないんだし。
いいよね(シンゴーシンゴー)
悪くないよね(シンゴーシンゴー)
裸って、気持ちいよね。(シンゴー!)
まぁ、人生そんなもんよね(ほげぇえええええええ!)
うんこんな所で自分を納得させておく。
どうだった?(*´ω`*)ガントレットちゃんの説明はまだまだ続くから覚悟してね♡