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お嬢様はエクソシスト  作者: 地野千塩


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最後の冬休み編(5)

 確かに桜の別荘の周りでは、悪霊は全くいなかったが、ちょっと離れると地域の悪霊が動いていた。


 時にあのスピリチュアルリーダー・東大寺塔子がいると思われる黒い建物の周りは、悪霊がウヨウヨしていた。


 桜の別荘から少し離れてしまったが、森の中に入り、地域の悪霊を追っていく。


 確かの空気が良い森の中だったが、スピリチュアルやカルトの悪霊が動いていて、変な匂いが漂う。


「で、直恵。どの辺に悪霊の行き来しているがあるの?」

「わからない。とりあえず、進みましょう」


 地域の悪霊はいちいち固体を祓うよりも、儀式をかけられた場所で一気に祓う方が効率がいい。儀式がかけられた場所は、悪霊が行き来する門が開く。いわゆる根みたいなもので、今はその場所を探していた。


 地域の悪霊というのは意外といるものだ。多くは悪魔崇拝者が儀式をし、門を開き、悪霊を呼び込み。


 元悪魔崇拝者の本によると、クリスチャンが祈っている場所では魔術がかけられなかったらしい。聖霊の火が燃え、クリスチャンを守っているようだったと描写されている。


 直恵が残念ながら、聖霊はあまり見えないが、その本が言っている事はその通りだろう。実際、直恵もあの別荘にいる間は、全く悪霊がやって来ない。


 クリスチャンが地域の教会に集まって祈る事は大事だ。一人で祈っても良いが、やはり複数人の祈りは強い。同じ聖霊で複数人で同じ祈りをする時、悪魔が一番怖がっていると感じる。クリスチャン同士が集まるのが何よりも嫌で、悪霊もかなりびびっている。だから、悪霊は教会が嫌いなのだ。


 地域の教会が堕落すると、その地域で犯罪や貧困が増えたりするようだが、霊的には理がかなっている。


 今は新型インフルエンザの影響で礼拝をオンラインにしている教会もあるというが、地域の事を考えるとおススメはしない。アメリカではそんな中でも商業施設で礼拝していたクリスチャンもいたそうだが、それぐらいの霊的な強さは必要だろう。


 よく「世にある教会は初代教会のようじゃないから」と言い、教会に行かない無教会派のクリスチャンもいるが、悪魔側が仕掛けている地域の悪霊を考えると呑気にそんな事は言っていられない。ちなみに大正時代の無教会派は、洗礼や聖餐式を否定していただけで、集まって礼拝や聖書勉強会もしていた。クリスチャン同士で集まる事は否定していなかった。


 もし遠くの北海道に初代教会のような完璧な教会があっても直恵は行かないと思う。遠くの完璧な教会よりも、未完全でも近くの教会に通った方が良い。


 といっても精神障害などを持ち、教会に行けない事情がある人も多い。そう言った人のサポートは手薄で残念だ。日本の教会の組織力が薄まっているのも当然かもしれない。組織力に限っては、日本の教会はカルトに惨敗状態だった。


 そんな事を考えながら、森の中を進むと儀式がかけられた場所を見つけた。


 なぜか血だらけの鶏が魔法陣のような図表の上にささげられていた。


 人を生贄にしないだけマシだと思ったが、やっぱり儀式の跡地は気持ち悪い。いつも呑気な桜もものすごく気持ち悪がっていた。


「今どき生贄儀式なんてやてるのね……」

「そうねドン引きね。この鶏、相当虐待されて殺されたようね。可哀想に」


 そうは言ってもいつまでも死んだ鶏を可哀想がってはいられない。ここから悪霊は行き来している。特にスピリチュアルや貧困、鬱の悪霊がザザザワと騒いでいる。普段、エクソシストなんてやってる直恵と桜を発見し、警戒しているようだ。


 おそらく悪霊の世界では直恵と桜は、そろそろブラックリスト化しているはずだ。これから攻撃が激しくなるはずだが、とりあえず今はここにいる悪霊を桜と一緒に祓った。


 同時に悪霊毒独の匂いが消え去り、直恵は思わずホッとした。


『覚えてろ! このエクソシストのクソ女!』


 最後にこんな風に捨てセリフを吐かれた。たぶん、これから悪霊の攻撃が増えそうだ。


「まあ、桜。さっさと帰りましょう。こんな事やってりとやっぱり悪霊の攻撃は強いからね」

「悪霊の攻撃って何?」

「多くは誘惑だけど、人を疑うような思考を持たせたり、これからタチが悪くなるでしょう。別荘に帰って讃美歌を歌い祈っているのが良いでしょう」

「そう思うと、私たちけっこう危険な事をしていたのね」


 桜はわざとらしく震えるような仕草をした。


 呑気な桜の割にはよく気づけたと思ったが、こんなエクソシストの真似事をしていると悪霊の攻撃が激しくなると、失明したり、統合失調症になるものもいるらしい。家族、とくに子供に悪霊が攻撃されたものもいると聞いた事がある。


 こんなエクソシストをしていると、たぶん家族は持てないだろうと直恵は悟っていた。悠一も一生独身の覚悟でエクソシストをしていた。本来なら桜にはこんな事はさせない方がよかったのだが、何故だか彼女といるのが楽しく、やめ時を失っていた。


 せっかく悪霊を祓えたが、少し切ない気持ちにもなる。


「じゃあ、直恵帰ろうか」

「ええ。帰りましょう。寒くなってきたわね」


 気づくと空は、灰色に曇り始めていた。風も冷たく、底冷えする。寒い事もあり、少し足速に別荘に向かった。


 別荘の門のすぐ近くに来ると、桜が声を上げた。


「誰か倒れてない?」


 桜が指差した方向には、確かに若い男が倒れていた。


 直恵と桜は走って彼に近づいた。


「あ! 篝火じゃん!」


 桜は、さらに声を上げた。ほんの少し嬉しそうな声に聞こえたのは気のせいだろうか。


「篝火?」

「ええ。私が好きだったビジュアル系バンドのボーカルね」


 篝火と呼ばれた男には、何の悪霊も憑いていなかった。だからこそこの別荘の門まで辿り着けたのだろうが。


 青白い顔をした女みたいな男だった。コートを着ているが、ズボンではなくロングスカートみたいな服を着ていた。ブーツはゴツく、首という首にチャラチャラとしたアクセサリーがついていた。


 指輪もしていたが、ドクロのデザイン で明らかに悪魔的だ。顔もよく見ると薄化粧していた。


 こんなロックバンドマンが悪霊をつけていないとは有り得ない。


 直恵の見当違い?

 

 どういう事?

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