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【長屋小噺】 三分間のメロンソーダ  作者: 長屋ゆう
◇第二部 第三章
87/172

その10 大吉秋栗

こうね、

和菓子の世界では【一生一品】って言葉がありましてね。


これまで誰も作った事のない和菓子。

かつね、

作者が死んでも生き続ける和菓子。


毎日ね、

職人達はお客を喜ばせる為にね、

【一生一品】を考えているわけですよ。



で、

アッシも和菓子を考えてみた。

秋の栗と書いて秋栗ですな。

それでね【大吉秋栗】と命名しました。


そう、【だいきちあきぐり】…



こうね、

四角い寒天にね、

甘く煮た大ぶりな栗がね、

沈んでいるんですよ。


寒天は氷のようでしょ?


これから白い冬が来るんですね。


で、寒天に沈む栗。

そう、空から栗が落ちてくる。


秋から冬にかけてね、

子供達は栗を拾う。


いや~懐かしいですな。


子供の頃はよく拾ったもんですよ。


栗を焚き火に投げ込みましてね、

焼かれた栗の熱いこと熱いこと。


実に懐かしいですな。



どうだい和菓子屋さん、

【大吉秋栗】出来たかい?



いいねぇ、

どれどれ?



寒天の色が二層になってるね。

上は雪だって?


いやぁ…凄いもんだね。


想像以上の出来映えだ…



じゃあ、頂きますよ。



おっと、

寒天と栗の食感の違いがいいね。

栗の甘さも丁度いい。




それじゃあ、

寄席で宣伝してくるよ。




えっ、宣伝料?


いやいや、いらないよ。

アッシからお願いしたんだから。


ただね、

一つだけね、

お願いがある。


二十個に一個くらいにね、

砂糖なしで煮たね、

渋い栗を入れて欲しい。


食べたらさ、皆、渋い顔をするだろう?


そしたら皆ね…

苦笑いしてね…


私を思い出すよ。




へっへっへ~。





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