ローンのハンコ押した日、ワイの青春は段ボールになったんや。
高校出たての18歳、ノリでローン組んでまうやつおる?
――おるんよ、ここにな。
夢を信じて借金背負ったアホと、借金取りのツッコミが織りなす、段ボール発の成り上がり漫才、はじまるで。
「おい、ホンマに押したんか?」
目の前の借金取りが、契約書の端をトントンしながら、口元をニヤつかせてきよる。
ワイは心の中で、叫び散らかしてた。
――いや、お前が“押せ”言う空気、出してきたんちゃうんかい!!
18歳、高校卒業して2日目。
ワイの名前は三橋ユウト。夢はただひとつ――
「漫才で世界を笑わせるんや!」
……せやったのに。
「たった一回のチャンスを逃すな!」
「お笑いで起業!最短一ヶ月で劇場デビュー!」
みたいな謎広告に釣られてもうて、
成人したての勢いでローン契約書にハンコ、ドーン。
ほんで来たのが、こいつや。
「鬼塚カネトや。借金の回収担当。……けど、見込みがあるなら、ワイが“投資”したる。」
なんで借金取りが投資家ぶってんねん。
しかも今のワイ、家ない、金ない、
コンビニの駐車場に段ボールハウス立てて住んでる。
笑えへん。……いや、笑うしかない。
「どないすんねん、コレ……」
「決まってるやろ。」
鬼塚はワイのボロボロのネタ帳をパラッと見て、
どっから出したんかわからんマイクスタンドをスッ……て立てた。
「借金はな、笑いで返せ。お前がウケたら、株価が上がる。笑いが“通貨”になる世界や。」
「いやいや、なんやそれ、意味わからんて……ワイ、偏差値37やで?」
「笑いに学歴はいらん。スベったら利子倍な。」
「悪魔やん!!いや、鬼か!!お前鬼塚やもんな!!」
「そのツッコミもスベってる。」
「ちゃんとツッコんでくれるん優しない!?」
「……しゃあないな。組むか。」
こうして、
ワイの段ボール青春は始まったんや。
Wi-Fiはコンビニ頼り。
ネタで成り上がるとか言いながら、借金まみれ。
相方は借金取り(しかも元芸人とか言いよる)。
けどな――
本気で笑わせて、人生ひっくり返したるんや!
段ボール漫才、開演やで。
ここまで読んでくれて、ほんまにおおきにな。
笑いだけでどこまでいけるんか、自分でもわからんけど――
せやからこそ、見届けてくれる人がおってくれたら、めっちゃ心強いわ。
「おもろいやん」って思うてくれたら、ブクマしてくれたら嬉しいで。
次も気張って書くさかい、よろしく頼んまっせ。