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過ぎし日 その6 ○ マークとリサがやって来た
妹のリサです。
そうですね。
【マスターダイキチ】の顔は怖かったですよ。
公園でね、
泣いてる兄を見てね、
不安になっている私を見てね、
一瞬で察して頂いたんでしょうね。
それじゃなきゃ、
あんな顔は出来ませんよ。
私は大丈夫でしたけどね、
兄は日本に来てから毎日暗い顔をしてましたからね。
◆
ママさんもね、
お姉ちゃんもね、
いつも私を抱き締めてくれた。
いつもね、ほっぺにキスをしてくれた。
◆
分かります?
これほどの愛が他にありますか?
◆
毎日ね、
【マスターダイキチ】の家に帰ってね、
ママさんの家の和菓子を頂きながら、
日本茶をすすりながら、
ママさんに、
お姉ちゃんにね、
今日の出来事を話すんですよ。
それからね、
お姉ちゃんと日本語の勉強です。
そしてママさんの夕食です。
本当に楽しかった。
【マスターダイキチ】の家族にはね、
本当に勇気と愛を頂いたんですよ。
◆
ただね、あの息子は嫌いですよ。