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【長屋小噺】 三分間のメロンソーダ  作者: 長屋ゆう
第六章 ●演者:染谷大吉
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その5 白煎餅と婆さん

こうね、白い煎餅ってのはオツなもんですな。


ええ、そこの白川の煎餅ですよ。


あそこの胡麻煎餅もいいが、

やっぱり煎餅は白に限る。


煎餅かめず

茶ばかりすすり

すすり泣く泣く法隆寺ってね。


いやね、

婆さんがね、

もう年だから煎餅を噛めなくなったってね、

気落ちしてるんですよ。


そしたらね、

あそこの白川の旦那がね、


茶碗に割った白煎餅を入れてね、

湯をかけてね、

醤油をひとまわし。


食べてみたら美味かったってね、

婆さんが嬉しそうに話すんですよ。


食べてみたらね、

いや~、

こういう味もあるもんかと驚きましたよ。


こう、懐かしい味というかね、

夕方の帰り道のような、

何とも表現しようのない郷愁というか。



いや~、

いつかこういう小噺が出来たらいいですな。


目からウロコな小噺をね。



そう思ってた矢先にね、

この間、

驚きましたよ。


妻の目からウロコが落ちたんですよ。


ええ。


分かります?





残念でしたね、

コンタクトレンズじゃありませんよ。





妻がね、本気で真鯛をおろしてるんですよ…



もうね、

妻の顔にね、

ウロコが付きましてね。


ええ、もうね、それをぬぐう背中が怖い怖い。



いつか私は刺されますよ。

あの出刃包丁でね…





あのね皆さん、

今ここで泣いてもいいですか?




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