表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/19

春8

前回の話が長くなりそうだったので、こっちに分けました。続きからです。

そして、女流棋士の一部とプロ棋士が、タイトルを取る為に行われる大会、それがタイトル戦だ。

普通の大会、ここでは一般棋戦と呼ぶが、それとタイトル戦は別物だ。

将棋の世界には、そもそもタイトルというものは、8つしかない。


まず一つ目は、竜王というタイトル。このタイトル戦は、とある新聞社が主催のもので、独自のランキング戦と、本戦によって挑戦者(本戦優勝者)を決定し、竜王と、挑戦者による七番勝負が行われる。古くから、行われているものだ。


次に、名人というタイトル。このタイトル戦は、複数の新聞社が共催で行われるもので、昔と今ではルールが少し違ったが、今のルールで行われるようになったのは1935年ごろからだ。このタイトルは、アマチュア名人戦や女流棋士名人戦とは別物である。これもまた、挑戦者と名人は七番勝負によって決められる。


そして、王将、王位。

この二つのタイトルは、上と同じ七番勝負である。


そして、つぎに棋王と棋聖だ。この二つのタイトルは、竜王戦や名人戦とは違い、五番勝負によって、タイトル称号を得る。


そして同じく五番勝負である、王座というタイトルもある。


そして一番最後が、一番新しくできた、叡王だ。

叡王は、2015年に設立された大会で、特殊なルールによって、勝負が行われる。まず挑戦者が決まったら、各対局者が、振り駒によって、各対局時の持ち時間を決められるのだ。ここで言う持ち時間とは、七番勝負が行われる際に、その決められた持ち時間で戦うのだ。


持ち時間は、各1時間、各3時間、各5時間とそのように定められており、歩、またはトが多かったほうが、第1局、第3局、第5局の持ち時間を決められる。ついでに、第7局は持ち時間が6時間と決められている。この持ち時間自体は、ほかのタイトルに比べて短く、かなり早くに勝負がついたりすることもある。



これらのタイトルを右に行くほど高いという序列的に表すと、

棋聖→王将→棋王→玉座→王位→叡王→名人→竜王となる。

なお、これは償金額によって言われているのものの考え方なので、他にも名人と竜王は同列と考えられるような諸説もある。


そして、今の叡王のタイトル保持者こそが、僕の前でクッションを抱いている、彼女(氷泉夜見)なのだ。









「ねぇ、琥珀」

「うん?どうかした?」

「あのさー」

「はい、なんでしょうか?」

「他の人たちいつ来るんだっけ」


「予定では、20時過ぎくらいだとおっしゃてました」

「そう、、、、今何時かわかる?」

「21時4分です」

「うん、もう食べてて良くない?」


僕らの対局が終わった時、時刻はもう少しで20時ごろになるくらいだったのだが、今の時刻はさっき僕が言った通り、21時を過ぎている。この夜ご飯を食べれない(、、、、、、、、、)ことに、夜見は怒っているのだ。


夜見には二つの欠点がある。一つ目は早指し。それも時間が短く切れるタイプのもの。これは単に苦手というだけでもあるが。もう一つは、空腹時の状態だ。夜見は、空腹時は、とても機嫌が悪くなる。それはとても僕が面倒だと思えるほど。ついでに、夜見のご飯を食べる量は毎回とても多い。食べている時の勢いも凄まじく、ある時では、一人でご飯3合をたいらげるくらいだった。


将棋棋士は、頭を使う為、糖分摂取が欠かせない。対局中もお菓子を食べるのが普通だが、夜見は食べている姿を見せるのは嫌だからと、意地を張って、対局中は、昼食時間以外は飴などの小物しか食べない。


なので対局の後は、僕のところに電話をかけてきて、

「お腹すいた。今日の夜ご飯何?」

と聞いてきて、僕の家にやってくる。


僕が告白した時には、待ってるから、とか行ってたのになんで向こうから来てるんだと、言いたい気持ちは最初の頃にはあったが、しかしながら、日が立つにつれ、好きな人に会えることが嬉しくなっていったのでそのような気持ちはなくなった。今では、一緒にいることによって、安心感が持てる。これは、惚気じゃないぞ。


「じゃー、肉じゃがと味噌汁温め直そっか」

「うん」

そう言って、夜見と僕は同時に立ち上がり、台所の方に向かったのだった。




温め終わったのは21時15分くらいで、今から2人で食べ始めようと思ったタイミングで師匠と左鍋さんたちはやってきた。

「師匠おかえりなさい。犬飼さん、柊さん、葉書さんいらっしゃい」

「おう、ただいま」「お邪魔するな」「お邪魔するっす」「お邪魔します」


「ちょうど食べ始めようと思ったところだったんですよ。ね、夜…見?」

僕は思わず夜見を凝視した。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ