表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/23

序章:悲しき少女の叫び(棒読み)

というわけでアポクリファスちゃん出番よぉ。

「まじかよ……」

というわけで今日から少しずつ書いていきます、夜中だけど。よろしこ(*´ω`*)




 子供の時、父と母が列車事故で死んだ。

 五歳の時だったと思う。

 一人っ子だった私は、当然父と母と一緒にあの列車にいたはずだった。

 だけど死んだのは父と母だけだった。

 父は私の上におぶさってくれていた。

 母はずっと私の手を握りしめていてくれていた。

 なんでだろう。

 なんで、私は生きているのだろう。

 そう考える暇もなく、時は過ぎていき、程なく私は六歳の時に別の老夫婦に預けられる事になった。

 やったねレナちゃん家族が増えるよ。

 と言った具合だったのだが、今度はそのおじいさんとおばあさんが死亡。

 死因?

 餅を喉に詰まらせて、病院送り。

 そのままニッコリと笑ってあの世に行きましたとさ。

 いやいや。

 いやいやいや。

 おかしいでしょ。

 なんで笑って逝けるの?

 モチ詰まらせて頭回ってなかったでしょ。

 何?脳内物質でも回ってるわけ、老人がアヘ顔晒して文字通りぽっくりと絶頂しちゃったわけ?

 バカにしてる?

 いやいや、だっておじいちゃんの最後、シーツにテントはって――

 んん―――そうじゃないわね、そうじゃないの。

 私が言いたいことはそういう事じゃないの。

 なんで私の周りで親しい人達が死んでいくの?

 ああ、可哀想な――

 ――んん。おじいちゃんは、そんなに……親しくなかった……かな?

 ううん、親しかった。

 ここ断定しておくわ。でないと独白が続かない気がするもの。

 おかげで学校では、私は死神扱い。

「死ぬぜぇ、私を見た奴は皆死ぬぜぇ」

「キャアアアアア、レナちゃん格好いぃいいいいっ」

「おら、男子どもジュース買いに行きな。でないと死ぬぜぇ」

「キャアアアアア!」

 ――うん、死神扱い。

 OMだってこなせるレベルよ。

 そんなわけで――そんなわけでっ、私の心は幼いながら、とても……とても歪んでしまった。

 可哀想な私。

 例えるなら、渦を描いて天に向かってそそり立つう○この如き捩じれよう。

 うぬ、立派な聖帝十字陵であるな。

 そんなセリフが聞けちゃうレベルの捩じれよう。

 哀しい。

 私は哀しい。

「オーゥ!ナンチューコト!スッゴイカワイソ!」

 え?

 え?

 ――ううん、何も聞こえない。

 聞こえないわ、何にも聞こえないの。

 私のログには何もないわ。

 そんな私がMMOに入り浸って何が悪いというの?

 学校行け?

 クラブ入れ?

 お友達と仲良く帰って帰りに喫茶店でも寄って周りの女の子とキャッキャウフフしようよ?

 ――何それ怖いわぁ。

 彼氏?

 彼女申請のメールの方が多い現状でそれはないわぁ。

 気持ち悪いわぁ。

 ナイスエクストラスリムバディ中学生美少女が街中歩いているって言うのに、誰も声掛けないもの。

「この野郎! 私のパン取りやがってよぉ、こいつは滅茶許せんよなぁあああああああ!」

 こっちが声掛けたら。

「逃げんなくそ虫すりつぶしてやらぁあああ!」

 逃げちゃうんだものっ。男子ってよくわかんないわっ

 そんなわけで、学校にもそんなに居場所はなく。

 いやあるんですよ。

 ただそれが『守護神』『番長』『そなたこそ真の三国無双よ』とか言われる立場ばかり。

 私を、私を女の子として扱ってください。

 私を女の子として扱ってくれる空間をください。

 私を女の子にしてくださいッ。

「いやあんた女の子――――じゃないかもね」

 クソが。

 くそったれな流れ星に願いを込めつつ、四度目の老いた家族の一員として、炊事洗濯家事親父といった具合一通りのことをこなす。

 そして夜な夜なテレホマンが登場しそうな時間帯で、MMOをこなす。

 私が女の子でいられる時間はここだけ。

 今だけ私は女の子なのっ。

『お前ネカマだろキメェ。レスタに呼ばれたので移動しますね^^;;;』

 クソが。

 今日も今日とて私は居場所を探す。

 私が女の子で居られる場所。

 私がお姫様でいられる場所。

 ――あ、ニコ生とかうちのシマではノーカンなんで。

 そんなわけで、今日も私はMMO『探し』に全力を尽くしている所だ。

 正直MMO自体はそんなに経歴があるわけではないのだが、それでもいつか自分の大切な居場所を見つけられると信じてる。

 信じて―――

「ん?」

 ―――『アポクリファス戦記』

 大したネーミングじゃない。

 だけど心は惹かれた。

 まるで魂がグイッとディスプレイに引っ張られていくような、ログイン画面を見ているだけそんな感覚になった。

 ログイン画面には、二つの首を持った巨大な灰色の熊が見える。

 広がる大陸。

 砂漠、森、山、海。

 青空、そして太陽っ。

 ありふれている、だけど見れば見る程画像とは思えないほどに、生き生きとしているようだった。

 面白そう。

 心が小躍りする(※阿波おどりです)

 行こう。

 ここなら私の、私だけの居場所が見つけられるかもしれない。

 私が女の子でいられる場所が。

「いやさすがに無理やろ」

 うっさい流れ星は喋んなクソが。

 そんな事を考えつつ私、ナイスバディの中学生、速比売レナはその『アポクリファス戦記』にログインすることにした。

 これが、私の、人生で最初で最後の―――

「―――え?」

 VRMMOになるともしらず。




               アポクリファスの古戦場:灰の大地/白き大樹


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ