幕間 鏡面反射のobserver 其の壱
管理者は廻る未来を見据えてたった一つの未来を信じ、世界を廻す。
*2*
「まさか、最初の姿に戻ってくるか。少し予想外だ」
ユグドラは鏡越しに舎人子の戦う姿を見ていた。それは何かを懐かしむ様なものがあり、それを見た二人の天使は彼に喋りかける。
「あらあら、どうしたの?やけに人間的に感傷に浸るじゃない。ねえ、イズ? 」
「そうね。やけに人間的に干渉するじゃない。ユグドラ」
二人の天使は踊るのを止め、彼に向かい言葉を放つ。
しかし、彼はそれを無視して、舎人子の戦う姿を何度も何度も見直した。
「そんな事をしても何も変わらないのに」
「そんな事をしても何も進まないのに」
「「どうして足掻くんだい? 」」
その一言にいつもなら無視をしていたユグドラが何故か感情的になり、声を荒げる。
「お前達は聖遺物だろ。それなら人の心が分からない。人はな、何が何でも成し遂げたい事に情熱を、思いを馳せるんだ。お前達には理解できるはずがない。お前達は人に作られた天使だ。それなら人の心を理解するには無理だな。なら、黙って見とけ。お前達の任務は観測者の監視だろ。それ以外の事は何も言うな」
「「それなら君も同じだろ? 3000回も同じ世界を繰り返して、君にももう人の心なんて無いようなモノだろ? お互い様さ。互いに神に遊ばれたオモチャ、玩具、人形だ。私達は体を、あなたは運命と未来を。そうだろ? ○○○」」
天使は二人で同時に一糸乱れぬ口調で言うとそれを聞いたユグドラは立ち上がり、パチリと指を鳴らし、杖の様なモノを手にしながら彼女らを睨みつけた。
「次、その名前で呼んでみろ。51000年の馴染だからと言って容赦はしない」
「そんなに怒るなんて君らしくないなユグドラ。ねえ、イズ? 」
「そうだね。そんなに感情的になるなんて君らしくないねユグドラ。そう思うよ、アズ」
そう言われたユグドラは冷静になると彼らに怒りをぶつけるのを止め、再びパチリと指を鳴らし椅子に腰掛けた。
「ふん、お前達にしては正しい事を言ったな。今回は見逃してやる」
並行世界の観測者は彼らの戦いを観測する。
それはたった一つの世界線を求めて。
何度も何度も世界を回す。
いつか出会える未来をみつける為か。
それとも、未来に進む為か。
既に心は擦り減り、何も残っていないのかもしれない。
それでも彼は妄執に、恩讐に、何かに囚われた様に観測を続けた。
「深い愛に人は溺れる。俺は、僕は、私は、それに溺れてしまったらしい。だが、それのお陰で今まで諦めなかった。愛より重い呪いは無いとよく言うがそれはそうだ。こんなもの人が持っていいものじゃない」
*2*
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