1/52
物語の、はじまり
初投稿です。よろしくお願いします。
20世紀初頭、北九州
製鉄所に炭鉱と、当時北九州は日本の近代化を支える一大工業都市として発展中だった。
笹原甚太郎は八幡にある農家の三男坊として生まれた。百姓仕事に見切りをつけて生家を飛び出し、紆余曲折の後に大日本帝国陸軍の軍人として中国大陸に渡り、特務機関の工作員として暗躍し、満州国では馬賊・匪賊と対峙して日本人開拓民を守るという、軍人らしい半生を送ることになる。
人生がどこでどう変わるのか、今も昔も本人次第。
人々が生きる事に精一杯で、正に一生懸命だった時代、夢とロマンに溢れた大冒険だったのか、必死に乱世を生き抜いた苦悩の歴史なのか、今となっては知る由もないが、甚太郎の記憶が人々から消えてしまう前に、書き残しておこうと思う。
この物語は、父から聞いた祖父の半生をベースにしていますが、曖昧な点や不明な点は想像で書いていきます。また、満洲国の描写は、終戦当時小学生だった父の記憶によるものとなりますのでご了承ください。
時代考証についても、素人の趣味の範疇であることをご理解いただけると幸いです。