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朝の闘い

「ほら、朝よ。起きなさい!」


母の声だ。カーテンの隙間から差し込む光。

また退屈な一日の始まりを知らせる風景。


もう少ししたらスマホのアラームが鳴る。のに、それより前に母の怒鳴り声が聞こえるだろう。


「いい加減起きなさい!」


いつも通りの朝。アラームが鳴る時間に起きれば良いのに、母の勝手なルーティンで起こされる。

怒鳴った後にはカーテンを開けられる。


暗闇になれた俺の目を焼き付けるような窓から襲いくる光。

ゲームやアニメならば俺は闇属性だと納得できる程にその光が憎くてしょうがない。


掛け布団に顔を隠し、寝ている間にズレたアイマスクを再び定位置に戻し、しばし暗闇にて体力の回復を行う。

しかし、知っている。その至極の時間が長く続かない事を。

アラームが鳴ると同時に傷つき休んでいる俺様は母の一方的な怒号とともに、その絶対的な力により我が鉄壁の守り(もふもふかけぶとん)が剥ぎ取られる事を。


長く続く事のない、わずかな休息に。


母の気配。

「いい加減にしなさい!会社に遅れるわよ!!」

その言葉で夢の世界から、くだらない現実に強制召喚されるのが俺の一日の始まり。


さよなら、金持ち人生。

さよなら、もてもて人生。

さよなら、自由で広大なワールド。


「いい加減にしなさい!」

ほろ、来た。死刑宣告のような残酷な言葉。

よく、毎朝そんな言葉を平気で言えるよな。

会社、それを聞いた時に俺は一気に目が覚める。まるで魂を掴まれたかのように。

頼むから言わないでくれ。


「今日はお城に行く日でしょ?早く準備しなさい?」

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