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【長屋小噺】 三分間のメロンソーダ  作者: 長屋ゆう
第七章 ●演者:染谷大吉
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その7 江戸前の握り⑦

ここでね、お腹いっぱいってね、

妻と帰るんですよ。



分かります?

結構これは簡単でしたね。



でもね、噺を演じる側は難しいんですよ。



そうですね、【おにぎり】です。



寿司かと思わせておいてね、

実はね、

そこのね、

白旗印に赤い梅、

田町のね、

【おにぎり屋】の噺なんですよ。



実はね、結構これはね、落語家にとってはね、難しいんですよ。


【寿司】とかね、

【酢めし】とかね、

【しゃり】とかはね、

禁句です。


【軍艦巻き】かと思わせといて、

【海苔巻き】と表現する。

確かにね、

おにぎりは海苔で巻いていますからね。


禁句は言ってはいけないんですよ。


皆さんの頭で【米がほどける】まで待つんです。



つまりね、

そんな寿司があるんだってね、

軍艦巻きをね、つまむ姿を演じたりとかしてね。


これは寿司屋の噺なんだってね。



それからね、

急にね、

お客さんがね、

ふとね、

米がね、

口の中でほどけるようにね…


【あっ、これはオニギリだ!】って噺なんですよ。



すみませんね、

真打ちですから。



でもね、

あそこのね、

田町の若い娘さんのね、

おにぎりを食べて思いついたんですよ。


あそこのね、おにぎりは美味しいですよ。




えぇ、

ウチの婆ちゃんですらね、

前の日からソワソワしてますからね。



あとね、

皆さん今日は食べに行かないでくださいね。


前の日にね、


行くって伝えて下さい。



いえね、

別に予約しなくて食べれますけどね、

前の日からですね、

ソワソワしたくありませんか?


私はソワソワしたいですね。


今日、嫌な事があってもね、

明日の晩はね、

炊きたての美味い【握り飯】が待ってるんですよ。


そりゃあ、ソワソワするのをオススメしますね。



え?

オチですか?



皆さん、

これから田町の【おにぎり屋】に予約しに行くでしょ?



行くでしょ?



私の術にね、

既に皆さん、【落ちてる】じゃないですか。




へっへっへ~。




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