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帝国陸軍将校、大陸を駆ける   作者: 魚河岸ボブ
第1章
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笹原甚太郎は相談する(回想)

投稿初心者です。よろしくお願いします。

物心ついた頃から、甚太郎は力が欲しかった。正確に言えば、自分で未来を思い通りに出来る力であれば、どんな力でもいいから欲しかった。学生のうちは、勉強や運動で人より優れ、喧嘩で相手を屈服させれば大抵のことは上手くいく。しかし、学校を卒業してしまうとそういう訳にはいかない。そこで目を付けたのが「金」である。金が無ければ困るし、金があればやりたい事が出来る。金儲けのためにどうすればいいか、子供なりに一生懸命考えて出た結論は「会社の社長になる」ということだった。

小さな商店の店長から始めて堅実に利益を上げ、関係する会社を徐々に吸収し、次第に経営規模を拡大する。損得勘定をしっかりやって、儲け話に乗るかをしっかり見極める。時には博打を打つ必要もあるだろうが、そんな時は必ず逃げ道を用意しておく。

迂闊に他人に話すと馬鹿にされるかいじめられるか、いずれにせよ碌な目に遭わないことは確実だったので、まずは信頼できる身内に相談することにした。

材木問屋の倅をタコ殴りにする半年程前の事である。


幸いなことに千代姉はいつものようにじっと話を聞き、秘密を守ることを約束してくれた。そして、助言や遠慮のない質問により、甚太郎の野望を少しずつ実現可能な計画にする手伝いをしてくれるのだった。

「それであんた、商売を始めるにしたって元手はどうするつもりなの?」

「あー…どうにかして、稼ぐ?」

「私が質問してるんだけど」

冷ややかな眼差しを向けられて甚太郎は焦ったが、美人はどんな表情をしても美人なんだな、と割とどうでもいいことを考えつつ焦る心を整理した。

千代姉はアタフタする弟をみて苦笑すると、

「まあ、本気でお金が欲しいっていうのならどうとでもなるかもしれないね」と言い、遠くに視線を移した。

甚太郎はその視線の先にあるものを想像した。製鉄所、炭鉱、どんどん大きくなる市街地…探せば仕事なんていくらでもある筈だ。自分が働いてもいいし、働く人達に何か買ってもらうのもいいだろう。

よし、もっと色々考えてみよう、と甚太郎は頭の中をクリアにしながら、湧き出るワクワク感に陶酔した。

「やっぱり千代姉に相談して正解だったよ!ありがとう!」

不敵な笑いを浮かべながら姉に礼を言うと、甚太郎は再び妄想に耽るのであった。

今日の男の子ワード

「野望」

達成困難な目的や荒唐無稽な夢を、いかにもロマン溢れる男の生き様のように語る時に使われる。

本人が思っているほと壮大な物でなく意外とみみっちい内容であったり、少し考えれば実現不可能だったりするので、他人に語る時はよく注意しなければならない。

現代においては、名作歴史ゲーム「信◯の野望」の大ヒットにより更に広く普及した言葉であるとの説もある。

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