幕間 鏡面世界のobserver 其の参
調整。
調子や過不足などを整えて、規準や正常状態に合わせること。
それは誰に課すべきモノなのか?
誰かに課されるモノなのか?
それは天秤の傾くままに。
「なんだ、あれは? 前の縦縞王子が持っていない能力だと? 」
ユグドラは観測した王子を眺めながら驚いていた。
そんな彼の姿を見て、双子の天使はクルクルクル回っており、クスクス笑いながら口を開く。
「イレギュラー」
「イレギュラー」
「「特異点同様のイレギュラー!! 」」
双子の天使はチャイナ服で踊っており、スラスラと動き回る。
「あいつは前まで一度も、そんな事が無かったはずだ。しかも、今回は殆ど調整すら行っていないんだぞ? 一番最初、殆ど、最初同様のディヴィジョンなはずだ! いや、違う、まさか、無調整だからこそ、このゲームが特異点だらけになっているのか? 」
「じゃあ、今からするのかい? 調整を?」
「今からするんだ、レギュレーションを? 」
「「どっちにしたって膠着状態だったゲームを進めた彼女に感謝すべきじゃ? 」」
双子をそう言うと淹れたてのお茶を飲み始めた。
淹れられたお茶は甜茶。
仄かに香る香りが漂い、それを鼻腔で感じながら、彼女達はクスクス笑うと二人同時に飲み干した。
「せっかくだから、あげるよユグドラ」
「感謝しなさい、ユグドラ、イズが淹れたお茶は一番美味しいんだから! 」
いつの間にかカップが準備され、それにトクトクと音を立てながら注がれる。
ユグドラはため息を吐きながらもそれに手を置き、カップを口に近づけて少しばかり口に含んだ。
甘くはあるがしつこすぎ、キリッとした味が口に広がるとほんの少し気分が落ち着き、白と黒の双子の天使を見据えながら冷静な口調で喋り始めた。
「これから彼らはミラーワールド内で最後の決戦をする。遅かれ早かれ、この未来は絶対に訪れる確定事項だ。だが、そこでもし、これ以上のイレギュラー、もしくは、特異点の暴走が有れば、俺が観測者として調整を課す」
「ようやくするだね! 」
「ようやくするだ」
「「調整!! 」」
「楽しみだね! 」
「楽しみ」
「「どんな調整を下すのか! 」」
双子はチャイナドレスを纏いながらくるくるくるくる回りに回って回り続ける。
白と黒の服の先端がヒラヒラと舞い上がらせ、幻想的な光景を作り出した。
しかし、それはかつて、ユグドラが体験した様な無限にも似た繰り返し。
くるくる、からから。
狂狂、空空。
輪廻して、回り続ける観測者。
終わりが見えない夢の果て。
いつになったら見えるのか。
観測者は準備を始める。
自らがゲームに赴くため。
調整を課すために。
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