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【長屋小噺】 三分間のメロンソーダ  作者: 長屋ゆう
◇第二部 第一章
69/172

その7 初代大吉⑦

え?


大吉?


あの干物かい?


いゃあね、

二番目の息子ってのは、

あんなにすんなり産まれるのかとね、

驚いてしまったよ。



長男の時は大変だったよ。


産まれる時の痛さっていったらね、

痛くて痛くてね、

【はやく出てこい!】ってね。

お腹に叫んだもんだよ。



皆、笑うよ、この噺をするとさ。



しっかしね、本当に長男は大変だったよ。

夜泣きが酷くてね、

ほぼ一日中泣いてる。


私はね、

ほとんど寝てなかったね。



まあね、

今思うと…

いい声で泣いていたよ。



でね、

逆に大吉はね、こうスルッと産まれた。


産まれてから少し泣いてね…


それからが大変だったよ。



ずっと寝てるんだよ。

一切泣かないんだよ。



夜泣きもなし、

ふとね、おっぱいあげそれでおしまい。



本当にね、

泣かずに寝てるんだよ。



時々ね、死んでるじゃないかって心配になったよ。



皆、嘘だろ?って笑うんだよ。



でもね、本当に寝てた。



まぁ、子供ってのはね、

そういうもんだよ。



でね、

大人になってね、

真打ちになった大吉にね、

この噺をしたらね、


【アッシは人を笑顔にする為に生まれてきたんだから、しょうがないよ】って言うんですよ。


誇らしげにね…



【あんたが生むのは苦笑いだろ?】って言ったらね?



なんて言ったと思います?



【おっかさん、あんたの次男は口だけで生きてる。医者にでもなれたのに、苦い子だろ】ってね。



【でもね…】って。



【ウチは貧乏だったから、おっかさんの顔はいつも苦い顔をしていたじゃないか】ってね。


【そりゃあさ、おっぱいはいつも苦かったよ】ってね。


【兄さんは母乳が苦くてノドを痛めて、あの声に…】


【私は苦く笑う噺しかしなくなった…】



【よく育てたよ…】ってね。



誉めているのか、

けなしているのか…




まあね…

とりあえず…

石を投げてやりましたよ。




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