4) 鬼の居ぬ間にクーデター?
ダース伯爵の屋敷の一角に潜み、人の気配がない事を確認します。
「魔道具「鎧騎士」装着!」
魔力の糸が私を包み、鎧へと変わっていきます。
私はピンクゴールド色、クロニィはガンメタリック色、私の方がかわいいです。
「鎧騎士の調子はどうだ?」
「魔力の制御、良好、暴走の心配はないよ」
前回、暴走したので、原因を考えた結果、私が異常に興奮すると暴走するみたい。
じゃあ、普通にしてれば、大丈夫と考え、使用を再開しました。
重い扉を開けると、薄暗く、広い部屋に出ました。
「あら、ここは工房? 迷ったかな」
向こうに、鉄が赤々と燃え溶けているのが見えます。
「誰だ!」
気付かれちゃった。
「正義を愛する「あどけない美少女」よ!」
「ゴーレムキングだ!」
名乗ったのに、失礼な悪党です!
なら、ここを大きなサウナ風呂にしてあげましょう!
「ウォーターボール!」
水の塊を、溶けた鉄にぶつければ、サウナ!、、、の予定でした。
「ドン!」
耳がキーンとして、なぜか、私が屋敷の外まで吹っ飛んでいます。
「ガラガラ」
また、屋敷が半壊しています。なにが起きたの?
「大丈夫か、ホシミッツ?」
護衛のクロニィが、伯爵を縛り上げています。
鎧騎士は解除されています。
「おまえら、燃える鉄に水をかけたら、水蒸気爆発を起こすこと、知らんのか!」
ダース伯爵が吠えていますが、「私、何もわかんない」と、あどけない笑顔で答えます。
大きなサウナ風呂へのチャレンジには、失敗が付き物です。
◇
「また、例のメダルを持っていたのね」
「だな」
クロニィの手のヒラには、コインのような、4個目の金色のメダル。黒の五芒星が描かれています。
「裏の帳簿で、お金の流れを見てきたが、王都の経営相談ギルドに行き着く」
いつも優秀なイケメンです。
「そのギルドは、第二王子の管理下だよね? もしかして、もしかする?」
少しワクワクします。
「じゃ、第二王子をぶっ飛ばして、悪事を吐かせれば解決ね」
「ホシミッツは、王族を殴れるのか?」
この世には、不敬罪というものがあり、普通は殴ったら重罪となるので、殴れません。
「知ってるでしょ、「双子の人権法案」と「女性の人権法案」が議決され、今日から施行されるのよ」
養子に出された双子の片割れは親元に帰ることができ、女性王族が女王になることが認められました。
詳しいことは秘密ですが、今日から私は、王族をぶっ飛ばせます。
「いまごろ、王族は大騒ぎだな」
「でしょうね」
王位継承権の見直しと、こんな令嬢を王女と呼んでいいのか、、、王族会議でも決まらないでしょうね。
◇
王宮に急いで戻りましたが、何やら騒ぎになっています。
「なによ、この騒ぎは?」
王宮で火事騒ぎがあったようです。
「みんな、慌てないで、国王はどこ?」
王族会議に出席中の王族は、全員、地下シェルターに避難できました。
しかし、第二王子が、外から扉に魔法でカギをかけたため、外に出られず、監禁状態です。
そして、第二王子がクーデターを宣言しました。
「まさか!」
国王、王妃、王弟陛下、第一王子、王女までもが不在、、、第二王子はクーデター、、、王国の全権が私に落ちて来ました。
「城のみんなは?」
全員、外に避難できたことを確認できました。
「火事を装い王族を封じ、クーデター、そして全員を王宮の外へ出した、、、」
「なぜか、王宮の中から、禍々しい魔力が感じられる、、、」
クロニィが、状況の分析を始めました。
まずは、クーデター組の始末です。私とクロニィで、ぶっ飛ばします。
「20人程度で、クーデターとは、おかしいね」
騎士団に引き渡したところで、騎士団が座り込みました。
力が抜けて、うまく立てないようです。
捕らえたクーデター組も座り込みます。
周りでは、避難した人々も座り込んでいます。
「何が起こっているの?」
「魔力が、何かに吸われる感じがする」
「吸われる先は、王宮の、、、礼拝堂か?」
クロニィは、感覚も鋭いです。
「魔道具「鎧騎士」を装着する、暴走するなよ」
「大丈夫、禅の心という呪文を覚えたから」
ピンクゴールド色と、ガンメタリック色の鎧騎士が王宮を走ります。
「これは「ホシミッツたちの戦いは、これからだ!」が始まりそうね」
「縁起の悪い話はするな!」
お読みいただきありがとうございました。
本日中に全5話を投稿して完結いたします。
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