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母親の毒林檎編(4)

 翌週の火曜日ぼ昼休み、直恵はエレミヤ塔の聖書研究会の部室にいた。


 購買で買ったおにぎりを片手に、元悪魔崇拝者が書いた本を熟読していた。


 昨日、バイトの初仕事だった。


 仕事自体は食事の準備や掃除で、ものすごく難しいわけではなかったが、問題は幸田だった。


 あの悪魔崇拝の悪霊をくっつけている幸田のそばにいるのは、とても骨が折れた。何度も心の中で御言葉を呟き、祈ってどうにか立っていられるレベルだった。


 いっそ祓ってしまおうとも思ったが、幸田はノンクリスチャン。祓っても悔い改めをしなければ、後々悪霊が報復しに来てもっと酷い目にあう。迂闊に祓うわけにもいかなかった。


「つ、疲れたー」


 思わず、直恵に口から愚痴もこぼれる。幸田を思い出すだけでも直恵も疲れた。さりげなく幸田の聞いてみたが、軽度のパニック障害などの持病もあるらしかった。事故や怪我も多いらしい。


 幸田の悪霊が見えてしまった直恵は「だろうなー」と思う。悪夢も見るようで、困っているという話だったので、とりあえず聖書を読む事をおススメしておいたが。


「ちょっと、直恵。なんで部室でお昼食べてるのよ!」


 そこへ桜が部室に入ってきて、一緒にお昼をとる事になった。


 桜はランチバックから弁当箱を広げる。この弁当は昨日直恵は下準備した唐揚げや枝豆も入っていた。


 とりあえず美味しそうに弁当を食べる桜の横顔を見ながら、少しホッとする。


「昨日、初バイトはどうだった? っていうか何で元悪魔崇拝者の本なんて読んでるの?」


 桜に幸田の事を言うのは気が引けたが、一応言ってみる事にした。何かわかるかもしれない。


「えー、幸田ちゃんは不幸続きだけど、そんな悪魔崇拝に関わってはいないはずよ」


 桜はかなり驚き、目を見開いていた。大きな目がこぼれ落ちそうだ。


 元悪魔崇拝者の本によると、悪魔崇拝者がは秘密血者に入り、変な儀式をして悪霊を召喚していると言う話だった。確かに幸田はそんな儀式に関わっているとは考えにくい。


 今でも動物や人を生贄にして悪魔崇拝儀式をやっている人もいるらしいが、一般人でやっている人は稀だ。多くは秘密結社にはいっている支配者層と言われているものが、そう言ったものと係る。


「私の勘違いかしら。悪魔崇拝の悪霊だなんて、見間違いだったのかなぁ」

「うーん、でも私に例のロックバンド・篝火を教えてくれたには幸田ちゃんなのよね」

「本当?」

「うん。さりげなくロックバンドの雑誌くれたりした。今思うと、色々怪しい部分はあったかも。聖書も嫌がって触らないし」


 悪霊憑きのものは、聖書を読めない。特に悪魔崇拝者が聖書を触ると手が爛れたり、声が小さくなったりする事もあるらしい。


「そういえば」


 桜は何か思い付いたように聖書を開いた。旧約聖書の申命記を熱心に見ていた。


「先祖の呪いじゃない? 聖書にも三代四代まで呪うってあるじゃない」

「確かに申命記にあるけど…。でも……」


 聖書には先祖の罪に関わる部分が書いてある。先祖が罪を犯したから子孫が地獄に行くという意味ではない。目の見えない人などの障害も先祖の罪が原因で起きるわけでもない。


 ただ、先祖があけた悪霊への扉は子孫に影響があるのは確かだ。先祖が占いもやってれば、子孫も似たような占いの罪を犯しやすい。虐待や貧困も子供に責任がなくても伝わりやすかったりするものだ。


 幸田につけられた悪霊は、先祖の影響?


「先祖の罪といっても、それであんな悪霊つくかしら」


 実際悪霊見える直恵は疑問だった。日本人の先祖の多くは偶像崇拝の罪を犯す。実際子孫も犯しやすい環境にいるわけだが、だからといって全員が全員偶像崇拝するわけでもない


「わかんない。とりあえず、幸田ちゃんと私と直恵の三人で話して見ない? 何かわかるかも?」

「そうね。とりあえず幸田さんと話してみたいい」


 桜が調整してくれて、今日のバイトが終わったら三人で話す事になった。

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