1) 国が亡びるのは私が原因なの?
王宮の礼拝堂、飾られた花、静かな空気、王族全員が見守る中、予言の儀が、とり行なわれています。
私の名前は、ホシミッツ、15歳、王弟陛下の養女であり、王族令嬢です。
序列は7番目ですが、女性の王位継承権は飾りで、正式なものではありません。
「3か月後に王国が滅びる」
15歳で無垢である第一王子が、舞い降りた予言を言葉にしました。
「排除すべきは金髪碧眼の王族令嬢」
14歳で無垢である第二王子が、舞い降りた予言を言葉にしました。
礼拝堂の静かな空気が、重くなりました。
・・・金髪碧眼の王族令嬢は、私だけです。
家族同然の、あどけない少女を、追放なんかしないよね?
人類最強と言われる私を、追放したら、、、後が怖いわよ!
◇
「ふぅ、王族から追放って、クーデターを計画したなら別だけど、これは笑い話よね」
誤解を解けば王族に戻れると、言われたけど、グチが出ます。
おっと、今は戦闘中でした。
私は、物陰から出て、警告を発します。
「ワレラン伯爵! おとなしく投降しなさい!」
ピンクの上着とブーツ、ズボンは濃いグレーの制服姿。
小柄、金髪碧眼、ツインテール。
私は、自称「あどけない美少女」ホシミッツです。
今は、伯爵の屋敷にある倉庫で大暴れ、、、いえ、悪者をぶっ飛ばしているところです!
小麦粉の密売現場に突入です。
人相の悪い奴らが、風魔法で攻撃してきました。
あわてて、物陰に引っ込みます。
「今のは、ちょっと危なかったかも」
「魔道具「鎧騎士」装着!」
左手の腕輪に念じます。
魔力の糸が私を包み、鎧へと変わっていきます。
艶消しの薄いピンクゴールド色、かわいいゴーレムキング、これ私ですよ。
鎧騎士の装甲で、敵の風魔法を、はじき飛ばします。
はじかれた風魔法が、倉庫に積まれた大量の小麦粉の袋を切り裂きます。
粉が霧のように舞い上がり、視界が悪くなりました。
混乱にまぎれて逃げる伯爵の背中が薄く見えます。
「逃がすか、ファイヤーボール!}
炎の塊が、小麦粉が舞う中を走り抜ける! 予定でした。
「ドン!」
耳がキーンとして、私が倉庫の外まで吹っ飛んでいます。なぜ?
「ガラガラ」
倉庫が吹き飛び、屋敷が半壊しています。なにが起きたの?
「大丈夫か、ホシミッツ?」
護衛のクロニィが、ワレラン伯爵を縛り上げています。
鎧騎士は解除されています。
黒に白い模様の上着とブーツ、ズボンは濃いグレーという制服姿。
17歳で、私より頭二つ背が高く、黒髪、黒い瞳で、かなりのイケメン。
クロニィは、私の護衛です。
「これは、粉じん爆発ですか!」
騒ぎを聞きつけた騎士団が、何か聞いてきますが「私、何もわかんない」と、あどけない笑顔で答えます。
まさか、小麦粉が爆発するなんて。
◇
先日の予言で「金髪碧眼の王族令嬢が王国を滅ぼす」と、出ました。
その条件に該当するのは、私だけです。
「自分の力で、1か月以内に、予言をひっくり返してみせろ!」
養父の王弟陛下から、王宮を追い出さ、、、いや、各地を回り、滅びの要因を排除するよう、命令が下されました。
王宮を出る際、色々と必要な旅の道具、国宝とも言いますが、持ち出して、、、いや、借りただけです。
◇
馬車に揺られて、次の街へと移動中です。
旅人用の深緑色のマントを羽織り、フードをかぶっています。
「あの屋敷、悪者しかいなかったね? なんでだろ?」
「お前、本当に知らないのか? 普通の人は逃げるだろ」
「だから何で?」
「国民が怖がるもの、地震、カミナリ、火事、ホシミッツ! 有名だぞ」
「いてて、やめろ!」
クロニィの眉間に魔法陣が浮かび上がり、電撃を発しています。
私が念じると発動する魔法を、養父がかけています。
クロニィは、養父、王弟陛下の部下です。
「罪の重さだけ痛みを与えれば、悪党は悔い改めて成仏できるのよ!」
と、神父さんが言っていました。
「怖い令嬢だ」
「私は、あどけない美少女よ!」
馬車の向かう先は、曇り空です。
お読みいただきありがとうございました。
本日中に全5話を投稿して完結いたします。
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