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時間の外
ここから見下ろしているとわたし、 神様になったみたいな感じ……ここだけ、 時間が止まってるような。
ふむ、 ある意味ではそう言える。 お前さんと俺はいま、 時間の外にいる。
時間の外?
ふむ、 街は変わらず流れていて動きをとめてはいないだろう? だがお前さんと俺のいるこの場所は時間の外側にあるのだ。 だから、 入り口に鳥居があるだろう、 あれは世界を隔てる結界なのさ。
じゃあここだけ、 時間が止まってるの?
ふむ、 いや、 人間世界での時間は同じように流れているが俺たちはここにいて、 もはや時間を感じてはいないということだ。
んー、 よくわからないけどなんかわかるなあ。 だって、ここはすごく落ち着くし……。 なのに、 あの鳥居の向こうは忙しい朝が始まっていて、 まったく別世界のような……って、 あ! もうこんな時間! わたし行かなきゃ! カミさま、 わたし今日は夕方もまたここに来ますね! カミさまのウーロン茶もその時持ってくるからー!!
ふむ、 ウーロン茶! 楽しみにしているぞ。 行ってらっしゃい!