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春9

なんと、夜見は、僕が犬飼さんたちを玄関で出迎えている間にひとりで肉じゃがを食べ始めていたのだ。

今日はいつもとは違い、大人数なので、大きな鍋で作った。しかし、それはまだ取り分けていなかった。なので、まだ大きな鍋に煮込んだままだったのだが、それに手をつけ始めていたのだ。


僕は急いで、止める。

「ストップ!夜見!なんでいま食べてるの。まだ、取り分けてないよね?」

「うん。取り分けると、みんな同じ量均等になるから、私の取り分が減ると思った。だから…」


「…はぁ。そう言うと思ったから、夜見の分は僕のところからちょっと増やしてあげようと思ってたのに」

「!?」

「でもしかたないね。均等に分けて、さらに夜見の分はみんなよりも少なめにするからね」


「なぁ!?」

「文句言ってもダメです。うわ、一割も食べたのか。あの僕が玄関で、話している数分で」

「…お腹すいてたから」

「はぁ。とりあえず、犬飼さんたちに挨拶したら?」


「あーうん。御三方々、こんばんは。左鍋さん、お邪魔してます」

そんな適当な挨拶を聞いて、犬飼さんは、

「おお、見た目とは裏腹に腹ペコ少女なんだな。多分俺のことは知らないと思うから、名乗っとくは。俺は犬飼。まぁ、よろしくな叡王さん」


それに続くように、葉書さんと柊さんも挨拶する。

「はじめまして、叡王。葉書と申します。どうぞよろしく」

「昨日ぶりっすね。柊っす」


そして、最後は師匠が、

「やぁ、氷泉さん。よく来たね。待たせてしまって悪かった」

と、言った。


それを聞いた。夜見は

「お邪魔してます」

とだけ返した。


そんな挨拶が済んだら僕は、すぐにこの現状を打破するべく行動する。

「さあさあ、もうご飯はできてますから。師匠達は手を洗ってきてください。夜見は取り分けるの手伝って」

「「「「ほーい」」」っす」

「うん。わかった」


この後、みんなで肉じゃがを食べました。

食べ終わると、時刻は22時を過ぎていた。夕飯を食べ終わるとみんなで談笑したり、将棋を軽く指したりしていた。柊さんは、夜見に「昨日の雪辱を晴らす!」と意気込んで対局を申し込んでいた


それらが全て終わって、夜見が帰る頃には、もう0時を過ぎていた。

こうして、僕の長い高校生活1日目が終わった。








「おはよー」「おはよう」「昨日の歌番の…」「やっぱり〇〇君かっこいいよねー…」

まだ始業前だが、教室内は、沢山の声で賑わっている。

今日は、高校生活の二日目だ。今日も昨日と同じで、半日授業となっている。


「はぁ、早く帰って来週からのあれ(、、)のために研究しないとなぁ…」

そう小さな声で、僕はつぶやいた。


「伊吹くん、おはよー」

と、急に席の隣の男子が話しかけてきた。


「おはよう、田村くん。今日も暑いね」

「そうだねー」

「伊吹くんに田村、おはようでござる」


「おはよー」「おはよう。筑波くん」

この2人は、田村くんと、筑波くん。僕が昨日仲良くなった座席近くのクラスメートだ。


田村くんは、黒髪にメガネの平均身長、平均体重くらいの子だ。

筑波くんは、赤い茶髪でふっくらとしている体型をしている子だ。身長は田村くんよりも小さい。


背丈で分けると、僕が一番背が高く、次が田村くん、その次が筑波くんと言う感じだ。


田村くんと筑波くんは、中学校が一緒で、中学生の時にも仲が良かったらしい。この2人とは、共通の趣味として、料理の話をする。今日も朝からそんな話をした。


「いやー昨日、チーズケーキ作ったんだけどさー。チーズを常温にするの忘れちゃって、全然混ざらなかったんだよねー」

「オーブンの余熱で溶かさなかったのかい?」

「いやー、オーブン使わないで、冷やす系の作り方でやったんだよねー」


「ほー、オーブン使わないでもできるんでござるか。それは知らなかったでござるなぁ」

筑波くんはなんでも最後に「ござる」とつけたがる。理由は昨日聞いたら、「某、忍者に憧れているからでござる」と言ってきた。忍者がござると言う語尾を使っていた確たる証拠は、僕の記憶ではなかったと思うけど、それは言わないようにした。


そうこう、話していると、急に筑波くんが、

「そういえば、2人はこの学校の美女に興味はあるでござるか?」

と尋ねてきた。

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